密かに話題の同人誌『米1合に缶詰1個で炊き込みご飯』作者が教える、焼き鳥缶詰めし【安い簡単ウマイ】

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『メシ通』をご覧の皆様こんにちは。

先日、『米1合に缶詰1個で炊き込みご飯』という自費出版の薄い本を作りました平田と申します。内容はタイトルそのまんま、いろいろな缶詰で簡単に炊き込みご飯を楽しむ本でございまして、なかなかのご好評をいただいております。

 

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▲これがその『米1合に缶詰1個で炊き込みご飯』の中身。全35ページ、650円。現在は同人イベントなどで販売中

 

100均で買った100円の缶詰31種を、片っ端から炊きまくった33メシが載っております。肉缶(やきとり等)、魚介缶(いわし、赤貝、いか等)、野菜缶(アスパラ等)、おかず缶(煮物等)、あらゆる缶を優しく受け止めるご飯の包容力に今更ながら戦慄(せんりつ)すら覚える内容です。炊いてないのはフルーツ缶とかミツマメ缶くらいでしょうか(でもそのうち炊くかも)。

缶詰の炊き込みご飯にのめり込んだきっかけは、それまで使っていたIH炊飯ジャーがボロくなり、ご飯がおいしく炊けなくなったことでした。新しくて性能のいいのはそれなりのお値段がしますので、なかなか買い替えに踏み切れません。

手持ちの鍋で炊いたりしているうちに、「もうこのまま鍋炊き生活でもいいか」と思うようになりましたが、諦めきれずに「炊飯器 一人用 格安」などとネットで検索すると、なんと2,000円前後で買える、おもちゃのような炊飯器がいくつもヒットしてくるではありませんか。

 

なんだ、この炊飯器。ほんとに炊けるのか……?

気になる。

炊いてみたい。

 

もはや自宅の炊飯器を更新するかどうかの話ではなく、この簡易炊飯器への興味がムラムラと抑えきれなくなり、2,000円ならダメで元々と、試しに一つ買ってみたのでした。

 

炊いてみた→炊き込み用ご飯用マシンとして最適だった

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コレです。

どう? このシンプルなたたずまい。

なんか……昭和っ。懐かしいっ。

フタは1枚ガラスで中が丸見え。釜はアルミで、テフロン加工とか何もなし!

保温とかタイマーとかの小ざかしい機能も、気配すらまとっていません。炊飯スイッチだけの、すがすがしいまでの単機能。この小ささで2合まで炊けるのよ。

 

さっそく炊いてみる。

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た、炊ける!(写真は2合炊いたところ)

 

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しかも思ったよりずっとまとも! まともメシ! 正直、むか~し川原とかでやった素人小学生飯ごう炊さんレベルのご飯を想像していたのに(失礼な)。

 

これは……使える!!

 

いや、最近の高級IHかまど炊き、みたいな炊飯器では超うまいご飯が炊けるそうですから、それに比べりゃ落ちるだろうとは思いますよ。でもコレ、約2,000円ですから。2,000円でここまでやれたら上等だと思いました。そしてね、ハタと気付きました。

 

これは……炊き込みご飯用マシンとして最適なのでは!?

 

炊き込みご飯って、特に一人暮らしだと、わりとやりにくいものなんですよね。たくさん炊いても食べきれないし、残りを冷凍しようにも具によっては冷凍するとまずくなるし、調味料を入れるから釜は焦げやすいし。

でもこの炊飯器なら焦がしても大して惜しくないからガンガン使い倒せる。それにこれならたった1合から炊き込みご飯がすぐできる。1合なら1食か、せいぜい2食完結!

 

このことを思いついた時、興奮して家で一人、鼻息が荒くなっていたかもしれない。炊き込みご飯はいいですよ。おいしいし、おかずを作らなくてもいい。ズボラの味方!どうせならとことん手を抜いて、簡単に、安く、おいしいものを作ってやろう。市販の「釜飯の素」とかはだいたい3合分くらいなので多すぎる。

 

……缶詰はどうだろうか!?

 

缶詰ならコンビニでも、なんなら100均でも売っている。米1合に1缶で、ちょうどいい味になるんじゃないかな!? 包丁もまな板も、ややこしい味付けもいらない。米1合・水1合・缶1個。これでいろいろ試してみよう!

 

……と、諸々試した「炊き込み活動」があまりに面白すぎて、本まで作ってしまったというわけですわ。

 

そんなわけで今回『メシ通』では、さまざま試した中から、安定のおいしさ・やきとり缶の炊き込みご飯4種を以下にご紹介します。

やきとり缶はいろいろなメーカーが発売していますが、わりにどれもおいしく、はずれがありませんし、味付けされた鶏がご飯にとてもよく合います。そしてスーパーだけでなく、コンビニにも100均にもだいたいあります(おつまみだからね)。いつでも買えて、いつでもおいしいやきとり缶をここではチョイスしてみました。

やきとり缶にもいろんなものがありますよね。

①やきとり(たれ)

②やきとり(塩)

③つくね(たれ)

④レバー味付

それぞれ違う味わいのご飯ができるんですよ。では、いってみましょう!

