BlackBerry Key2レビュー:パワーアップした物理キーボードが輝く、割り切った性能のスマートフォン

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  • author 湯木進悟
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BlackBerry Key2レビュー:パワーアップした物理キーボードが輝く、割り切った性能のスマートフォン
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

日本正式発売が待たれる…。

いつからスマートフォンは、全面タッチスクリーンに画面表示のソフトウェアキーボードという形が定番となってしまったのでしょうか? 昔はQWERTY配列のハードウェアキーボードを搭載するBlackBerryが一世を風靡していました。いつしかiPhoneやAndroidスマホに駆逐され、でも、BlackBerryは、AndroidをOSに採用した「KeyOne」で復活。そして、いまやAndroid 8.1がOSに採用された「BlackBerry Key2」が堂々リリースされる流れを迎えたのです。

米GizmodoのSam Rutherfordが使い倒してみてわかった、Key2のレビューをお届けいたしましょう。すっかりKey2ファンになりそうなユーザーの皆さまも、少なからずおられるのでは~?


BlackBerry Key2

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

これは何?:物理キーボード付きミドルグレードスマートフォン

価格:$650 ※日本では、73,889円〜89,800円(税込)

好きなところ:バッテリー持続時間の長さ、改良されたセキュリティ、ショートカット設定可能な物理キーボード

好きじゃないところ:低画質なカメラ(特に低照度で)

そもそもこの記事を読んでいる時点で、スマートフォンで大切にしたいこだわりを持っておられるのでしょう。Key2のデザインは、より洗練されて、スペックも魅力ですし、BlackBerryブランドで継承されてきたものがあります。でも、なによりKey2は、ほかのどのスマホにもない特徴を備えていますから。そう、あの古き良き物理キーボードです! タッチスクリーンに表示されるソフトウェアキーボードは、いまやどんなスマートフォンにも標準装備され、すっかりボクも、この入力に慣れてしまっています。しかし、Key2のハードウェアキーボードの魅力に取りつかれてしまったことを、正直に認めなければいけませんね。

好感触な物理キーボード

当然ながら、いまハードウェアキーボード搭載モデルという分野で、Key2に並ぶ存在はありません。ということは、2016年にBlackBerry製品の製造許可を取得したTCLは「かつてのBlackBerryファンなら、再販すればなんであれ購入してくれるであろう」とたかをくくり、開発努力を怠ってしまっても不思議ではなかったはずです。でも実際は、そのようにはしませんでした。Key2のキーボードは、よりマットフィニッシュで滑りにくくなり、さらにデバイスのカスタマイズが可能になったスピードキーまで装備して、大いにパワーアップしていますよ。

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

各アルファベットキーの長押しやワンタッチで起動する52のショートカットで、さまざまなアプリを立ち上げられます。それに加え、スピードキーで、ファンクションをカスタマイズするショートカットを作ると、特定の人物にテキストメッセージを送る、Bluetoothのオンオフを切り替える、あるいは、ChromeでIncognitoのタブを開くなどなど、もはやどんなタスクでも一発起動! ここまでカスタマイズできるスマホは、なかなかないのでは? おまけに、本体横のボタンも、やはりニーズに合わせて、カスタマイズ可能となっていますね。

キーボードそのものも、前モデルよりクリック感や重厚感が増しました。バックライトも標準装備されており、暗闇のなかでもタイピングできてしまいます。さらに、キーボード部の全体をタッチパッドのように使い、アプリをスワイプしながら見つけ出したり、画面のスクロールも自由自在。おまけにKey2のスペースキーは、指紋認証リーダーとして動作し、センサーの反応速度も、ほかのデバイスに引けを取らないスピードですね。TCLの開発努力は大いに評価されるに値するレベルで、Key2のキーボードは、単なる懐かしいハードウェアボタンの復活ではなく、この新製品の要として輝いているでしょう!

CPU性能・ディスプレイ解像度は評価が分かれるところ

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

Key2のキーボードが優れているのはわかりました。でも、そのほかに関しては、どうなのでしょう? これは実は評価の分かれるところでもあります。Key2には、6GBのRAM、64GBないしは128GBのストレージ容量が装備されており、たくさんアプリを使ったり、いろんなファイルを保存しておきたいユーザーには、microSDカードで容量の拡張も可能です。こうした良い面もあるのですが、Key2のSnapdragon 660プロセッサーは、Snapdragon 845チップと比較すれば、パフォーマンスは半分程度に下がってしまうんですよね。ただし、Key2の販売価格が650ドルに抑えられていることを考えると、これは仕方ないのかもしれませんけど。

Web XPRT 2015のベンチマークにて、ブラウザのパフォーマンスを測定してみると、Key2のスコアは181に過ぎません。一方、Snapdragon 845を採用した「Galaxy S9」や「OnePlus 6」だと、280台に乗せています。全体的なスピードで競っても、Geekbench 4で測定したマルチコアパフォーマンスで、Key2のスコアは5613でした。一方、Galaxy S9は8414、OnePlus 6は9109でしたから、ほかの最新ハイエンドモデルのスマホとも渡り合えるだなんて、絶対に期待しないほうがいいでしょうね…。

