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2023年の世界の5G加入は10億、北米では約5割が5Gに--エリクソン調査

2018.07.13

Updated by Naohisa Iwamoto on July 13, 2018, 10:27 am JST

「2023年には、5Gの加入契約数が全世界で10億に」。エリクソンは、2018年6月にまとめた「エリクソンモビリティレポート」で今後の5Gへの移行状況をこう予測した。

エリクソン・ジャパンが開催した説明会で、同社 CTOの藤岡雅宣氏は、「2017年にLTEがGSMの加入数を抜いた。2018年第1四半期のモバイル加入契約総数は約79億、2023年には89億まで伸び、そのうちの12%にあたる10億が5Gの加入契約になる」と説明する。

5Gの普及のロードマップとしては、まず2018年後半に固定サービス向けのポケットルーターなどのデバイスが登場し、2019年の後半にモバイルサービスに向けたスマートフォン型のデバイスが登場すると見る。2023年の5G加入契約はほぼスマートフォン型のデバイスで、2023年時点の72億のスマートフォンのうち10億が5Gに対応するとの予測である。

地域別に見ると、2023年に5Gの普及が進んでいるのは、北米、北東アジア、西欧となる。北米では2023年のモバイル加入契約の48%が5Gになるという高い普及率を想定する。次いで、北東アジアでは34%、西欧では21%が5Gの契約になると見る。

年次のトラフィック推移では、2018年第1四半期時点で年間トラフィック増加率を見ると約54%。「最近はだいたい6割ぐらいの増加率で安定している。日本は4割ぐらいの増加率で、世界よりも少し落ち着いている」(藤岡氏)という状況だ。2017年から2023年にかけて全トラフィックは8倍に増加し、2023年のトラフィックのうち20%を5Gのトラフィックが占めるという。

アプリケーションごとのデータトラフィックを見ると、2017年には全15エクサバイトのトラフィックの56%を動画のトラフィックが締めている。この傾向はさらに進み、2023年には全107エクサバイトのうち約73%を動画が占めると分析する。モバイルビデオトラフィックは年間約45%増加し、SNSのトラフィック増加の31%よりも高い伸びを見せる。動画の解像度がSDからHD、フルHDと高まり、さらに4K/8Kへの対応が進むことでトラフィックの増加が継続するとの予測である。

LTE方式などを利用するセルラーIoTの伸びも大きいと予測する。Cat-M1やNB-IoTはすでに世界で60以上の事業者が商用展開を行っている。2017年には7億だったセルラーIoTデバイスは、年率30%の伸びを見せて2023年には35億にまで達する。この数字は、2017年秋の同調査の際の2023年に24億から大きく上方修正した。中国での大規模展開の影響が大きいことを加味したもので、今後は世界の60%以上のセルラーIoTデバイスが北東アジア地域で利用されることになるという。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。