• 結婚生活はときに痛みを伴う。ある調査によると、その原因は家事をめぐって夫婦でもめるからだ。
  • 最新の研究によると、家事をアウトソーシングすることで、2人の満足度が上がるという。
  • もう1つの選択肢は、一部の家事については全くやらないことだ。

ハーバード大学の経営大学院とブリティッシュコロンビア大学の最新の共同研究の論文の出だしが、衝撃的だ。

「離婚に関する全米調査の結果、回答者の25%が『家事について意見が合わなかった』ことを、離婚の最大の理由に挙げた。『不倫・浮気(40%)』『性格の不一致(35%)』に次いで、3番目に多かった」

わお!

論文は、家事をめぐるケンカのせいで離婚の危機にある、もしくはその可能性がある全ての夫婦に、シンプルな解決策を提案している。お金を払って、誰か別の人にやってもらおう、と。ニューヨーク・タイムズで最近話題になったこの論文は、結婚もしくは真剣に交際していたパートナーと同棲していた3000人が参加した一連の研究について説明している。

研究の結果、清掃業者を雇ったり、洗濯物をクリーニングに出すなどして、時間の節約のためにお金を使ったカップルは、そうでないカップルに比べ、2人の関係に対する満足度が高いことが分かった。つまり、家事をアウトソーシングすることで、夫婦関係は良くなるということだ。

興味深いことに、家事から解放されること自体がパートナーとの関係の満足度を上げるわけではない。家事をアウトソーシングすることで、一緒に過ごす時間を充実させることが重要なのだ。時間を節約するためにお金を使うことで、夫婦喧嘩が2人の関係性に悪影響を及ぼすことも防ぐようだ。

研究者らは、時間の節約のためにお金を使うことが最もうまく機能するのは、「汚れた服がたくさんあるのに、それを洗う十分な時間がない」といった、生活のストレス要因がコントロール可能なときだという。「友人が病気になった」といった、ストレス要因がコントロール可能でない場合は、演劇鑑賞に出かけるなど、何らかの経験にお金を使う方がいい。

この最新の論文は、2017年に筆者が取り上げた「時間の節約のためにお金を使う人は、そうでない人に比べて幸福度が高い」という前回の研究をもとに書かれたものだ。お金に余裕があると、大半の人は物質的な買い物にお金を使いがちだが、時間の節約のためにお金を使う人の幸福度は高い。

事実、この最新研究によると、調査に参加した人の半数以上が時間の節約のためにお金を使っていなかった。また、この研究はカップル・セラピストのLori Gottlieb氏が『How to Be Married』の著者Jo Piazza氏に語った言葉 —— あまりに多くのカップルが家事を完全に等しく分担しようとし、それがうまくいかないとストレスに感じる —— を思い出させる。

家事のアウトソーシングの代替案は…放っておくこと!

テイクアウトの食事を利用するにせよ、業者を雇って家具を組み立ててもらうにせよ、確かに家事のアウトソーシングにはお金がかかる。全ての家事をアウトソーシングできなかったら、どうするか? 恐らく一部はそもそもやるべきでないのだろう。

Tiffany Dufu氏は著書『Drop the Ball』の中で、自身と夫が「マネジメント・エクセル・リスト(MEL)」を使っていると明かす。このリストの中で重要なのは、洗車や洗濯物を片付けるといった「一定期間手を付けていないもの」というカテゴリーだ(2人はそれでOKなのだ)。

きれいに片付いた家でパートナーと時間を過ごすのは、理想的といえるだろう。ゼロから一緒に夕食を作り、楽しい笑いのあふれる生活…だが、現実は必ずしもそうはいかない。だからこそ、何が自分にとって心地良いかが重要だ。

ちょっとさび付いたバスタブには耐えられるだろうか? それとも、パートナーと公園に散歩に出かけている間に、誰かにそのさび付いたバスタブをきれいにしてもらう方がいいのか?

どちらの設問にも「ノー」と答えたくなるかもしれない。それもいい。ただ、自分自身の考え方や行動もこの先、変わる可能性があることは覚えておこう。

Shana Lebowitz [原文]

BUSINESS INSIDER JAPANより転載(2018.4.08公開記事)

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