ドローンをビジネスにする方法 写真家 庄野正弘さんインタビューVol.2

第1回:ドローンをビジネスにする方法 写真家 庄野正弘さんインタビューVol.1

 

ドローンを操作してみると思った以上に簡単だと気づきます。そのため、多くの人がドローンを仕事にしたいと考えています。しかし、その分、ライバルも多く、「ドローンを飛ばせる」「空撮できる」というだけでは差別化はできないようです。
それでも、可能性を秘めているのがドローンです。では、ドローンを導入するのはどうすればいいのでしょうか?そして、どんなことに注意すべきでしょうか?
ドローンをビジネスに取り入れている写真家の庄野正弘さんにいろいろ伺ってみました。

庄野氏後編1

まずはトイドローンから始める

──ドローンを始めたい人はどうすればいいでしょう?
トイドローンで練習してから大きな機種を購入するのがいいと思います。トイドローンで相性を見てから考えるべきでしょう。また、そのトイドローンはなるべくチープな方がいいと言えます。最新のトイドローンは飛行も安定しているので練習には適さないのではないかと僕は思っています。と言うのは、チープなトイドローンはホバリングにしてもふらふらして小刻みに舵を取らないと同じ高さをキープできません。そこで培ったテクニックは大型機が風にあおられたときに活かせたりします。

──チープなトイドローンでは上達しないと思っていました。
より難しいもので操縦に慣れていると、どんな大きなドローンが来ても怖くないです。トイドローンを飛ばせる人が一番、強いと思います。最近のドローンはどれも高性能で誰でも簡単に飛ばせてしまいます。でも、トイドローンを飛ばせるかというと、ぜんぜん飛ばせない。プロはどんなトラブルにも対応できるテクニックと経験値は積んでいないとダメだと僕は思っています。だからあえて初心者にはトイドローンを勧めます。それに200g以下のトイドローンだと規制の対象外なので、慣れれば部屋でも飛ばせて練習もできますからね。ただし人の近くを飛ばさないなどのマナーは守ってくださいね。

──誰から習う方がいいでしょうか?
詳しい人が近くにいるといいと思います。できればそれなりの飛行時間を持っている人、キャリアのある人。しかも同じ機体を持っている人ですね。そんな人がいない場合はネットにたくさんの情報があるのでそれらは参考になると思います。
僕は今でも時々木更津のラジコン専門の飛行場に行って練習しています。

──今でもですか?
情報を集めるためでもあります。僕はネットに情報があまりない時代からドローンを始めたので、どうすればいいのかわからないことが多く、機械的なトラブルに困ることもありました。そんな時はそこに行かないと解決しないことが多くあったんです。最近はあまり行けていませんが、落ち着いて飛ばしたいときや実験したいときは行きます。何メートル以上は電波が届きにくいとか、そんなことは実機を操作してみないとわかりません。

──どのような練習があるのでしようか?
機体と同じ向きで操縦する分には難しくはありませんが、機体が横になっただけでも感覚が違ってハードルが上がります。さらに前進するだけでなくて高さも変えたり、八の字を書く、バックしながら旋回するなど、様々あります。思い通りに操作できるようになるには練習をこなすしかありません。そのためには自分で課題を見つけてそれを改善するために練習することです。とはいえ、あまり無茶をしないで自分のレベルに合わせて練習することです。

──東京近郊では簡単に飛ばせるところはありませんよね。
僕はよく、トイドローンを持ってサイクリングに行きます。広場みたいなところでトイドローンでベンチをくぐらしたり、離れたベンチに着陸させたりして練習しています。バッテリー1個では5分くらいしか遊べないのでいくつも持って。練習は楽しみながらやる方がいいと思います。

──スクールはどうでしょうか?
「スクールに行けばなんとかなる」ではなく、スクールは吟味して選ぶべきでしょうね。多くの人は「ドローンは免許がいる」と思っていますが、免許はいりません。その代わり国交省が定めたルールに沿って許可承認がいるケースがほとんどです。「スクールに行って免許を取れば仕事になる」というのは勘違いだと思っていた方がいいと思います。

飛行には注意をはらう

──ドローンを飛ばすときに気を付けていることはありますか?
ドローンを目視できない場所に飛ばすこともあります。例えば、建物の角を曲がるとか、建物を越えて行くとかすると死角になります。なので、必ずアシスタントを付けるようにしています。僕は操縦に集中するので、アシスタントはドローンを目視してもらい、危険があると教えてもらうようにしています。遠い距離だと無線を使って連絡を取り合います。

