「いつか舞浜に住みたい」幼い頃から憧れ続けた“究極の夢”を実現したら…【オタ女子街図鑑】

著: 劇団雌猫 

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二次元、ジャニーズ、宝塚にアイドル。次元もジャンルも異なれど、オタク女子にとって趣味は人生の重要な一部。趣味を満喫するうえで、実は大切なのが「暮らす街」。オタク女子はどんなことを考え、どんなことを重視して街と家を選ぶのか?

『浪費図鑑』『悪友』が話題の4人組オタク女子ユニット「劇団雌猫」がお届けする連載「オタ女子街図鑑」。幼い頃にディズニーランドの虜になってからずっと抱いてきた夢、「いつか舞浜に住みたい」。一念発起して実現した先にあった幸せは……。

本日の語り手 サザンプラティフィッシュさん

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千葉県浦安市舞浜。

全国47都道府県、数多くの魅力的な土地があるなかで、目にすれば少なからず「おっ」と思っていただける地名ではないだろうか。

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私が浦安市舞浜に住んで今年で6年になる。なぜここに住んでいるのか。答えはもちろん「東京ディズニーリゾート(TDR)があるから」です!

“究極の夢”を叶えるまで

通常、引越し先を決めるときには、職場へのアクセスはどうか、近隣の治安や住みやすさはどうか、オタクであれば自分がよく通う「現場」へは行きやすいか……などを熟考した上で、総合的に考えてココだ!と探すことが多いんじゃないかと思うけれど、私は「とにかく舞浜。その他のことはあとで何とかする!」という、オタク趣味への全振りで舞浜への移住を決めた。幸い「休みが比較的取りやすくて、舞浜から通いやすい」という条件で探した職場にも無事に転職が決まった。

TDRファンにとって「浦安市舞浜在住」というのはある意味究極の夢であり、ここにさえ辿り着ければ、衣食住の中の「住」はゴールといっても過言ではない。「現場が近い」どころではなく、「現場に住んでいる」になれるのだ。なんという甘美な響き。

舞浜で家を探したときに、まず驚いたのは「家賃が思ったよりも安い」ことだった。アパートやマンションなどの賃貸を探すと駅から徒歩10分以内の物件はほとんど無く、そのぶん相場が落ち着いているのだ。

よく絵本などに登場するファンタジーな国で「小高い丘にお城、そこから少し離れて栄えた城下町」のような描写があるけど、舞浜も大体そんな感じと思っていただければ間違いない。駅近物件が無い代わりといってはなんだけど、都内などに比べると家賃がグンと安くなる。

私が今住んでいる物件は
・2DK
・バス・トイレ別
・軽量鉄骨
・オートロック付き
・テレビドアホン付き
・宅配ボックス付き
・駅から徒歩20分、自転車で10分

という条件で、管理費込みで家賃は7万円を超えていない。

どうですか!?思ったより安くないですか!?駅までの距離はネックではあるけれど、平坦で広い道が多いから電動自転車があればほぼ無敵になれる上、舞浜駅に設置されている市営駐輪場もめちゃくちゃに安くて、月額720円という破格のお値段である。神に感謝。ありがたすぎる……。

交通の便も意外に便利

舞浜駅を通っている路線はJR京葉線(と乗り入れしている武蔵野線)のみなので、一見するとさまざまなアクセスが悪そうに思えるが、実はそんなことはない。

確かに、乗り換えをせずに一本で行ける場所は多くはない(というか、ほぼない)が、1~2回乗り換えさえすれば、オタク的な用事が頻繁にある場所には大抵30分前後で着くことができる。

例えば、国際展示場は新木場でりんかい線に乗り換え1回、最速15分で着けるし、都内の人からは遠いと不評な幕張メッセのある海浜幕張駅は乗り換えなし、快速電車で18分。

オタク女子が大変お世話になっている池袋にも、新木場から有楽町線に乗り換え1回だし、池袋のなかで最も用がある東池袋で直接降りられるのも最高だ。

都内の映画館では争奪戦になるような人気公演のライブビューイングだって、舞浜から快速でたった2駅15分のららぽーとTOKYO‐BAY(南船橋)に併設されている「TOHOシネマズ ららぽーと船橋」を選べば、抽選に外れたことがない。ライビュはTCXシアターで上映してくれることが多くて、正直言ってここは穴場です。

9月はももいろクローバーZ出演のミュージカル、11月には宝塚歌劇団の公演も発表された最近激アツの舞浜アンフィシアターに至っては自転車で行けるし、なんなら徒歩だって可能な距離にある。場内もきれいだしステージは見やすいしその上近所にあるなんて、ありがとう舞浜アンフィシアターくん。推しです。

なお、「京葉線」と名前を出すとほぼ言われる「東京駅での乗り換え遠すぎ問題」に関しては申し開きのしようもないけど、いや……でも……出来の悪い子ほど可愛いっていうか、沿線に住んでいるうちにそれもチャームポイントに思えてくることは無くもないし、実は東京国際フォーラムと直結していて、有楽町駅付近にはめちゃくちゃ行きやすいという長所もあるので……!あそこは東京駅ではなく有楽町駅だと思っていると、乗り換え遠いのもしょうがないか、と少しは納得できる、かもしれない。

「食」もこんなに楽しめる!

