自ら撮影した写真が無断でTwitterに投稿され、投稿者とは別のTwitterアカウントにリツイート(公式RT)されたことにより著作権が侵害されたとして、プロカメラマンがTwitter Japanに対して、投稿者とRTしたユーザーそれぞれの情報開示を請求していた訴訟で、知財高裁が出した控訴審判決がこのほど公表され、その内容がネットで波紋を呼んでいる。
訴訟の経緯はこうだ。原告のカメラマンが撮影し、Webサイトで公開していた写真が、あるTwitterユーザーによって無断でTwitterに投稿された。その後、別のアカウントがその写真付きツイートをRTした。結果、RTしたアカウントのタイムラインには、元写真をトリミングしたサムネイル画像が、直リンク(インラインリンク/リンク先のWebページのコンテンツが自動表示されるリンクのこと)の形で自動で表示されていた。
一審判決で東京地裁は「RTは著作権を侵害しない」と判断し、RTしたユーザーの情報開示請求は退けたが、控訴審判決で知財高裁は、「RTにより画像が改変されたことが著作者人格権の侵害に当たる」と判断し、RTしたユーザーの情報開示を認めた。
原告のカメラマンは、元の投稿をしたアカウントとRTしたアカウントがそれぞれ、自らの著作権を侵害しているとし、Twitter Japanに発信者情報開示を求める訴訟を、まず東京地裁に提起。東京地裁は2016年9月の判決(PDF)で、元の投稿者のメールアドレスの開示は認めたが、「RTは著作権を侵害しない」「RTは画像ファイルを改変しておらず、同一性保持権侵害も成立しない」などとし、RTしたアカウントの情報開示は認めなかった。
このため原告は知財高裁に控訴。知財高裁の判決(18年4月25日)では、RTによる著作権(公衆送信権)侵害は認めなかったが、「RTよって表示されるインラインリンク画像は、元ツイートとは位置や大きさなどが異なっており、RTによって改変されたもの」と判断して同一性保持権の侵害を認め、RTしたアカウントの情報(メールアドレス)開示を認めた。また、RTで表示されたサムネイル画像は、トリミングによって署名が消えていたため、氏名表示権も侵害していると判断した。
この判決についてネットでは、「画像入りツイートをRTするとトリミングされて表示されるのはTwitterの仕様なのに、RTしたユーザーが『画像を改変した』とみなされるのは厳しい」「判決が確定すれば、画像を気軽にRTできなくなる」などと否定的な反応がある一方、「RTで画像がトリミングされることはRTした人には分かっていたはずで、妥当だ」「法律論としては理解できる」という反応もある。
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