ガジェットやインターネット、デジタルなことが大好きなギズモードですが、米Gizmodoではたまにはデバイスから離れて現実世界に目を向けましょうというIRL(現実回帰)の特集を組んでいます。
Sam Rutherford記者が取り上げるテーマは「歩きスマホについて」。
女の子がマンホールに落ち、また別の女性は階段を踏み外し、そしてある男性はクマに襲われる寸前でした。もはや馬鹿げていると言える段階をとっくに過ぎています。こうなったのは、人々がスマホから出てくるデジタルな麻薬によってテクノ・ゾンビ化して歩き回っているからです。
だから今度、散歩に行くときは、お願いですから電話を置いて、顔を上げて歩いてください。
僕も痛いほど分かっていますよ。新発売のポータブルデバイスすべてをチェックするのが仕事で、持ち合わせている端末が3種類以下であることが滅多にない者として、スマートフォンがとてつもなく中毒的であるということは。友人や同僚、ソーシャルメディア上の他のみんながあなたの気を引こうとする一方で、鮮やかな色のディスプレイは現実世界をつまらなく感じさせるもの。そしてそういったものが実際には我々を落ち込ませると示す証拠があるにもかかわらず、たいていはそれに従ってしまうんです。
Google(グーグル)やApple(アップル)といった企業でさえもこの問題を認めており、だから両社とも次期モバイルOSのリリースにおいてデジタルライフの健全化を主要分野にしています。歩いているときでさえ、数分おきにインターネットからあらゆるものを摂取せずにいられないほど、我々はテクノロジーに溺れてしまったのか? 現実を見るに、どうやらそのようです。
日々、仕事やミーティングへとあちこちに出かけていますが、まるでダチョウのように下を向いて端末に首を伸ばしたまま、慌ただしい歩道や階段、エスカレーターを進もうとする人々によく悩まされます。彼らを見ていると、役立たずな周辺視野とある種の超感覚的知覚が混ざったようにしか思えません。もちろん、その知覚が機能することはありません。それに、メールだけに留まらず、Netflixを見ていたり、FaceTimeをしていたり、歩き回りながらゲームで遊ぶ人さえもいるのです。
今では誰もが、運転中にメールや映画を見ようとすることは命取りになるし愚かな行為だと知っています。歩行を邪魔するのはそれほど危険ではないにせよ、こういった事故は冗談で済まされません。オハイオ州立大学が行った研究では、2010年に歩行中のよそ見が原因で緊急治療室に送られた人が1500人以上いることが分かりました。これは米国の大多数がスマートフォンを所持するようになる前のことです。ピュー研究所いわく、2011年のスマートフォン所持率はたった35%。その数字が今年の初めには77%へと跳ね上がったとか。僕は今では、ゾンビ化した歩行者にぶつからぬよう終始スラロームのようによけながら歩道を歩かざるを得ません。
何もヘッドフォンを外せ、あるいは端末で道順を見るのを控えろという意味ではありません。ただ、そうしている間も、ちゃんと目線を上げるのを忘れないでほしいのです。 それに、少しの間スマホから離れると決めたら、その小さな画面の中で起きていることに勝るとも劣らないぐらい大事な人々や物事といった身の回りのことと再びつながることができるかもしれませんよ。
大手テック企業がスマートフォン中毒の影響を軽減しようとしていますが、結局のところ自発的にでないと本当の変化は起きないもの。でももしそれがうまくいかなかった場合、インターネットにいる僕たちから伝えたいのは、「歩いているなら、ログオフする時間」ということです。
Image: Adam Fagen
Source: YouTube, TED, Wiley Online Library, Ohio State University, Pew Research Center
Sam Rutherford - Gizmodo US[原文]
(たもり)