「完全自動運転車は8月に登場」とテスラのイーロン・マスクが発言

テスラのイーロン・マスクCEOが、「full self-driving」(完全自動運転)の登場が2018年8月であるとTwitter上で発言しました。これまでにもたびたび宣言しては実現しなかった自動運転車が実現するのか、注目を集めています。

Tesla will start rolling out its ‘full self-driving’ package in August, Elon Musk says - The Verge
https://www.theverge.com/2018/6/11/17449076/tesla-autopilot-full-self-driving-elon-musk

Anand Krishnamurthy (@anandrajk)さんがモデル3の「autopilot(オートパイロット)」機能について、「ラッシュアワー時に2つのレーンが合流するとき、オートパイロットは隣のレーンに入りたがらない」という「気になること」を発言したところ、マスクCEOが「この問題は8月に導入されるオートパイロットのソフトウェアVersion 9で解消する予定だ」とコメントしました。それと同時に、「Version 9によって、『完全な自動運転』機能を使い始められるだろう」とも付け加えました。

マスクCEOが「完全自動運転」について発言するのはこれが初めてではありません。2017年1月に完全自動運転車の登場は「6カ月以内」とコメントしましたが、実現しませんでした。

完全自動運転車の登場は「6カ月以内」とテスラのイーロン・マスクCEOがツイート - GIGAZINE

マスクCEOの「誇大広告」は常習犯であり、低価格の量販車「モデル3」の生産計画は、常に「アップデート」を余儀なくされています。このため、スティーブ・ウォズニアックなど、マスクCEOの広げる大風呂敷に辟易する人は少なからずいます。

スティーブ・ウォズニアックが「イーロン・マスクやテスラの言うことはもう何も信じない」と発言 - GIGAZINE

なお、マスクCEOの言う「full self-driving」がどのような機能を意味するのかは明らかではありません。2016年にテスラはオートパイロットで手離し運転する「Full Self-Driving Hardware」のデモ走行の様子を公開していますが、The Vergeによるとテスラの広報担当者は「マスクCEOのツイートはテスラコメントの範囲内」だと述べており、オートパイロット使用時にハンドルを握ることを要求するテスラの公式見解通りだとすれば、マスクCEOは何をもって「full(完全)」と表現しているのかについて疑問が残ります。

「完全自動運転」の力を見せつける新たなデモ映像をテスラモーターズが公開 - GIGAZINE

テスラのオートパイロット利用車は3件の死亡事故を起こしており、2018年3月23日にカリフォルニア州で発生した中央分離帯への衝突死亡事故では、緩衝壁の衝突3秒前にモデルXが速度を62mph(約100km/h)から70.8mph(約114km/h)まで加速していたことがNTSBの調査報告書で明かされています。オートパイロット機能の安全性には疑問の声が挙がっており、Navigant Researchのサム・アブールサミッド氏は「テスラは顧客をモルモットに使うのを止めて、オートパイロットが正しく動作するまで機能を無効にすべき」だと主張しています。また、「autopilot」という名前があたかもユーザーに「前方に注意することなく運転できる」という誤解を与えているとして、テスラはオートパイロットという名前を変更するだけで多くの問題が解消されるとする、テスラによる(PDFファイル)広告・マーケティング戦略上の不公正な慣行を指摘する声もあります。

オートパイロットの安全性に対する懸念の声がある中で、マスクCEOがリリースを公言する「full self-driving」がどのような内容になるのか、本当に2018年8月のVersion 9に機能が追加されるのか注目が集まります。