音楽力高しなれど耳はちょい遠し:スマートスピーカー「Harman Kardon Allure」レビュー

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  • author 武者良太
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音楽力高しなれど耳はちょい遠し:スマートスピーカー「Harman Kardon Allure」レビュー
Photo: 武者良太

アレクサ! ねえアレクサ! 聞いてよアレクサったら!

こちらはJBLやAKGと同じく、ハーマン・インターナショナル・インダストリーズに席を置くHarman Kardon(ハーマン・カードン)のスマートスピーカーで、名前を「Harman Kardon Allure」といいますよろしくね。

音響メーカーの手によるスマートスピーカーも増えてきました。いずれも音質を重視したもので、音楽に聞き惚れることができるものばかりですが、さあ、Harman Kardon Allureはどうでしょうか。

Harman Kardon Allure

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Photo: 武者良太

これはなに?:Amazon Alexa入ってるスマートスピーカー。

値段: 2万4880円。

好きなところ:ボリューミーでリッチなサウンド。

好きじゃないところ:傷つきやすそうなボディ。音楽再生中は耳が遠くなるところ。

2000年ごろのiMacブームのときにもあったでしょ。アクリルボディでスケスケで、スピーカーユニットも配線も見放題だったSoundSticksとか。

あれ以来、ハーマン・カードンといえば、スケルトンボディのスピーカーばかり作っているメーカーという印象が強めです。アクティブスピーカーのGLA-55とかまるでクリスタルから削り出したかのようなルックスで、もし中古で売ってたら保護したほうがいいですよマジで。

閑話休題。

さてHarman Kardon Allureですが、1ボディタイプのワイヤレスアクティブスピーカーにAmazon Alexaを載せてきた存在です。



シームレスな音が360度全方位に広がっていく

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Photo: 武者良太

本体下部のパンチングメッシュで覆われたエリアには3機のフルレンジドライバーをビルトイン。見た目そのままに、360度全方位にシームレスな音を送り出すように設計されています。

オーディオ機器メーカーのスマートスピーカーの中には、スピーカーは壁に寄せるもので音のスイートスポットは前面に集中させているものがありますが、そういうトラディショナルなセッテイングから開放されてもいいんじゃないかって思うんですよ。新たな音楽体験をもたらすものですもん、スマートスピーカーは。

だから「Harman Kardon Allure」の構造は願ったりかなったり。あくまでBGM用途としてならば、置く場所を限定しないスピーカーのほうが使い勝手がいいってもんです。

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Photo: 武者良太

また底面には90mm径のでっかいサブウーハーも入ってる。普段は見えない部分ですが、本体を横にして音楽を鳴らすとガッコンガッコンとストロークしてくれるんですよ。そして「Harman Kardon Allure」を置いている床やテーブル、棚の上に低音を叩きつけてこれまた全方位に拡散させる。

ややシャープめな中域の音と比べると、低域はナローなところがあります。でもこれもアリ。左右のスピーカーを見据える位置に座って音楽を聴くためだけに時間を費やすのではなく、ニュースを聴いたり天気予報も聴いたりするじゃないですか、スマートスピーカーは。

耳に馴染む低音の質感は優しさすら感じられるもの。オールマイティな用途で使うなら、このラウンジトーンはアリでしょう。Prime Musicのような音楽配信サービスの曲も気持ちよく鳴らしてくれますし。

ツッコむならば中域と高域のつながりがちょっと雑かな。ピークがあって音色によっては荒れているように聞こえることがありました。あと低域のボリューミーさに床面が共振しちゃうこともありました。がっしりとした机の上に置くのでなければ、ボリュームは控えめにしたほうがよさそう。


シームのある使い勝手

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Photo: 武者良太

ほかのサードパーティ製Amazon Alexa搭載機にも同じことがいえますが、初期設定時にはAmazon Alexaアプリとは別のアプリを使わねばなりません。プラットフォーム側がWi-Fiへの接続・ログインのAPIを公開すればいいのに。それとも(もしかしたらセキュリティの面で)何かしらの問題があるのでしょうか。

ともあれ。ぶっちゃけここ、面倒です。

本体のコントローラ部はシンプル。上面にあるのはマイクミュート(長押しでWi-Fi設定モードに移行)、ボイスコマンド受付、ボリュームのタッチセンサーだけ。また側面にはBluetoothペアリングを行なうためのボタンがあります。

スキルの追加などはすべてAmazon Alexaアプリでカバーしますよ。


音楽再生中はノリノリで没頭しまくりで耳が遠くなっちゃう

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Photo: 武者良太

Harman Kardon Allureの初期設定を行なうHKAlexaSetupアプリの画面を見ていたら、「遠距離音声認識」という文字列が現れました。なになに? 部屋の向こうからスピーカーに話しかけることができます、だって? ふむ。試してみましょう。

Harman Kardon Allureの置いてある部屋のドアを閉じた状態だと話しかけても、叫びかけても無反応。でもドアを開けた状態なら、ちょい大きめの声(隣の部屋にいる誰かを呼ぶくらいのボリューム)の「アレクサ!」で反応アリです。お、想像以上に耳がいい。

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Photo: 武者良太

と思ったのもつかのま。いったん音楽を鳴らしはじめると、同じ部屋にいてもほとんど聞き取ってくれない。ボリュームの調整だって叫ばないとなりません。

スマートスピーカーの耳の良さって、無音時だけで計れるものじゃないですよね。集中力高すぎ没頭しすぎとはいえ、これは耳が悪めのコだなあと判断するしかありません。そしてスマートスピーカーはまだ育成中のプロダクトなんだなあという印象も強く感じました。


まとめ

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Photo: 武者良太

・音質はほんとにいい。音楽目的なら2万4880円というプライスは納得できる。

・でも音楽再生中はスマートスピーカーとしての仕事を忘れちゃうコ。

・だからといってニュースなどのスキルだけに使うとなるともったいなさすぎ。

・もうちょっと耳を…。こっちに傾けてください…。



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Photo: 武者良太
Source: ハーマンカードン

(武者良太)