これまで出会った、何かを達成してきた人たちの多くが、「自分を変えたいなら、付き合う人・環境を変えなさい」と言います。確かに私たちは、付き合う人や環境から大きな影響を受けますし、人生が変わっていく姿は、私の行っている多数のコンサルティングからも経験的にうなずけます。では、その本質はどこにあるのか、実践するために何からはじめればよいのか考えてみたいと思います。

古川武士(ふるかわ たけし)/習慣化コンサルタント

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関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。約3万人のビジネスパーソンの育成と約500人の個人コンサルティングの現場から「続ける習慣」が最も重要なテーマと考え、オリジナルの習慣化理論・技術をもとに個人向けコンサルティング、習慣化講座、企業への行動定着支援を行っている。主な著書に「続ける習慣」「やめる習慣」「早起きの技術」などがあり、全16冊、計70万部を超え、中国・韓国・台湾など海外でも広く翻訳され読まれている。公式サイト

付き合う人と環境が自分に影響を与える理由

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まず、環境と自分の相互作用には、次の2つの故事に真実はあるように思います。

1つ目は「朱に交われば赤くなる」。“人は関わる相手や環境によって、良くも悪くもなる”というものです。

私は仕事柄、企業の新入社員研修を行いますが、商社、広告代理店、メーカーのエンジニアなどの新入社員は、わずか1年でどっぷりと社風に慣れ、その会社・職種らしい話し方や態度をとるようになっていきます。放つオーラや言動も1年前とは随分と変わります。1年間、来る日も来る日も先輩や上司と仕事をし、同じように思考・行動することで、また飲み会などで深く語り合うことで人間関係が密になり、大きな影響を受け、次第に朱に交わり、赤くなっていくわけです。

そしてもう1つの故事が「類は友を呼ぶ」で、“気の合う者や似た者同士は、自然に寄り集まって仲間をつくる”というものです。学生時代のクラスメイトも、体育会系でノリのいいタイプ、文化系で大人しいタイプ、ちょっと悪ぶった不良グループなど、気が合う似た者同士が不思議な力で引き寄せられていたことを思い出します。

人間関係において「気が合う」ことは重要で、合わない者同士が一緒にいてもしんどいものです。しかし、マイナス思考でいると、仮に気が合ったとしても、マイナス面が増大するだけで悪影響となります。わかりやすいのが、集まれば会社や上司、仕事の不満や愚痴の語り合いになる飲み会。単なるストレス発散と思いがちですが、周囲の話に耳を傾けると、そのように世界が見えてしまうわけです。

私たちは、付き合う人や環境から強く影響を受けて自分がつくられるし、似た者同士が自然に集まるという法則の中にいます。だからこそ、自分を変えたいと思った時に、付き合う人・環境を変えていくことに意味があります。

あなたが理想とする人たちが集まるグループに参加し、同じ環境に身を置くことで自分はどんどん変わっていきます。一緒にいる人たちの感情、思考、行動などが自分の習慣に良い影響を与えるからです。では、何からはじめれば、良い影響を受けられるようになるのかを見ていきましょう。

人生を変えていく環境の選び方・行動のはじめ方

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Image: NLshop /Shutterstock.com

ここでは、3つのポイントにまとめて解説したいと思います。

1. 大好きなことをはじめてみる

まず何からスタートするかですが、興味があり、好きなことからはじめてみると、その先に自分の人生にエネルギーと刺激を与えてくれる人との出会いがあるものです。それはジョギングや料理教室などの趣味かもしれませんし、語学や資格を習得するスキルアップの場かもしれません。私は空手をやっていますが、道場ではこれまで出会ったことのない人たちから大きな刺激を受けています。

2. 好きか嫌いかを重視する

類は友を呼ぶというのは、気質・自分らしさの共有ではないかと思います。なぜか引き合う同じ波動の人がいます。単純に言えば、一緒に時間をすごしたいと思うか、その人が好きか嫌いかです。この感覚を大切にしないと、社会的に成功しているグループや人物であっても、苦手な人ではその朱の中にいることは苦しく、最終的に関係性が長続きしないので、良い影響を受けることも難しいものです。

3. 自分らしさを認識する

私が出会った魅力的な人、良い影響を与えてくれる人に共通しているのは、自分が好きなことをやっている、自分らしい生き方や考え方を選択していることです。その前提として、何が自分らしくて、何か自分らしくないかをはっきりと認識することです。しっかり認識できるようになれば、自分の魅力や磁力となって、人生に大きな影響を与えるかもしれない人たちを引き寄せることも難しくないと思います。

私たちの日常は、言われてみれば「それは、そうでしょう」ということが多くあります。今回取りあげたテーマもその1つかもしれません。ただ、気にするか、意識するか、実際に行動するかで、今後の人生で大きな違いが生まれることもあります。皆さんの感情、思考、行動は、習慣化されて形成されています。変化を求めるときは、勇気を持って現状の習慣も変えてみましょう。

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