フォックス買収劇、米CATV大手のコムキャストが現金650億ドルで対抗。ディズニーに上回る条件で

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フォックス買収劇、米CATV大手のコムキャストが現金650億ドルで対抗。ディズニーに上回る条件で
Image: Joshua Rainey Photography/Shutterstock.com

どうする、ディズニー。

ちょっと、先に言っておきます。マーベルの最強ヒーローたちがこぞってスクリーンに集結する日を心待ちにしていたみなさん、ちょっと残念なお知らせです。ディズニーがマーベル・ユニバースを所有するのに抵抗があったという方々にとっても、あまり良いニュースではないかもしれません…。

昨年あったディズニーからの買収案をしのぐ条件で、米ケーブルテレビ大手のコムキャストによって21世紀フォックスの資産の取得が正式に提案されました

なぜ急にと思った方もいるかもしれません。背景には先日、AT&Tによる米メディア大手タイムワーナーの買収が米連邦地裁によって承認されたことがあります。この出来事に背中を押され、コムキャストが壮大な計画を発表したのはその翌日のこと。

21世紀フォックスを買収するためにコムキャストがオファーしたのは、650億ドル(約7兆円)。しかもすべて現金で支払うとのこと。これに対してディズニーは昨年末、524億ドルの株式を支払うことで同意していました。今後さらにディズニーが入札額を引き上げ、両社によるフォックス争奪戦が始まるという憶測が広がっています。

いずれにせよ落札者は、21世紀フォックスの映画やテレビといった資産に加えて、Huluの大部分を所有者することになります。いわゆるコングロマリットであるHuluは、現在のところディズニー、(完全子会社のNBCユニバーサルを通じて)コムキャスト、21世紀フォックスがそれぞれ30%ずつ保有する主要株主になっていて、残りの10%をタイムワーナーが所有している状態になっています。

裁判所によってAT&Tの垂直統合が認められたいま、コムキャストの入札が米司法省によって阻止されることはないのでしょうか。さかのぼること2011年には、NBCユニバーサルを買収するにあたってコムキャストは、米連邦取引委員会と米司法省とネット中立性などをめぐる条件に同意していました。ただしAT&Tの買収計画が容認されたことから、どのような規制がどこまで適用されるのかは今後の動向を見守る必要がありそうです。

米連邦通信委員会のアジット・パイ委員長は昨年、ネット中立性の廃止によって“規制の不確実性”なるものが排除され、コムキャストのようなインターネットプロバイダーの支出が増えると主張していました。それが事実と異なる事態になっているのは明らかで、着実に現金を貯めていたコムキャストはネット中立性が撤廃されたいま、その資金力で既存のネットワークを改善して人々に尽くそうとしているようです。

…いや、本当にそうならばめでたしめでたしって話なのですが、コムキャストはフォックスを飲み込んでどこに向かおうとしているのでしょう。そして何よりも、フォックスのマーベルヒーローである『デッドプール』『X-MEN』『ファンタスティックフォー』は一連の買収劇のすえに今後どんな物語に行き着くのでしょうか…。


Image: Joshua Rainey Photography/Shutterstock.com
Source: Comcast, The Washington Post, Ars Technica, WIRED

Rhett Jones - Gizmodo US[原文
(Rina Fukazu)