今後あなたが画面越しに目にする人間は、すべてニセモノかもしれません。
かつてはAIのマシーンラーニングにより、映画『マン・オブ・スティール』のエイミー・アダムスが、ニコラス・ケイジの顔にスワップされた衝撃映像がありました。あまりに自然で、不気味の谷をひとっ飛びしてしまうほどの完成度でしたよね。
現在はそれに似たもので、いくつかの企業や大学がたった数分の機械学習で、ある人の表情の動きを、他者の顔で完全再現させる技術を共同研究しています。
それが「ディープ・ビデオ・ポートレイツ」と呼ばれるもの。どれほどカンペキなのか、映像をご覧ください。
ウィンクも眼球の動きも、役者の意のままオバマ元大統領やプーチン大統領になりすますことができます。それにマウスの動きを使って、マニュアルで表情や頭の動きを操作することも可能。
ほかにも元になる映像の表情と頭の動きを個別に編集し、まばたきを加えると? 同じ人物なのに違う表情で違うことを話しているような新映像を作り出すことだってできるのです。オバマ元大統領のスピーチを使い、口元だけ同じであとの動きは編集で違うというパターンもあります。
その次のデモでは、ドイツ人男性の映像に英語を話す男性の口の動きを適用。これで完全に自然な吹き替えが成立してしまいました。
また、1種類の映像から顔のパーツを学習し、完全に同じ映像を再現したり、背景を歪ませないような工夫や、フレーム数や解像度での違いなどもテストしており、顔の形をも変形させてしまうデモも行っています。
この技術が手軽に使えるようになれば、ますます簡単に自然なニコラス・ケイジ化。映像業界も、有名な俳優の顔データさえ取れれば演技をする必要すらなくなってしまいそうです。
AIの進化で格段に飛躍するこの研究。これからどうなっていくのでしょうか? そのうちこれが手軽なスマホアプリで使えるようになり、ビデオ通話でオレオレ詐欺なんかが横行するようになっちゃうかもしれませんね。フェイクポルノなども作れてしまいそう。…ん? 悪用されるとだいぶコワい技術ですね…。
Image: YouTube
Source: YouTube via Fresh Gadgets
(岡本玄介)