「ゲーム依存症は精神障害」WHOが正式に認める。……そっか。そうだったんだね

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「ゲーム依存症は精神障害」WHOが正式に認める。……そっか。そうだったんだね
Image: Shutterstock

ゲーム好きはドキっとしちゃうところがあるかも。

寝ても覚めてもゲーム、家族団欒に混ざることもなく食事も別、学校や勤め先にすら行かない──。これは「障害」で、治療する必要があります。

「まさか、単なるゲームでしょう? やめようと思えばいつだってやめられるはず」と思うことなかれ。

WHO(世界保健機関)が日本時間の2018年6月18日に、ゲーム依存症を正式に国際疾病分類最新版に加え、精神疾患に認定したのです。

ゲーム障害の特徴

WHOのウラジミール・ポズニャク博士によると、ゲーム障害の特徴は大きく分けて次の3つになります。

1)他の活動よりもゲームが優先。他の活動を優先すべきでもゲームをとってしまう。

2)こういった行動を自分で制御できず、悪影響が出たとしてもゲームを継続してしまう。また段階的に上がってしまう。

3)この状態が個人、家族、社会、職業の機能に重大な苦痛と障害をもたらす(睡眠パターンの乱れ、食事障害を含むことも)。

ゲーム障害と診断するには、最低でも12ヶ月は同じ状態が続く必要があり、数時間、数日間ゲームに没頭した程度では認められないそうです。しかし、他の基準が満たされ、十分に深刻な症状が見られる場合は例外として診断が下されることもありうるのだとか。

治療

ゲーム障害は、全体的にギャンブル障害の診断特徴非常に似ています。ギャンブル障害は、物質関連障害とは異なりますが、同様に依存が見られる障害です。

ギャンブル依存症の場合、問題を抱える本人が「依存症であることをはっきりと認識」することが治療の一歩。その上で人間的な変化や成長を促す心理療法が効果的とされています。それだけでなく、同じ問題を抱える人たちで自主的に集まる自助グループに長期的に参加することも勧められています。

ある16歳のゲーム障害患者は、シアトル郊外に位置するゲーム中毒患者治療施設「reStart」でオンライン生活を完全に断ち切っています。しかしその前に自分の状況を客観的に話すことができているので、自分の障害を認識、理解しているようです。

「reStart」のセラピーでは社会性が重要視され、屋外でのアクティビティ生身の人間との触れ合い等が行なわれます。

治療継続の難しさ

去年1年で19人の患者がこの施設を卒業していったそうですが、彼らの戦いはまだまだ続きます。というのも、現実社会に戻れば周りにはガジェットが溢れています。アルコール中毒患者や薬物中毒患者は、そのものを避ければ依存症を克服できるかもしれません(現実はそう簡単ではないでしょう)。しかしモバイルやPCといったものは学校の授業で使うこともあり、完全に生活から排除することは困難です。またどんなに気をつけていても広告でゲームを目にしてしまうこともあります。

ギャンブルやゲームに限らず、依存症は家族や周囲の生活まで滅茶苦茶にする恐ろしい病気です。私は家族の中に依存症患者がいたので、その苦しさと恐ろしさは身をもって理解しています。

今回、WHOがゲーム依存症を精神障害と正式に認めたことには大きなニュースです。しかし、認知が広がり適切な施設グループが増えなければ意味がありません。アルコールやギャンブルと異なり、ゲームは低年齢で始められるものも多いため、早い段階で依存症になってしまう人もいるでしょう。ガジェットを触らずには生活できないこの世の中ではリハビリ持続は簡単ではありません。せめて、ペアレンタルコントロールでゲーム広告を一切表示しないようにする設定ができたりすれば、少しは改善されるのではないでしょうか。



Image: Shutterstock
Source: CNN

中川真知子