長距離トラックはドライヴァーいらずになる:『WIRED』US版の未来予測(5)

さまざまなテクノロジーの行く末を考える『WIRED』US版の未来予測。第5回のテーマは物流だ。その過酷な労働環境から、長距離トラック業界は現在約5万人が不足している。輸送に関する規制が変わって自律走行トラックが全米を走り回れるようになれば、人間のドライヴァーは不要になるかもしれない。
長距離トラックはドライヴァーいらずになる:『WIRED』US版の未来予測(5)
IMAGE BY SAMMY HARKHAM

長距離トラック業界は危機に陥っている。一度に何週間も家と家族から離れ、長くて退屈な時間を過ごすような概してつらい仕事である。このため、ドライヴァーを見つけて業界を維持するのが難しくなっているのだ。

この6,760億ドル(約75兆円)の業界は、人口の増加と経済の発展による需要に対応するために、現在約5万人以上の人手を必要としている。トラック業界最大の業界団体である全米トラック協会によると、2026年までにその数は17万4千人に達する可能性があるという。

退屈したり眠くなったりも、家族がいなくて寂しくなったりもせず、給料や手当を必要としない労働者を知っているだろうか?

それは、ロボットだ。トラックがほぼすべての時間を過ごす高速道路は、最も簡易なコンピューター制御による運転が役立つ。ただ車線の内側に留まり、車の速度を上げずに走り続けるのだ。

人間のドライヴァーが不要に

このため、従来の自動車メーカーであるボルボやダイムラー、テック企業のUberやWaymo、イーロン・マスクのテスラが自動運転トラックに取り組んでいるのには、まったく驚かない。Uberは、トラック業界の複雑な物流を理解して有利なスタートを切るために、輸送を必要とする貨物に人間のドライヴァーを結び付けるサーヴィスすら開始している。

今後も人間のドライヴァーが必要となる市街地や郊外などで、より難しい車道をトラックがどのように走行するのか、それぞれが取り組んでいる。しかし、マシンはすでに実地で働いているのだ。

何回か行った試験走行において、ロボトラックはビールをコロラドに運び、南西部に冷蔵庫を運び、ハリケーンの支援物資としてフロリダに水を運んでいる。

米国の規制が州間での輸送をより容易にすれば、ロボトラックは米国を横断した小説家のジャック・ケルアックのように公道を旅することになる。そのとき人間のドライヴァーは、ほとんど不要になるだろう。


連載:『WIRED』US版の未来予測


TEXT BY ALEX DAVIES