TDR内のショップやレストランは熟知していても、実際に引越してくるまでは舞浜の居住地域の様子は全く知らなかったし、調べなかった。

こじらせた強烈な憧れがあったので、たとえTDR以外の地区の環境が激ヤバ世紀末都市状態でも絶対に住む!と固く決意をしていたが、住んでみたらとっても快適で、舞浜在住でゴールになった「住」以外の「衣食」も十分に補ってくれることに驚いた。

特に食に関しての充実っぷりがすごい!浦安はもともと漁師町なので、浦安駅のすぐ隣に今も「浦安魚市場」がある。

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ここの魚市場は、基本は業者向けだけど一般のお客さんも大歓迎!というありがたい場所で、新鮮な魚介・精肉・野菜をプロの助言付きで買うことができる。ちょっと早起きできた土日の朝なんかは、場内の食事処に行き美味しい寿司や海鮮丼を食べるだけで一気にQOL爆アゲ間違いなし。

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駅前から離れた住宅地のなかに美味しい個人飲食店が多数あるのも気に入っていて、本格的な薪窯で焼きたてのピザが楽しめる「ピッツェリア テルメ」、もんじゃ屋さんなのに刺身盛り合わせが有名な「里波亭」、スジ肉盛り合わせがめちゃくちゃリーズナブルな焼肉店「たから亭」、全部オススメ!めっちゃ美味しい!市外からのアクセスは悪いけど、市内に住んでいると簡単に行けるお店が美味しいって、ちょっと特別な感じがしてうれしい気持ちになれる。

普段使いするスーパーもオーケーストア・ヤオコー・マルエツなど複数あるし、マルエツは24時間営業なので心強い。なかでも最近新しく出来た「アール元気 アクロスプラザ浦安東野店」が我が家では今一大ムーブメントを巻き起こしている。

元々浦安市の物価って安いよな、と思っていたのに「ブロッコリー2株 39円」「サラダ菜1箱 130円」など、何がどうしてこうなった……?と思わず宇宙猫の顔になってしまうような価格で生鮮品が売っている。1箱て。一般スーパーで売っている単位として聞いたことない(※マジの野菜用ダンボール1箱です)。アール元気ができてから、我が家の食卓に野菜が登場する率が格段に上がりました。

浦安市民だからできる特別なこと

舞浜へ引越してきて「あぁ、いいなぁ…」と思ったことは数えきれないほどある。

友達とパークで遊んだ後、「家に着いたよ、お疲れ!」とLINEを送ると「こっちはまだ東京駅にも着いてないよ!近い!」なんて返信がくるのを見てほんのちょっぴり優越感に浸ってみたり、何気なく夜に自転車で街中を走っていたら背後でドン、と音がしたので振り返ったら花火が上がっていたり、街中のお宅の洗濯物に自分が一番大好きだったTDRのイベントタオルが干されていたり、今の生活にはそんな小さな幸せがたくさん散りばめられている。

でも、引越してきた後で私が一番うれしかったのは「銀行口座をつくったとき」だと思う。実は、浦安市民にしかつくれない特別な場所の銀行口座がある。それは東京ディズニーランド ワールドバザール内にある三井住友銀行の口座だ。

パーク内にある小さな店舗には、普通の銀行と同じように機能している窓口があり、今(2018年6月現在)は近隣住民、つまり浦安市民しか口座開設できない。

なぜわざわざこの場所で口座を作りたいのか、なぜ特別なのかというと、ここで開設した口座は「三井住友銀行 東京ディズニーランド出張所」という名前になるのです。

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………超ミラクルスーパー最高すぎじゃないですか…………!!??!??!!

公的な書類に銀行口座記入欄があれば「東京ディズニーランド」と堂々と書ける喜び!大好きな場所の名前が付いた特別な口座をもっているという喜び!そしてその口座を「舞浜に引越してきた」からつくれるようになったという喜び!もう何もかもが最高!!!

なお、肝心の口座の中身については「パークで使うオタク資金を貯めるぞ!」と思ったものの、貯める速度<<<使う速度なので、全くなにも入っていません。ウケる~~~(ウケない)

非日常を感じながら暮らす

「生きているうちに一度でいいから舞浜に住んでみたい」、ただそれだけの気持ちで選んだ街だったけど、思った以上に充実した日々を送れている。

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旧江戸川と京葉線をのぞむ駅までの道

晴れた日に窓を開けてベッドに寝転がっていると、風に乗ってパレードの曲が聞こえてきたり、あの鉄道の汽笛が聞こえてきたり、自分の日常とパークの非日常がゆるやかに混ざっていくような感覚が不思議ながらも心地いい。

幼い頃に車窓から見える度に「来た……!」と大興奮していた白いお城は、今では「ただいま」とホッと出来る存在に変わった。長い間憧れていた土地は、このまま何事もなければ私の終の住処になりそうだ。初恋が実ったようでなんだかくすぐったいが、それ以上にとてもうれしい。まだまだ舞浜生活は楽しめそうだし、ひとまずせっかくつくった口座にお金を貯めることから始めようかな。

楽しい毎日をありがとう舞浜、愛しているよ舞浜。これからもずっとよろしくね!



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劇団雌猫、同人誌最新刊は「悪友 vol.3 東京」。

オタク活動と切っても切り離せないこの街について14人の女性が内と外から語る、愛憎まみれる匿名エッセイ集。あなたにとって「東京」ってなんですか?

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<劇団雌猫による「オタ女子街図鑑」、次回は8月後半に更新予定です!>



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■オタ女子街図鑑 過去の記事

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著者:劇団雌猫

劇団雌猫

アラサー女4人の同人サークル。「インターネットで言えない話」をテーマに、さまざまなジャンルのオタク女性の匿名エッセイを集めた同人誌「悪友」シリーズを刊行中。浪費、美意識、恋愛に続く新刊テーマは「東京」です。「悪友 vol.1 浪費」の増補改訂版として、書籍「浪費図鑑」(小学館)が2017年8月に発売。その他、イベントや執筆など楽しく活動中。

Twitter:@aku__you

ブログ:劇団雌猫