──アシスタントが必要なんですね。
しかも、そのアシスタントはある程度、ドローンのことを知っていて、僕がどのような映像を撮りたいのかを理解していないといけません。ドローンのことをあまり知らない人に頼むと、カメラの向きを考えないで立ってしまい、本人が写り込んでしまうこともあります。
それでも、僕は半分はモニターを見つつ、半分は機体を見ています。シビアな場所を通るときはほぼ目視です。ドローンレースではパイロットは、モニターが付いたゴーグルで見て飛ばしますが、僕にはまだちょっとムリですね。もちろん、練習すればできるようになるとは思いますし、一度、やらせてもらったときはとても面白く、いい練習になると思いました。でも、仕事では安全と確実に撮影することが求められます。そこにリスクを犯すことはできませんね。

──撮影は必要な部分だけを撮るのですか?
ほぼ、カメラを回したままですね。上空だけでなく低い所も絵になることがあるんですよ。機体が戻ってくるとき、撮りながら降りてくるとけっこういい絵が取れています。ここがけっこう美味しい。

──難しい点は?
やってみないとわからないことが多いことですね。思った通りの映像を撮るには、経験が必要かもしれません。

──今は、何機、保有されているのですか?
ファントム2、3、4とトイドローン1機です。仕事にはファントム3と4を持って行きます。使い分けるのではなく、一機はトラブル時の予備です。

──トラブルが一番、怖い?
バッテリー1本の飛行は約25分ですが、15分経過したあたりから戻す事を考えてますね。機体が遠い海の上にあるとちょっと怖い(笑)。墜落したら目も当てられませんからね。リターン機能があるので、バッテリーが少なくなったら自分で戻ってきますが、それを頼っていると、障害物センサーが反応せず木に引っかかったりすることもあります。自分は基本的に使いません。

センスが求められる

──ドローンの課題はありますでしょうか?
日本は規制が厳しすぎるようには感じます。規制のないトイドローンを操縦して終わるのでは、もったいないように思います。せっかくなら大きな機体で空撮を体験してもらいたい。今のままでは練習もしづらく、子どもだと遊ぶこともできません。ドローンレースをオリンピック種目にしようという動きもあるようですが、日本は今のままでは後れを取ってしまうのではないでしょうか。ドローンレースなどはもっとやりやすい環境にすればと思います。

──今後の夢があったら教えてください。
ドローンは人の乗れるタイプのものが使われだしたり、モノの運搬に使うなど、さまざまな活用が広がっていくと思いますが、撮影の分野ではある程度、淘汰されていると考えています。
今後は飛ばすテクニックとか、飛ばすセンスが必要になると思いますね。ドローンは誰でも簡単に飛ばせるだけに、どのような映像を撮るかのアイデアが求められる。そこを磨いて行かないと後から現れる映像作家たちに埋もれてしまう。それに、まだまだ誰もが見たことのない映像をドローンで撮ることができると思っています。

──コンテストにも出してみたい?
世界に向けた日本のよさを知らせるような映像を作ってみたいですね。まだ、構想の段階ですが。そのため、地方に行くときはドローンも持って行って、朝早く起きて作品を撮って、たまにYouTubeにアップしています。

岡山編

【travel inspiration in kyushu】
宮崎編

熊本編

──アイデアが大切ですよね。
例えば、プログラムを組んで、オートパイロットにして、同じ場所の昼間と夕方を撮影して後で合成したり、季節を変えて春の桜から雪景色に切り替えたり、そんな使い方は面白いと思っています。

──同じ経度と緯度で飛ばせば可能ですね。
不思議な映像になるでしょうね。それができるのはオートパイロットのよさでしょうね。

庄野氏後編2

まずは練習あるのみ
ドローンを自由自在に飛行させるには、それなりの操作スキルが必要です。スキルを磨くには練習あるのみのようです。
また、誰もが簡単に飛ばせるだけに、墜落した場合や、予期せぬ緊急時での対応が求められます。プロでなくともトラブル時には冷静になり、安全な飛行を心がけるべきでしょう。
ドローンが本格的に活用されるようになってまだ、さほど年月が過ぎているわけでありません。ドローンはますます進歩し、さまざまな「夢」を叶えることでしょう。

 

 

今回の連載の流れ

第1回:ドローンをビジネスにする方法 写真家 庄野正弘さんインタビューVol.1
第2回:ドローンをビジネスにする方法 写真家 庄野正弘さんインタビューVol.2(今回)

アバター画像

エレクトロニクスやメカトロニクスを愛するみなさんに、深く愛されるサイトを目指してDevice Plusを運営中。

https://deviceplus.jp

スマホでコントロールできるロボットを作ろう