トイレの便座から病気がうつることってあるの?

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  • author 岩田リョウコ
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トイレの便座から病気がうつることってあるの?
Image: Sam Woolley/Gizmodo US

汚いトイレしかない時に、ずっと気になってたこと。

汚ったないトイレやクッサいトイレっていうのは、できるだけ避けたいですよね。特に公衆便所とか野外フェスの簡易トイレとか。でもそんな状況でもどうしてもトイレって使わなくちゃいけない時もあります。とはいえあまりに汚いと、なんか悪い病気とかうつらないか心配になったりしますよね。

では、目に見えて汚いトイレはもちろんのこと、見た目が綺麗なトイレでもやっぱり衛生上汚いんでしょうかトイレの便座って座るだけで病気ってうつったりするんでしょうか。

トイレに座るたびに心配するのも嫌なので、思い切って微生物学と免疫学の専門家に聞いてみましょう!

William Dampier

米国ドレクセル大学 微生物・免疫学助教授

健康な人の場合、トイレの便座から病気をもらうという確率はかなり低いです。肌は外界とのバリアの役割をしていて、うまくバクテリアをはね除けています。しかし、たとえばすでに怪我をしていて肌に傷がある場合は、ブドウ球菌感染を起こしてしまう可能性もあります。絶対ないとは言えませんが、可能性はあるというところです。トイレの便座から病気になるという可能性はやっぱり低いですね。

ものすごく汚いトイレの便座に座った場合、ブドウ球菌感染を起こす可能性はあります。最近のブドウ球菌感染は抗生物質に耐性があるものもあります。しかしそういう耐性のあるブドウ球菌感染は、大抵病院などで見つかるもので自然の世界には見つかっていません。

トイレの便座から病気になった例として、私が聞いたことがあるのは接触皮膚炎タイプのみです。接触皮膚炎はたいてい子供がなるもので、アレルギー反応やオムツかぶれがプラスチックや消毒液などでひどくなるケース。でもこれもよくある話ではありません。もともとあった傷やかぶれがトイレの便座に座ったことでひどくなることはありますが、ただ便座に座ったからって病気がうつったということは、聞いたことがないですし、もし誰かが便座で病気になったとどこかで書いていたとしても、証拠としては不十分だと思います。

Vincent Racaniello

米国コロンビア大学 微生物・免疫学教授

トイレの便座から深刻な大腸菌尿路感染症を患うことはあるでしょう。大腸菌は我々の腸管に住み着いているものですが、尿路感染症を引き起こしたり尿路を超えて他の組織の中に入り込んでしまったりということがあります。

尿路の糞便汚染は尿路と肛門の近さが原因なので、特に女性は男性よりもこういった問題が起こりやすいです。女性の尿道は男性よりも短く、膀胱に細菌が入り込みやすいのです。男性は尿によって細菌を流し出せる傾向にあるものの、歳をとるにつれて男性の尿路感染症は増えてきます。

James Johnson医師に私がインタビューをした時のことをお話します。初老の男性が腎臓に大腸菌が入ってしまったことによる尿路感染症で入院していました。彼の娘さんがお見舞いに訪れた際、男性の部屋のトイレを使用しました。すると、その娘さんも同じ尿路感染症になってしまったのです。

お父さんの細菌が含まれた尿がトイレの便座についてしまっていて、その便座を使用した娘さんが細菌を受け取ってしまったというわけです。水から感染したということも考えられます。どちらにしても便座をクリーナーで拭いてから座ることは大切です。

でも菌が水に含まれてしまっている場合は、しぶきがかかると感染してしまう恐れがあります。覚えておいてほしいのは、トイレは流す時に噴霧を起こすので、口から吸い込む可能性もあるということです。でも昔は道に糞尿していたため病気が流行していたことを考えると、トイレは我々の文明においてとても大きな発明ですね。

Laura Kasman

米国サウスカロライナ医科大学 微生物・免疫学准教授

理論上は「はい」ですね。でも可能性はかなり低いです。もし便座に触れる部分の肌に、切り傷や擦り傷があった、しかもあなたのちょっと前に座った人が同じ部分に触れていたとしたら、病気がうつる可能性があります。

その場合、イボやヘルペスを引き起こすヒトパピローマウイルスに感染する恐れがあります。それを防ぐには、自分の手を便座においてその上にお尻をおいて座るようにしてください。そしてその後、手を念入りに洗えば大丈夫。便座が冷たい場合にも手をひけば暖かいですしね。

自分の手を便座に敷く方法、これが一番手っ取り早いかも(手に傷がなければ)。それにしてもコロンビア大学の先生の話は実例も挙げられていてちょっと怖いですけどね。


Image: Sam Woolley/Gizmodo US

Daniel Kolitz - Gizmodo US[原文

(岩田リョウコ)