【ネタバレ】監督降板という窮地からいかに立て直したのか。映画『ハン・ソロ』ロン・ハワード監督インタビュー

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【ネタバレ】監督降板という窮地からいかに立て直したのか。映画『ハン・ソロ』ロン・ハワード監督インタビュー
Image: (C)2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

銀河を救う反乱軍の英雄の知られざる誕生秘話を描く映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』。

製作途中で監督が降板したことでも大きな話題となった今作で、新たな監督を引き受けたロン・ハワードにインタビュー!

かつてオファーを断ったこともある『スター・ウォーズ』をなぜ今引き受けることにしたのか、そして引き継いで一体何から取り掛かったのかなどなどたくさん語っていただきました。

(核心には触れないもののラストシーンに関する質問があるので、ネタバレが気になるという方は本編を観てからお読みください)




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Image: (C)2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

──今回の作品には途中から参加するという形で、すでに配役やプロダクションデザインなどなどいろいろ決まった状態だったとも思いますが、まず最初に取り組んだのは何だったのでしょうか?

ロン・ハワード(以下、ハワード):まず最初にやったのは、キャスリーン・ケネディを始めとするプロデューサー陣、脚本のカスダン親子、VFXのスーパーバイザー、編集者との話し合いです。

みんなで今まで撮影された映像を時間をかけて確認しながら、好みな映像、もっと手を加えてみたら良さそう映像、やり直したほうが良さそうな映像などを選び、以前の脚本から新たにどんな要素を盛り込むかを考えていきました。プリビズ(簡易なCGで作られた絵コンテ的な位置づけのシミュレーション映像)のチェックもしました。それから実際に追加撮影の計画を立てていきました。ここまでを大体2週間でやりました。

──だいぶ忙しいですね!

ハワード:2週間でやるには、かなりの量の仕事でした。それからの追加撮影は約78日かかりましたね。追加のシーンのために新しいデザインを作ったりすることもあったので、そのチェックにも追われていました。そこからさらに追加の撮影を数日行なったりもしています。

映画が完成するまでより良い作品にする方法を模索していく作業はずっと続きました。今までやってきたどの企画よりも直感を活かす場面が多く、たくさん学ぶことができました。言わばクリエイティブかつ面白い試練で、製作スタッフ一丸となって見事に立ち向かっていくことができたのを誇りに思っています。

──最初にプロデューサーと話し合いをしたとのことですが、キャスリーン・ケネディさんからどんな指示がありましたか?

ハワード:キャスリーンはオリジナルの脚本に対して信頼を寄せていましたが、ユーモラスだったり感動的な場面を設けることで、よりキャラクターに深みを与えられるなら何を試してもいいと後押しされました。

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Image: (C)2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

あと彼女から、キャラクターとその行動がしっかりと一貫していることを求めていました。たとえばケッセル・ランでL3-37(女性型ドロイド)に起こることは当初脚本にはありませんでしたが、物語で描かれたキャラクターの伏線をあそこで回収することにしたんです。

──『スター・ウォーズ/ファントム・メナス』の時にジョージ・ルーカスからの監督のオファーを断っていましたが、今回は何故『ハン・ソロ』を引き受けたのでしょうか?

ハワード:ジョージ・ルーカスからプリクエルの監督に興味はないかと持ちかけられたのですが、その時はちょうど自分がイマジン・エンターテインメント(ロン・ハワードが映画プロデューサーのブライアン・グレイザーと共に立ち上げた製作会社)を始めたばかりで、大事な時期でした。

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Image: (C)2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

自分の会社の作品に注力したかったので、『スター・ウォーズ』という大規模な作品に参加する余裕はありませんでしたね。

しかし今回の映画は状況がずいぶん違って、丸3年も関わる形ではなく9~10カ月程度の参加だったので、私にとっては大好きな『スター・ウォーズ』に短い期間で関われる絶好の機会だったんですよ(笑)。

──イマジンでは多くのドラマの製作も手がけていますが、先日その製作が発表されたドラマシリーズの『スター・ウォーズ』のオファーがあったら製作であれ、監督であれ、ナレーションであれ参加してみたいと思いますか?

ハワード:オファーがあってもナレーションは『ブル〜ス一家は大暴走!(アレステッド・ディベロプメント)』だけと決めているのでやらないでしょうね(笑)。

イマジンと言えば、『ウィロー』のTVシリーズ化をルーカス・フィルムに持ちかけています。もし実現したら、ワーウィック・デイヴィスと再び仕事をしたいですね(訳注:『ハン・ソロ』にも出演している)。

──最後に登場するあのキャラクターは誰のアイデアだったのでしょうか?

ハワード当初の脚本では「大物」と書いてあるだけで、誰を登場させるかは書いてありませんでした。てっきり決まってるものだと思ってカスダン親子やキャスリーンに確認したら、登場させることのできるキャラクターの一覧が用意されているだけでした。

そこであのキャラクターの名前を見つけて、そこまでのストーリーを知り、出すことを決めたんです。『スター・ウォーズ』の大ファンの息子にその話をしたらかなり興奮していたので、これはイケると確信しましたよ。


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Photo: ギズモード・ジャパン編集部



子役時代から本当に長い間ハリウッドの最前線で活躍を続ける大ベテランから「多く学ぶことができた」という言葉が出てきたことに驚くと同時に、核心を絶妙にはぐらかす匠の技を存分に味あわせていただきました。

実は今回、監督自ら延長を申し出てほぼ倍の時間インタビューさせていただきました。本当にありがたい……優しい……!

映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』は2018年6月29日より公開!


Photo: ギズモード・ジャパン編集部
Image: (C)2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
Source: 映画『ハン・ソロ』公式サイト

傭兵ペンギン