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「ルパン三世 PART5」に隠された“凄腕ハッキング”の手口 専門家が解説アニメに潜むサイバー攻撃(1/5 ページ)

» 2018年06月25日 08時00分 公開
[文月涼ITmedia]

連載:アニメに潜むサイバー攻撃

サイバー攻撃は、時代に合わせ、攻撃の対象や手口が変化してきました。しかし近未来の世界、最新技術へのセキュリティ対策はイメージしにくい部分もあります。そこで、そう遠くない未来、現実化しそうなアニメのワンシーンをヒントに、セキュリティにもアニメにも詳しい内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の文月涼さん(上席サイバーセキュリティ分析官)が対策を解説します。第2回のテーマは「ルパン三世 PART5」です。

photo 原作:モンキー・パンチ ©TMS・NTV

文月(以下F): あ゛あ゛あ゛あ゛〜、格好いいよルパン! 小説なら「行間を読む」っていうやつ? 最近のアニメではとんと見なくなった渋い演出? ルパンと不二子ちゃんの黄昏(たそがれ)の電話とか、アミ[網]の沈黙と問いかけとか! んんもうサイコーオオオ! それにルパンのせりふ「俺がお前を守るのは、そういう俺が好きだからさ」――何てええええええ! おおおおおおお〜くぁwせdrftgyふじこlp!

ITmedia NEWS編集K(以下K): はぁ……。Fさん、アニメのファンブログじゃないんですから。それに、官僚の品位を疑われますよ。

F: えっとぉ……国民のニーズに応えて?

K: うおおおおい! すっごく限定された国民だな! 可愛く首かしげて舌出してもダメ! 両手をほっぺたに当てて、タコみたいな口してもダメです! 早く始めてください!

著者紹介:文月涼(ふづき・りょう)

大阪市立大学卒。日産自動車就職後フリーライター・カメラマンに。デジタルカメラに関する記事を執筆するが「あまりに辛辣な記事を書くため、さまざまな事情で引退」(本人談)。その後、内閣官房内閣広報室、内閣サイバーセキュリティセンターに勤務。「国民の皆さまにサイバーセキュリティに関する興味をもってもらうためには『何でもする!』をモットーに連載しているので、登場する本人のキャラクター像は意図的にかなり大変ものすごく脚色されています。あしからずご了承ください」


(編集部注)以下、ストーリーの核心に迫るネタバレを含みます。ご注意ください。


凄腕ハッカー「アミ」の手口

F: 気を取り直して真面目に参ります。サイバーセキュリティ分析官として今回の「ルパン三世 PART5」で最も目を引いたのは、ヒロインでハッカーのアミ[網]の存在ですね。調べてみたのですが、これまでもルパンにはハッカーが登場したことがありますね。前回のシリーズPART4でもルパンが英国の情報機関「MI6」のデータベースにやすやすとアクセスしているところを見ると、ルパンシリーズもルパン自身も着々とネットワーク・デジタル時代に対応しています。

photo ヒロインでハッカーのアミ 原作:モンキー・パンチ ©TMS・NTV

 そのルパンが今回、仮想通貨を盗むため協力者として凄腕のハッカー、アミ[網]を「盗み」に来ます。ルパンとの取引が成立し、アミ[網]は一時、ルパンと行動を共にすることになるわけです。

K: Fさんはよくフィクションでのハッカー像についてブツブツ言っているじゃないですか。リアルじゃないとかあり得ないとか。アミはFさんからみてどうですか?

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