「ほら、ありがとうって言いなさい」

ときどき道端で聞く親子のやりとりですが、できれば「自分から感謝の気持ちを伝えられるようになってほしい」と思っている親御さんも多いことでしょう。

どうしたら子どもは自分から、感謝の気持ちを伝えられるようになるのでしょうか? そして、それを習慣化することは可能なのでしょうか?

そのヒントがハーバード大学の心理学者が公開した「子育てのガイドライン」に記されていましたので、ご紹介したいと思います。

「感謝の習慣」を持つ大切さ

何かしてもらったら「ありがとう」と言いなさいと、小さいころよく教えられたものです。

また、日本には「いただきます」という言葉があります。食べ物や生産者の方に感謝の気持ちを表す大切さを、生活の中で学んだ人も多いでしょう。

この感謝の気持ちは、子どもだけではなく大人になってからも非常に大切なものです。ガイドラインの中では、それがどれだけ大切なものか触れられています。

感謝を伝える習慣を持っている人は、そうでない人に比べて協力的で情け深く、寛大で人を許すことができるという研究結果があります。そして、そうした人はより幸せな人生をおくり、健康的でもあるのです。

感謝の気持ちを持つことがどれだけ大切なことなのか、疑う余地もありませんね。

ただ、ここで重要なのは、感謝の気持ちを持つということではなく、感謝の気持ちを伝えるということがより大切だということ。そして、それを習慣化する必要があるということです。

「感謝の習慣」を作る方法

では、我が子に感謝の習慣を作るにはどうしたらいいのでしょうか? ガイドラインの中では、非常にシンプルな方法が紹介されています。

それは、日ごろから繰り返すこと。感謝の気持ちを伝えるシーンというのは、日常に溢れています。コンビニやスーパーで買い物をしたとき、近所のおじさんからフルーツをもらったとき。これらすべて、感謝を伝えるタイミングなのです。

ただ習慣化されていないと、こうしたシーンでも「ありがとう」と言えないかもしれません。そこでガイドラインでは、親が率先して行なうことをおすすめしています。

子どもは、親の背中を見て育つものです。子どもに「ありがとう」と言わせるのではなく、「ありがとう」と言っている親の背中を見せましょう。

また、子どもが何かをしてくれたら、「ありがとう」と伝えるように心がけてください。醤油をとってもらったとき、家事を手伝ってくれたとき、肩を叩いてくれたとき、どんなシーンでも大丈夫です。

ただし、ここで注意が必要です。

子どもがやるべきことに対して感謝しすぎるのは、甘やかしになりかねないからです。

たとえば、日常的なお手伝いを褒めたりせずに、普段とは違うやさしさを見せたときに褒めるようにしてください。この種のルーティンは当たり前のこととして褒めない姿勢をとることで、日々の行動に深く浸透していくからです。

これは、一筋縄ではいかないですね。

ただ、親が背中を見せるということは、すぐにできるはずです。働くお父さんも、「ママ、いつも家事ありがとう」と子どもがいるところで、意識的に言ってみるのもいいかもしれません。

もちろん、子どもがいないところでも言ってあげましょうね。


Image: fizkes/Shutterstock.com

Source: Harvard University