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

Key2のディスプレイは、まるで5年前のスマホですかと思わせる、1620×1080ピクセルの解像度で、4.5インチサイズしかありません。最大輝度は458ニットですから、それほど悪くはないのですが、やはりハードウェアキーボードを搭載するため、犠牲にされているスペースは否めませんよね。メールを打ったり、テキストメッセージを送ったり、文字入力のときは、ほかのスマートフォンでもソフトウェアキーボードが表示されるので、これは気にならないでしょう。でも、動画再生となると、上下にはコントロールボタンなどが表示されたりするので、さらにディスプレイが小さく感じられてしまうことでしょう~。

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

3500mAhのバッテリー容量はなかなかのもので、Key2の控えめなパフォーマンスやディスプレイサイズもあって、とてもバッテリーの持ちは良くなっています。駆動テストの結果は、11時間17分でした。これは、ほぼ「Pixel 2 XL」と同じで、わずかに「Huawei P20 Pro」の11時間36分を下回っています。それに、完全にワイヤレスのオーディオ環境にするのは抵抗があるという人にとっては、従来のイヤフォンジャックが用意されていますし、底部にはUSB-Cポートが備わっていますよ。

なによりもセキュリティのことが気になるというユーザーにとっては、BlackBerryの「DTEK」アプリがぴったりです。パスワードや指紋認証でしかアクセスできないセキュアフォルダが用意され、そこに他人には見られたくないアプリやファイルを置いておけるでしょう。さらに、どんなアプリが、どのようなパーミッションを、どれほどの頻度で要求しているのかが一目瞭然になるため、たとえば、Facebookがカメラやマイクの使用を許可しようとしているなんてことが判明すると、数タップで要求を取り消してプライバシーを保護するなんてこともできますね。

割り切りが必要なカメラ性能

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

残念なのは、せっかくKey2は、BlackBerryで初となる1200万画素デュアルカメラを背面に採用したモデルであるのに、明るさに応じて、撮影写真のクオリティに幅があることでしょう。十分に明るい場所だと、まずまずの写真が撮影できますが、それでもボクが撮った大根の写真にハイライトが残ってしまったり、ガンジー像の色合いが、やや鮮明さを欠いてソフトな写りに仕上がってしまったりしました。

でも、もう少し明るさが落ちてしまうと、Key2のカメラでは苦しくなってきますね。OnePlus 6のカメラと比較すると、外の明るい場所でも色合いが薄れ、粗い粒子が目立ちました。ちなみに、OnePlus 6の販売価格は、Key2よりも100ドル安いのに…。

Key2とOnePlus 6のカメラ性能比較1

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Key2とOnePlus 6のカメラ性能比較2

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US


Key2とOnePlus 6のカメラ性能比較3

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US


Key2とOnePlus 6のカメラ性能比較4

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US


Key2とOnePlus 6のカメラ性能比較5

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US


もっと暗い場所では、非常に悲しい差が現われます。OnePlus 6が本物の写真であれば、Key2のは印象画レベルに落ち込むといいますか、とにかく暗い写真になり、シャープさからは縁遠い、ひどい場合は撮影対象がボケて混ざり合ってしまうくらいになってしまいます。もしレストランやバーなど、暗い場所で写真を撮ることが多いなら、Key2のカメラは問題ですね。ただデュアルカメラによって、ポートレートモードでの撮影は可能になったんですけどね。

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

カメラ性能からすると、インスタ中毒のユーザーであれば、やめておいたほうがよいモデルです。ただ、ここまで全面ディスプレイのスマートフォンばかりになってしまったなかで、周囲とは異なるスマートフォンが使えるなんて最高ではないでしょうか! Key2のアルミニウムシャーシは、頑丈でかっこよく、前モデルのKeyOneよりスリムデザインに仕上がりました。テクスチャー調でソフトタッチなブラスチックカバーの背面は、ホールド感がうれしいデザインですし、バッテリー性能、販売価格も評価できるものです。ただとにかくハードウェアキーボードが使えればいいというユーザー向けのみならず、なぜハードウェアキーボードを搭載するモデルがないのか疑問に感じていたすべてのユーザーに、Key2は最適なスマートフォンとなることでしょう。

まとめ

・新たにマットフィニッシュスピードキーのコンビネーションも加わり、Key2のハードウェアキーボードは及第点です。

・明るい場所での撮影ならまだしも、暗い場所での撮影は至難の技です。

・駆動テストでは11時間を超え、バッテリー性能は見事なものです。

・Key2のスペックは賛否両論ですが、標準で6GBのRAM64GBのストレージ容量は、ビジネス用途にも十分でしょう。

・ハードウェアキーボードを装備したせいで、ディスプレイサイズは小さくなり、防水性能もありません。



Image: Gizmodo US

Sam Rutherford - Gizmodo US[原文
(湯木進悟)