月額課金アプリの解約を簡単にしてくれたGoogle。もちろん登録も簡単にしてますけどね

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  • author 塚本 紺
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月額課金アプリの解約を簡単にしてくれたGoogle。もちろん登録も簡単にしてますけどね
Image: Creative Caliph/Shutterstock.com

知らず知らずに払い続けてイタタ…を防ぐ。

定期課金型のアプリ、忘れた後も課金されてしまい残念な思いをしたことがありますでしょうか。仕方ないからもうちょっと使った後に解約しよう…と思ったらうっかり自動更新されてしまう、なんて痛恨のミスもやってしまうわけです。しかしGoogle(グーグル)は「サブスクリプション・センター」機能を追加することで、定期課金の解除を簡単にしようとしているようです。今年5月の開発者向けカンファンレンス、Google I/Oで発表されたこの機能がつい先日、Androidユーザーの大部分に公開されました。

サブスクリプション・センターは課金をするアプリ情報をわかりやすく表示することで、ユーザーがどのアプリにお金を払っているのかを管理しやすくします。Googleによると、この機能を使って新しい課金登録もでき、既に登録してある課金アプリも管理でき、登録解除も簡単にできるとのこと。ユーザーには非常にありがたい機能ですよね。

対応しているAndroid端末であれば、サブスクリプション・センターはGoogle Playのメニューにすでに設置されています。アプリマーケット→左上の三本線(いわゆる“ハンバーガー”ボタン)→サブスクリプション・センターのメニューを押すと、現状の課金登録がどうなっているかを見ることができます。いつから課金が始まったのか、どれだけの金額を払っていて、期間は毎月なのか、毎週なのか、そして次の課金はいつなのか。こういった情報がひと目でパッとわかるわけです。

以下はGoogleが説明する、「サブスクリプション・センターで出来ること」リストです。

・全ての定期課金の詳細とステータスを見る
・支払い手段、バックアップ支払い手段の設定を管理・更新できる
・定期課金の更新ができる
・キャンセルした定期課金を再開できる
・定期課金をキャンセルできる

課金解除を忘れている人はデベロッパーにとってもGoogleにとっても有益なのに、ユーザーフレンドリーで有り難いなぁ…とすぐに思ってしまいそうですが、そこはもちろん大企業Googleです。課金サービスへの登録も簡単にしました。その一つが「ディープリンク」と呼ばれるもの。これを使うことで、ウェブ、Eメール、ソーシャルメディアから直接、課金登録とジャンプさせることができるようになります。なるほど、課金登録が簡単になるから、キャンセルも簡単にしないと問題になるよね、ということでしょうか。さらにユーザーに「あなたはこのサービスに登録したいかも」と定期課金サービスを推薦してくる機能も導入しつつあるようです。

これによって、定期課金のコントロールという点ではiOSよりもAndroidのほうが快適になったと言えるでしょう。iPhoneやiPadのユーザーはメニューを何回もクリックしてサブスクリプション設定を発見しないといけません。アプリストアを開き、ユーザーアイコンをクリックし、名前をクリックし、ログインし、サブスクリプションをクリックして画面を開いても、いつ課金が始まったか、毎月どれくらい払っているか、といった情報はすぐには目に入りません。詳細項目をクリックしてやっとそれが確認できるのが現状です(日本のApp Storeでは「いつ課金が始まったか」の情報は確認できませんでした)。

GoogleもAppleも、こういった定期課金の一部を手数料として受け取っており、その金額は恐ろしいほどの額になっています。それを考えるとAppleが「わかりやすく課金キャンセルできる」機能を作らないのも当然ですね。現状ではAppleもGoogleもサブスクリプション課金の15%を手数料として受け取っています。アプリ関連のリサーチ企業Sensor Towerのレポートによると、AppleのApp Storeは2017年に385億ドルのセールスを生み出し、GoogleのPlay Storeは201億ドルとなっています。この多くは一度限りの購入ですが、定期課金のアプリは増加傾向にあるとのこと。Appleが2016年に発表したデータでは、その前年と比べて74%も増加しています。2017年にGoogleが発表したデータでは、直近の3年間で 定期課金のアプリ登録は10倍も増えているとのことです。つまり月額課金のアプリをいかに普及させ、ユーザーに登録状態を維持させるかがAppleとGoogleにとって今後、重要なビジネスとなる可能性があるわけです。

そのためにもユーザーには親切に、誠実に、というのがサブスクリプション・センターの狙いでしょうか。

Image: Creative Caliph/Shutterstock.com
Source: Google via TechCrunch
Reference: The Verge, Sensor Tower, Fortune, Medium

AJ Dellinger - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)