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約50年前に撮影された月の高解像度写真を現代でよみがえらせる「ルナ・オービター画像復元プロジェクト」とは?


ルナ・オービター画像復元プロジェクト」とは約50年前に打ち上げられた無人月探査機「ルナ・オービター」1号~5号が、撮影した月面の高解像度写真を現代のデジタル画像として復活させるプロジェクトです。当時撮影された写真の復元には、記録データの復元のための機械の修復など多くの作業を必要とすることになりましたが、2018年現在では2000枚の画像を復元することに成功したとのことです。

McMoon: How the Earliest Images of the Moon Were so Much Better than we Realised – World of Indie
http://www.worldofindie.co.uk/?p=682

1966年~1967年にかけて地球から打ち上げられた5機のルナ・オービターは、後の有人月面着陸プロジェクト「アポロ計画」で月面の着陸地点を調査するために、月面の高解像度写真を撮影する機能を有していました。ここで撮影された写真はアポロ計画のためだけに使用されており、写真が公開されることはほとんどなかったとのこと。


当時、ルナ・オービターが撮影した画像は磁気テープに保存されており、アポロ計画以降メリーランド州が管理していました。その後、1986年にこれらのテープがNASAジェット推進研究所(JPL)に移管されることになり、当時JPLで公文書保管の仕事を行っていたナンシー・エヴァンズ氏にテープをどうするか一任されることになりますが、同氏はテープを処分せず、保管することにします。

そして、数年後にエヴァンス氏は「ルナ・オービターの画像データを将来のために復元するべき」だと考えるようになり、NASAのエイムズ研究センターに持ち込み、ルナ・オービターで撮影された写真をデジタル化する「ルナ・オービター画像復元プロジェクト」を開始することにしました。

しかし、ルナ・オービターの画像復元は困難を極めることになります。プロジェクトチームはルナ・オービターの磁気テープを読み込むために、実際にNASAで使用していたテープドライブ「Ampex FR-900」を4台入手することに成功しますが、入手した機器はホコリをかぶり、さらに壊れていたため、機器の洗浄と修復から始めることになりました。


その後、磁気テープに保存されたデータを読み取るための復調装置、アナログ/デジタル変換器、データを確認するためのモニターを取り付けることでデータの抽出準備が完了します。しかし、プロジェクトチームの困難は、まだまだ続くことになりました。ルナ・オービターが撮影した写真が収められている磁気テープの数は1500本あり、各テープにはラベルが貼られていませんでした。このため、1枚の画像を復元するためには、テープ内に保存されているデータがどのテープと関連しているかを1つずつ調査する必要があり、とても時間のかかる作業が強いられたようです。


2007年から本格的に画像の復元作業に取り組み始めたプロジェクトチームは、2008年11月に最初の画像の復元に成功し、2018年現在では2000枚の画像を復元しています。復元した画像は現代でも巨大な画像ファイルであり、最大の解像度にすると、1枚あたり約2GBの容量になるそうです。実際に復元された月面写真の1つは以下の画像となっており、約50年前に撮影されたものとは思えないほど、高いクオリティであることがわかります。

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in メモ,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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