航空機での移動後に発症するロングフライト血栓症(エコノミークラス症候群)。
旅慣れた旅行者にさえ、不意打ちを食らわせることがあります。
旅行ライターのLindsey Campbell氏も、最近それを思い知らされました。
筋肉痛だと思ったら…
Campbell氏はフライト前にストレッチをし、できるかぎり動きまわるようにしています。
ところが、着陸後、ふくらはぎに痛みを感じたのです。Campbell氏は、ハイキングで傷めたせいだろうと片づけました。
膝を曲げたまま、何時間も脚を動かさないでいると、脚の奥深くにある静脈で血栓ができることがあります(そのため、これは「深部静脈血栓症[DVT]」と呼ばれます)。
ふくらはぎでできた血栓はうずくような痛みを引き起こし、やがて激しい痛みに変わります。
Campbell氏はこんなふうに説明しています。
私の乗った飛行機は、月曜に着陸しました。その後の2日間は、ふくらはぎの痛みは筋肉が引きつっているせいだと思っていました。
けれども、痛みはひどくなりました。脚がこむら返りを起こしているような感じでした。木曜になるころには、私は足を引きずるようになっていました。
ミーティングのときも、もぞもぞと脚を動かし、楽な姿勢を見つけようとしましたがうまくいきませんでした。
その夜、帰宅したあと、ボーイフレンドのJimに痛みのことを打ち明け、ひどくなっていると話しました。
Jimは身をかがめて私の脚をマッサージしましたが、脚を押された私は跳び上がり、たちまち泣きはじめました。
エコノミークラス症候群の症状4つ
フライトのあとに気をつけるべき兆候を知っておけば、役に立つはずです。脚に血栓ができていると、以下のような症状が起きることがあります。
- 下腿(ひざから足首までの部分)の腫れ
- 下腿のけいれんや圧痛
- 赤みやあざ
- 腫れた部分の発熱
片脚だけに症状が出るか、あるいは、両脚に症状が出たとしてもどちらかの脚のほうがもう一方よりも症状がひどいのが普通です。
肺塞栓症の症状4つ
さらに悪いのは、血栓のかけらがはがれ、肺に移動するケースがあることです。血栓が肺に入ると、呼吸が妨げられるおそれがあります。これは肺塞栓症と呼ばれ、以下のような症状が出ます。
- 息切れ
- 呼吸時の痛み、通常は刺すような鋭い痛み
- 心拍数の増加
- 説明のつかない(たとえば、風邪などの理由がない)咳、血の混じった痰が出る可能性もある
そんなに長く飛行機に乗っていなかったはずだと思っても、上記のような症状が出ていたら、軽く見ないようにしてください。
Campbell氏の血栓は、おそらく6時間のフライトの間にできたものです。Campbell氏は、フライト中ほぼずっと、脚を組んで眠っていました。
座席が広ければ、眠っている間に姿勢を変えるのは簡単です。
そもそも、この手の血栓が飛行機と関連づけられているのは、そのためです(自宅のベッドでなら、好きなだけ動きまわれます)。
血栓ができる人の特徴
血栓のリスクがとりわけ高いのは、喫煙者、経口避妊薬を服用している人、妊娠中の人、肥満の人、家族に血栓の経験者がいる人、もしくは過去に血栓を経験したことがある人(血栓ができやすい血液を持つ人もいます)です。
最近、血栓ができたことのある人は、飛行機に乗っても大丈夫かどうかを医師に相談しましょう。
乗る場合には、事前にとっておくべき対策を確認してください。
たとえば、血栓を予防する薬もあります。また、飛行機に乗るかどうかにかかわらず、抗凝血剤を処方される可能性もあります。
エコノミー症候群の予防法
とはいえ、怯えることはありません!
血栓ができるのは稀なことで、フライト中に動くようにすれば、リスクは小さくできます(座席の下で足踏みをするだけでも効果があります)。
また、水分が不足した状態だと、血栓のリスクは高くなります。ですから、水をたくさん飲むようにしましょう。
トイレへ行く回数が多くなれば、いやでも動くことになりますし。
さらに、弾性ストッキングを適切に着用すれば、ふくらはぎの静脈に血液がたまるのを防ぐ効果があります。
ただし、どんな対策をとっていても、長いフライト後にふくらはぎが痛む場合には診察を受けてください。
Image: Matej Kastelic/Shutterstock.com
Source: The Points Guy, National Blood Clot Alliance
Beth Skwarecki - Lifehacker US[原文]