クルマとLINEで話せちゃう! トヨタ初の「コネクティッドカー」は究極のクラウンと若くなったカローラ

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  • author 西谷茂リチャード
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クルマとLINEで話せちゃう! トヨタ初の「コネクティッドカー」は究極のクラウンと若くなったカローラ
Photo: ささきたかし

あっ、ガソリン足りてる?

映画『カーズ』に出てくるクルマたちを見て、「あぁ、なんて楽しそうなんだろう。愛車ともこんな風に話せたらなぁ…」なんて思っていたら、できるようになりましたよ。ちょっとだけ。

本日6月26日から発売される新型「クラウン」「カローラ・スポーツ」は、トヨタ初の「コネクティッドカー」です。訳すと「繋がっているクルマ」なんですが、この二車はなんとオーナーのLINEアカウントとも繋がれちゃいます。たとえば目的地を設定した後に「ガソリン足りる?」って聞けば、「給油なしで往復できそうです」なんて返ってきたりするんです。これめちゃ良いですよね。

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Photo: ささきたかし

ほかにも答えてくれる内容はいろいろあって、旅程を一緒に考えてくれたりしますよ。ドライブしに行く場所をLINEで伝えれば、目的地の天気や、いつ出発すれば何時までに着くなどを教えてくれます。そしてそのまま目的地をカーナビにセットしてくれたりと、めっちゃ気の利くドライバー的なありがたみ。

でもトヨタのコネクティッドカーが繋がるのはLINEだけではなく、さまざまなサービスがあります。とはいえ、すべてをこの記事で紹介するわけにもいかないので、「おっ」と思ったものを3つご紹介。

命を救う「マイカーSecurity」

これは冗談抜きにシートベルト並みに大事な機能でしょう。「マイカーSecurity(エアバッグ連動タイプ)」は、エアバッグが作動した瞬間にその当時の走行データを参考にしながら重症度を推定し、ドクターヘリ等の出動を要請してくれる「D-Call Net」に対応しています。1分1秒が生死を分かつ状況には、この機能はほぼ必須でしょう。

クルマがアシスタントな「エージェント」

ボタンひとつで呼び出すトヨタの「エージェント」は、さながらクルマ専用の音声アシスタントです。GoogleアシスタントやSiriに話しかけるイメージで、たとえば「オススメのラーメン屋」と話しかけることで、近所のラーメン屋が探せます。一番役立つのは駐車場やガソリンスタンドを探している時でしょうか。

これデモでは若干のラグがあったんですが、驚いたのはどうやらこのエージェント、トヨタ謹製なのだそう。

サーバーからAIの機械学習モデルまですべて自社でそろえているとのことなので、この機能を人々が実際に使い始めたらすごい速さで進化する気がします。ハードウェア(クルマ&サーバー)とソフトウェア(AI&ナビ対応)を自前で用意する姿勢は、ちょっとAppleを連想させますね。

これは嬉しい「トヨタつながるクルマの保険プラン」

いまのところクラウンのみが対応している機能のようですが、「トヨタつながるクルマの保険プラン」を利用するとで、安全運転をすると保険料が下がります。これ待ってました!

仕組み的には、まず私たちの運転の仕方が車のあらゆるセンサーに読み取られます。そしてそのデータがトヨタに送られ、正確な走行データをもとに私たちの安全運転の度合いが評価されたのち、結果に応じて自動車保険料の割引されるわけです。こういった制度がなくても安全運転することは大事ですが、分かりやすい数字やお金で還元されるとなんだか報われる感じがして嬉しいですよね。事故も減りそうなこの制度は、広く普及して欲しいと思います。

フルモデルチェンジの末に生まれた究極のクラウン

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Photo: ささきたかし

15代目となる新型クラウンには、初代コネクティッドカーの上位モデルというもうひとつが顔があります。伝統を引き継ぎつつ最先端の技術を取り入れなければならないこのクルマに、トヨタは「モビリティーカンパニー」としてプッシュしている技術「ITS Connect」のオプションを設定しました。

この技術は、将来的にMaaS(サービスとしてのモビリティー)の下支えとなりうるシロモノで、たとえば自動運転車のタクシーを呼び出せるような時代になったら、その指令をタクシーに送るのはITSを通じてかもしれません。要は、コネクティッドカーの本領が発揮される時代を見据えた技術なのです。

でもそんな未来技術、今できることは少ないんじゃないの? とお思いのあなた、半分正解。確かに今はまだフルポテンシャルを発揮できませんが、いくつかの重要な機能が使えます。信号などのインフラから情報を受け取ったり、ITSを搭載したクルマ同士が直接通信することでお互いの存在を知らせるなどなどですね。

特に後者に関しては、見通しの悪い曲がり角などで起きがちな衝突をふせいだりしてくれるので、お世話になることは少ないかもしれませんが、機能した時はすごいありがたみを感じるでしょう。

新型「カローラスポーツ」は若者向け

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Photo: ささきたかし

本当の意味でコネクティッドカーの普及を後押しするのは、このカローラスポーツです。若者に向けて新たに開発されたとだけあって、合理性とかっこよさが兼ね備えられているなと感じました。マイカーSecurity、エージェント、LINEで繋がれる、という基本的なコネクティッド機能が使えつつも、手の届くクルマとなっています。

そして今年の8月には、「スポーツ」という名に恥じぬインテリジェント・マニュアル・トランスミッション(iMT)を積んだモデルも発売されます。走る楽しさを忘れないのがいかにもトヨタらしいですよね。あとちょっと脱線しますが、このハッチバックはめちゃ便利そう。扉が樹脂製で軽いというのと、中にある日よけフタが着脱可能なんです。

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Photo: ささきたかし

でも、コネクティッドカーの本領はまだまだ

トヨタにはもっともっと頑張って欲しいです。Tesla(テスラ)のモデルSみたいな例外的なクルマと比べても仕方ないですが、もっとコネクトしているクルマもあります。これから自動運転車が走り回りはじめ、それらをARグラスとかで呼び出す人たちで街が溢れている時代に、日本のクルマとサービスが世界中で人とモノを運んでいたら嬉しいですよね。やっぱり、いつの時代も走る楽しみはあって欲しいですし。

さて。今のうちにクルマとLINEでお友達になっておこうかな。


Photo: ささきたかし
Source: トヨタ自動車株式会社

(西谷茂リチャード)