ファッション市場の新しい形になるかも。
米ニューヨーク州のブルックリンに拠点を置くスタートアップ企業LOOMIAが、トラッキングした服の使用データをユーザー自身がブランド企業に販売できるスマートファブリックを開発中だそうです。
LOOMIAがスマートファブリックに使用しているのはLEL(The LOOMIA Electric Layer)と呼ばれる、電子回路が組み込まれた服飾用の生地で、これは布みたいにフレキシブルで折り曲げたり洗ったりできるとのこと。
#didyouknow that the #LOOMIA Heating fabric is only 10 mils thick? That will make it one of the slimmest heat delivery form factors in the market! #flexiblecircuits#smartfabricspic.twitter.com/AwVF2nXQ4H
— LOOMIA (@LoomiaCo) 2018年5月24日
ユーザーがこの特殊な生地が縫い込まれた服を着ると、取り付けられたLOOMIA TILEと呼ばれる電子タグに着用時の環境データが記録されます。これによって、たと一定期間にジャケットを着た回数だったり、着用時の平均気温といったデータが自動的に蓄積されていきます。
ユーザーはスマートフォンでタグをスキャンし、専用アプリを通じてそのデータを販売元のブランド企業に売ることができます。データはクラウドストレージで共有され、ブロックチェーン上に作成された仮想通貨のようなLOOMIAの暗号化トークンがユーザーに対価として支払われるそうです。
ユーザーはこの支払われたトークンを使って、専用プラットホームから服などの商品が購入できるような仕組みになるとのこと。
We're changing the way #retail uses #data, not just with #blockchain and #bitcoin, but in the actual fabric you wear. "Connecting its devotees with its newly partnered, Loomia tightens the correlations and the trust with both." - https://t.co/tO2avbyiwepic.twitter.com/opAuuX3r8G
— LOOMIA (@LoomiaCo) 2017年11月27日
LOOMIAはこれまでにもスマートファブリックを使って、ファッションとテクノロジーを融合させる取り組みを進めていて、寒い日に気温を感知して自動的に温めてくれるブーツや、暗い場所で中身を照らしてくれるバッグといったプロトタイプを開発してたりもします。
人が、普段の生活の中で服をいったいどんな風に使っているのかという実際のデータは、これまで企業にとっては知る術がなく、アンケートだったりモニター調査などを通じて間接的に得るしかないものでした。
なので、今回のプロジェクトはそういった価値のある情報を商品開発に利用できるブランド企業にとっても、またデータの対価を得られるユーザーにとってもありがたいもの。将来のファッション業界のビジネスのあり方を変えてしまうものになるかもしれません。
まずは今プロトタイプの段階にあるLOOMIA TILEが夏には生産が開始される見通しで、さらに今後ファッションブランドと協力しながら、実際の一般消費者向けの製品が予定されているとのことです。
Source: LOOMIA, WIRED, businessinsider
(Kitayama Noriaki)