 

①やきとり(たれ)

この①で基本的な手順をご紹介しますので、あとは全部同じ要領でできますよ。

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おなじみ、たれ味のやきとり缶。おつまみにいいですよね。米1合は洗ってざるにあげ、30~40分おいてください(無洗米の場合もさっと水を通して30~40分)。

 

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その米を釜に入れて「1」のところまで水を入れ、

 

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やきとり缶1缶の中身を全部入れます。

 

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これだけでもいいのですが、味を補うため、酒と塩をちょっと入れましょう。あいた缶に酒を大さじ1くらい入れてチョチョイと洗うようにして加えると、缶に残ったタレも無駄なく入れることができます。塩はひとつまみくらい。

 

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もしあればチューブの生姜も少し入れてみてください。あとは炊飯器のスイッチを入れるだけ。水と缶詰と調味料を入れたら、時間をおかずにすぐにスイッチを入れましょう。私の使っている機種ではだいたい20分前後でスイッチが切れます。もちろんブザーとかは鳴りません。色気も素っ気もない「カタッ」という音で切れますので聞き逃さないようにします。

切れたら15分はそのまま放置して蒸らします。

 

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15分蒸らしたら釜ごと本体から出し、しゃもじでご飯を底から大きく混ぜあわせます。お焦げも混ぜてしまいましょう。これでできあがり。

 

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はいどうぞ! 鶏のうま味がご飯に染みた、絶妙のコクと食べ応え。「ザ・鶏めし」という感じの圧巻のうまさです。

ポイントをおさえれば、簡易炊飯器でもおいしいご飯が炊けますし、テフロン加工のないアルミ釜にもご飯がこびりつきません。

 

ポイント

  • 米1合は洗ってざるにあげ、30~40分おく(無洗米の場合もさっと水を通して30~40分)。
  • 水と缶詰と調味料を入れたら、時間をおかずにすぐにスイッチを入れる。
  • 15分蒸らしたら釜ごと本体から出し、しゃもじでご飯を底から大きく混ぜあわせる。

余談ですが鍋をコンロにかけて炊く場合もこのポイントが物を言います。もちろん高機能の炊飯器をお持ちの方は普通にいつものやり方で炊いてください。

 

②やきとり(塩)

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塩味のやきとり缶を使うと一転、あっさりしたオツなご飯ができます。

 

要領はたれ味と全く同じ。

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酒大さじ1、塩ひとつまみ、そして生姜のかわりに白ごまをこのくらい入れて炊きましょう。もっと多くしてもいいですよ。

 

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う~ん、おいしい! ごまの歯触りがプチプチ楽しい! コクがあるのにさっぱりしているので、これは飲んだあとのシメにも最高です。

 

③つくね(たれ)

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コロンとしたつくねが詰まった、たれ味のつくね缶。釜に入れる前に、こうしてヘラなどで適当に切っておくと、具だくさんになっていい感じです。

酒のかわりにポン酢醤油を大さじ1くらい入れます。この程度なら、ご飯が酸っぱくなることはないのでご安心を。

あと、塩をひとつまみと、バターを小指の先くらい。流行りのバタポンというやつですね。

 

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これもね、すばらしいですよ。お茶碗に盛ったあと、七味唐辛子をかけてみました。ポン酢醤油がなんともいえない爽やかさを出してくれます。

ちょっとだけ入れたバターも、くどくない程度にふんわり香って上品です。

 

④レバー(味付)

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ラストは鳥のレバー缶。さすがにこれをご飯に炊き込むのは、ないんじゃないかと思ったの。

でもやってみた。何事もやってみなければわからないものですね。意外や意外、すごくいい味のご飯ができたんですよ。

 

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酒は日本酒ではなく赤ワインを入れます。飲み残しとかで十分です。そして塩のかわりに醤油またはソース(ウスターでも中濃でも。あまり甘すぎないもの)を大さじ1くらい入れます。

 

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どうだっ。レバメシだっ。

立ち飲み屋さんの裏メニューみたいじゃろう! 仕上げにたっぷりと、粗挽き黒胡椒。パンチの効いた味になりますよ。

醤油で作るとジミ味、ソースで作るとハデ味になります(写真はハデ味)。どちらもうま味たっぷりです。お好きなほうで作ってください。

 

アレンジが楽しい焼き鳥缶の炊き込みご飯

以上①~④までご紹介したわけですが、どれも優劣つけがたいうまさ! こんなに簡単なのに、①たれと②塩では王道の鶏めしが、③つくねと④レバーではちょっと目先の変わったご飯が楽しめます。超おすすめ!

 

今回使ったチューブの生姜やごま、ワインなどの他にも、米+やきとり缶の懐深い組み合わせは、いろんな風味付けのアレンジを受け止めてくれると思いますよ。マヨネーズとか、梅干しとか、のりとかカレーとか……冷蔵庫などにあるものをあれこれ試してみてください。というか、そういうのをあれこれ考えるのが実は一番面白いんです、「炊き込み活動」は!

もちろん、缶詰はやきとり缶だけじゃありませんよね。さあもうあなたは今夜、缶詰売場へ足を運ばずにはいられない。私もまだまだ活動継続中ですよ。

さあ、レッツ缶めし!

 

書いた人:平田真紀

平田真紀

さすらいの物書き。主に短歌の薄い本を作って各地のイベントで売る「平田真紀一人書店TOUR」を2011年より継続中。飲食関係の薄い本イベントに出たくて作った『米1合に缶詰1個で炊き込みご飯』、短歌の本よりよく売れてます(複雑)。

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