筆者はこれまで、取っ散らかった日々の生活をきれいに整ったスプレッドシートでどうにかしようとしてきた。丁寧に作ったグーグル・カレンダーの中にワーク・ライフ・バランスが見つかるかもしれないと願いながら…。

筆者がスタートアップで働いていたとき、生産性は人生の中で特に重要な役割を果たしていた。新たな課題が山積する中、仕事の効率を上げることが究極のゴールになっていたのだ。

高まる周囲の期待にこたえ続けるため、筆者は時間管理術の「ポモドーロ・テクニック」から朝早く起きて仕事の前にエクササイズをす方法まで、ありとあらゆる生産性アップのためのアドバイスを取り入れようとしてきた。しかし、いざやってみると、思うような成果は永遠に上がりそうになかった。どれも続かず、それはわたしに問題があるように思えた。

だがそれは、多くの生産性アップのためのアドバイスがわたしたちを静的なものとして扱うせいだ。日々の生活のストレスを考慮に入れていない。しかし、わたしたちは人間だ。欠点もあれば、面倒なとき、混乱しているとき、やる気が起こらないこともある。生産性アップのカリスマにダメだと批判されても、それは普通のことだ。重要なのは、こうした自身の傾向に抗うのではなく、寄り添うことだ。

筆者のように、生産性を上げるための一般的なアドバイスがうまくはまらないあなたに、試してみる価値のある5つの方法を紹介しよう。

1. ひとつのことに集中しよう

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一度にいろんなことをやろうとしていない?
Estrada Anton/Shutterstock

スタンフォード大学のある研究によると、一度に複数のことをこなそうとするマルチタスクな人は「一度にひとつのタスクを集中して終わらせる人に比べ、注意力不足に陥り、記憶がコントロールできず、次から次へとやることを変える」と言い、マルチタスクは注意力散漫になりやすいという。

筆者も前職では、カレンダーに「打ち合わせはなし」「予定は入れない」といったイベントをあえて入れることで、目の前の仕事に集中する助けになった。

2. やりたくない大変なタスクは、小分けにしよう

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タスクを小分けにしよう。
chainarong06/Shutterstock

生産性アップについて多くを読んでいたら、「カエルを食べろ」というフレーズを聞いたことがあるかもしれない。これはアメリカの作家マーク・トウェイン(Mark Twain)の引用だ。トウェインはまず朝にカエルを食べてしまえば、最悪のことが終わっているのだからあとの1日は楽になると言う。

ただ、その「カエル」があまりにも大変なときは、一気に片付けようとせず、小分けにしてその負担を軽くしてみよう。

3. 流れに身を任せよう

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自分に無理のないスケジュールを立てよう。
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スケジュールは、できるだけ自分自身の自然な傾向にしたがって立てよう。例えば、筆者は夜遅くの方が想像力が働くことが多い。そして、自分で自分のスケジュールをコントロールできるので、朝は比較的簡単なタスクを済ませるようにしている。そうすることで、頭に余裕を持って1日働くことができる。

ただ、覚えておいてほしい。 集中力や想像力は不変ではない。週によって、日によって、時間によって変わるものだ。だからこそ、調子が乗ってきたらそのタイミングをうまく生かそう。

4. 節約した時間は還元しよう

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節約した時間の全てを仕事にささげる必要はない。
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生産性アップのポイントは、少ない時間でより多く、より良い結果を出すことだ。理論的には、生産性が上がれば自分自身の生活のための時間が増える。だが現実的には、仕事が増えることが多い。

節約した時間の全てを仕事にささげる必要はない。少なくとも、その一部はあなた自身のために取っておくべきだ。そうすることであなたがより幸福になれたら、それは科学的にも正しい行動だ。ウォーリック大学のある研究によると、イギリスでは幸福を感じている労働者の生産性はそうでない労働者よりも12%高い

5. 自分の性格に合わないアドバイスは無視してOK!

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みんな違って、それでいい。
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どうすれば物事がやりやすくなるか、自分自身に聞いてみよう。「目の前が下り坂のスロープに車を止めるとき、足をブレーキから離して車を動かす以外にどんな条件が必要だろうか? 」ミネソタ大学のテレサ・グローン(Theresa Glomb)教授はハーバード・ビジネス・レビューに語った。

生産性を上げるための多くのアドバイスは、タイプAと言われる競争心が強く、せっかちといった性格傾向を持つ人向けにデザインされていることが多いようだ。しかし、もしあなたがのんびりした性格の持ち主で睡眠や人付き合いを大事にするなら、こうしたアドバイスは無視してしまおう。あなた向けでないし、それで何の問題もない。朝5時に起きてヨガと瞑想をしても、そもそも多くを得られるかどうかは分からない。少なくともわたしの経験上、無理にしようとしても二度寝して罪悪感に陥るだけだ。

生産性を上げたいと真剣に願うなら、何が自分に合うのか新しいものを試してみるのは良いアイデアだ。ただ、その情報源と自分に合うものかどうかは良く見極めよう。

BUSINESS INSIDER JAPANより転載(2018.05.26公開記事)

[原文:How to be more productive if traditional productivity tips don't work for you]