人間だれしも、お腹が空いていると感情が安定しません。いつもは優しい人でも、空腹時はイライラしたり、怒りっぽくなったり、ぶっきらぼうになったり。最大の解決策はもちろん、食べること。でも、それができないときにはどうしたらいいのでしょう。

空腹は感情を活性化させる

最近ジャーナルEmotionに発表されたこちらの論文は、「hangriness」(空腹によるイライラ)という現象をテーマにしています。筆頭著者で、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の博士課程で心理学・神経科学を研究するJennifer MacCormacさんは、すでにお腹が空いた人に長くて退屈なコンピューター作業をさせ、最終的にクラッシュさせるという実験を行いました。

実験協力者がコンピューター作業を終えようとした瞬間、「死のブルースクリーン」が表示されます。それだけでなく、そうなってしまったことで研究者から責められるという実験です。怒って当然なシチュエーションですが、ある集団は5時間の断食後にこの作業に取り組んだというのです。

その結果、他の研究でも言われているように、空腹が人間の気分に大きく影響することがわかりました。MacCormacさんはこう解説しています

空腹は、自律神経系やホルモンなど、感情に関係する多くの組織を活性化させます。たとえば、お腹が空いていると、ストレスに関係するコルチゾールやアドレナリンなどのホルモンが大量に放出されます。とりわけ強い空腹時は、このホルモンの働きで緊張感や不快感を感じやすくなるのです。

これに関連して、カリフォルニア大学リバーサイド校の心理学者Elizabeth Davisさんが、NPR Scienceの取材に答えています。これによると、私たちの感情は、かつて考えられていたよりもずっと生理学との関係が強く、他の身体的状態にも同じような怒りの感情が伴う可能性があるとのこと。

空腹を抑える方法

では、それを抑える方法はあるのでしょうか。誰だって、朝食を食べそびれたせいで会議中にひどい発言をするなんてことは避けたいものです。MacCormacさんによると、すぐに食べられないときは、次の3つの対策をするといいそうです。

  1. 空腹を自覚する:何よりも、自分が空腹であり、怒りが込み上げやすい状況であることを自覚してください。お腹が鳴り始めたら、油断をしないように自分に言い聞かせるのです。そんなときは、ちょっとしたマインドフルネスが大いに役立ちます。何とか、一線を超えないように踏みとどまりましょう。「お腹が空いたので少しイライラするかも」と周囲に伝えておくのも1つの方法です。
  2. 状況を前向きにとらえる:空腹時のイライラには、背景が重要です。渋滞にはまったとか、締め切りが近いといった状況では、爆発する可能性が高まります。そのような状況下にあるときは、自分が普段よりも危険であることを認識し、空気を変える努力をしてください。MacCormacさんは、楽しい音楽や愉快なポッドキャストをかけるなど、楽しいことをしてストレスを下げることで、爆発のリスクを下げられると述べています。
  3. 自分の身体に注目する:どの時間帯にお腹が空きやすいのか、自分の身体の変化に注意を払いましょう。それがわかったら、その時間帯にお腹がすかないようにおやつを持ち歩いてください。起きてからの対策より、未然に防ぐに越したことはありません。

MacCormacさんは、お腹が空いたときは洞察力がすべてといいます。今話している相手が悪いのではなく、自分が空腹なだけ。前の車が強引に割り込んできたのはキレるに値するのではなく、自分が空腹なだけ。今参加しているのは人生で最悪に長い会議ではなく、自分が空腹なだけ。

空腹を自覚し、状況を改善する努力をしてください。なんとかその場をしのいで食べるチャンスが来たら、すぐに何かを食べに行きましょう。それで万事解決です。


Image: Panupong Thammachai/Shutterstock.com

Source: APA, Science Direct, Quartz(1, 2), UC Riverside, NPR,

Patrick Allan - Lifehacker US[原文