人間と同じく、AIも褒めて伸ばします。
何千、何万もの例を機械学習させて、最適解をスムーズに導き出す人工知能。ですがケンブリッジ大学では、20分ほどの学習で自動運転車が道なりに真っ直ぐ走ってくれる優秀なアルゴリズムを研究しているのです。
自動運転車の「StreetDrone ONE」に、AIを組み合わせて実験開始です。
研究しているのは、学内の工学科が立ち上げたAI自動運転車の研究機関WAYVE。実験のイメージは、初めて補助輪が取れた自転車を練習する感じとのこと。数時間の練習でバランス良く乗られるようになるのと同じなのです。
まっさらのAIは、生まれたばかりの赤ちゃんと同じで何も知りません。そこで人間がいくつもの例を教えて学習させるのですが…ただ膨大な情報を読み込ませるのではなく、人間が都度都度訂正してあげれば、もっと早くから良い結果を導き出してくれるだろう、というのがこの実験の核となっています。
この実験は、主に3種類のアクションから成り立っています。ひとつ目は、最初はどう走って良いかわからなかったAI(ディープ・コンヴォリューショナル[畳み込み]ニューラル・ネットワーク)に、とりあえず行動してもらいます。ふたつ目は、大きく道を外れようとしたときに人間がハンドルで真っ直ぐに補正。そしてみっつ目は上手く走れたら、ご褒美をあげることで運転の良し悪しを判断できるようになるのです。
11回の試運転ののち、今度は逆方向へ戻ります。ですがこのときはもう、道に沿って真っ直ぐ走れるように超進化を遂げてしまいました。そしてこの実験は違った気候条件下でも繰り返され、経験を積んでいったのです。
結果としてこの自動車は、世界で初めて“強化学習”により自走するクルマになりました。強化学習は、手打ちのコーディングで作ったルールや地図を必要としません。間違ったドライビングをしようとしたら、「違うよ」と人の手で正してあげるだけなのです。
ちなみにAIが元にする視覚情報は、単眼のカメラ映像のみ。AIには、搭載されたGPUの処理により、このようなヴィジュアルで外界が見えているようです。
チームはこの技術を、もっと複雑な運転にも適用できるよう研究を重ねていくとのこと。複雑な交通状況に、どう対応するのか楽しみですね。
Image: YouTube
Source: YouTube (1, 2) via Fresh Gadgets, STREETDRONE via WAYVE
(岡本玄介)