今は太陽から一番遠い遠日点なのになんで暑いの?

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今は太陽から一番遠い遠日点なのになんで暑いの?
ISSから見た太陽と地球

地球はただいま遠日点を絶賛通過中。なのに欧米もW杯のロシアも猛暑で、ナイジェリアなんて先週ついに51.3℃のアフリカ大陸の最高記録更新だそうですよ?

なんで太陽から一番遠いのに暑いの?…って近所の坊やに聞かれたときにウッと詰まらないように30秒で復習するシリーズといきましょ~。

遠日点は地球と太陽の距離がいちばん離れる点

地球は楕円軌道を描いて太陽の周りをぐるぐる回ってます。

太陽と地球の間の距離は平均1億5000万km(9300万マイル)。一番遠くなるのが遠日点で、今年は7月7日1:46amでした。距離にして152,095,566km(94,507,803マイル)あります。逆に一番近くなるのが近日点。次は2019年1月3日で、147,099,761 km(91,403,554マイル)まで近寄ります。まあ、宇宙規模で見れば微々たる距離差ですよね。ほぼ円と言ってもいいぐらいの差です。

問題は距離ではなく地軸の傾き

Earths_axis
Image: Shutterstock

季節の変化は距離より、むしろ地軸の傾きによって起こる現象です。

そうですそうです。地球はまっすぐ直立の姿勢で太陽の光をまじめに浴びてるわけではないんであります。

地軸が23.4度傾いたままの姿勢で太陽の周りを回っているんでありまして、太陽にペッコリおじぎするのが6月の夏至。北半球は太陽浴びまくりです。太陽にのけぞり返るのが12月の冬至。南半球の足の方に太陽がモロ当たりです。太陽を真横から浴びるのが3月の春分と9月の秋分。地球は公転の進行方向に向かっておじぎするかのけぞるかしている状態なので、北半球も南半球もぴったり同じに光が当たって、世界中どこでも昼と夜が半々になります。

太陽におじぎしている夏の方が、光は垂直に当たるので、面積あたりに浴びる光の量が増します。たとえばコップに真上からストローを差すとき、コップを斜めに傾けるとストローはあんまり入りませんけど、垂直に立てるといっぱいいっぱい入りますよね(アメリカ人って入射角のこと、こう説明するのね…)。このストローが日光です。日光が増えればエネルギーは増し、エネルギーが増えれば熱量は増す。だから夏至前後の今はめちゃ暑いというわけです。

大陸の面積も影響してます

ちなみに、NASAの気象学博士のお話日本語訳)によりますと、1月の近日点より7月の遠日点の方が確かに太陽の光は弱っちいんだそうですよ? 全地球平均で7%ほど光量は減ります。でも、気温は全地球平均で見ても2.3℃高いんです。つまり北半球と南半球で温度に偏りが生まれている…。

これはなぜかというと陸地が北半球に固まっているから。南半球のように海に熱が吸収されなくて、陸は太陽が当たるとすぐ熱くなっちゃう、から。面白いですね。

今年は特に北半球の大半がヒートドームに覆われています。地上数マイルの高気圧帯で空気が上から押さえつけられているせいで、地表の熱が逃げるにも逃げられなくて余計に暑くなっているんだと、Washington PostのGreg Porter記者は書いてます。蓋をして蒸し煮、みたいな。

気象変動も無縁とは言い切れなくて、熱波は増えることはあっても当分減ることはなさそうです。米海洋大気庁(NOAA)の統計では、2015年は観測史上2番目に暑い年、2016年は観測史上1番暑い年、2017年は観測史上3番目に暑い年。3年連続猛暑ですからねぇ…。

2018年は何位になるものやら…。



Image: NASA
Sources: Washington Post, NASA, NHK, matsunaga.net

Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文
(satomi)