Androidの大規模な市場シェア獲得、喜ぶべきはずがとんでもないマイナスに。
EUが、反トラスト規制に違反するとして、Googleに43億4000万ユーロの罰金を科す方針を明らかにしました。日本円にして約5700億円、EUが科した制裁金として過去最大額の制裁です。
EUいわく、フル機能をそなえたAndroid OSのライセンス契約内容(YouTube、Google Maps、GmailなどのGoogleアプリを事前インストールするよう端末製造元に義務つける)は、競合他社に大きく不利な状況をもたらしているというわけ。ライバル=Samsung(サムスン)、Huawei(ファーウェイ)、HTCなどの現在の状況は、Googleが市場を独占している証拠だといいます。欧州委員会のMargrethe Vestager氏は、今回の罰金方針をツイートで解説。
Fine of €4,34 bn to @Google for 3 types of illegal restrictions on the use of Android. In this way it has cemented the dominance of its search engine. Denying rivals a chance to innovate and compete on the merits. It’s illegal under EU antitrust rules. @Google now has to stop it
— Margrethe Vestager (@vestager) 2018年7月18日
Googleへの43億4000万という罰金は、Androidの使用に関して、3つの不正な制約があるからです。検索エンジンでの確固たる市場独占。競合他社が革新し、競争するチャンスを奪っている。これはEUの反トラスト規制に反しており、Googleは今すぐ是正せねばいけません。
強大なGoogleを前にして反トラスト法を出したくなるEUの気持ちもわかりますが、Googleだって黙っているわけにはいきません。GoogleのCEOサンダー・ピチャイは「Android has created more choice, not less.(Androidは、より多くの選択肢を作り出している。選択肢を減らしてはいない。)」というタイトルのブログを公開。Android端末とiOS端末の競争や、Android端末を開発・販売するメーカーやネットワークオペレーターが、いかに多くの選択肢を与えられているか、という点は今回の制裁に考慮されていないと反論しました。
また、ブログではGIF画像まで使って、プリインストールされたGoogleアプリを消去&他社類似アプリをインストールするのがいかに簡単なことかも説明(たったの30秒!)。ピチャイは、GoogleはEUの罰金方針と戦う姿勢であると語りました。
もし、罰金を支払うことになっても、Googleにお金がないわけではありません。2017年の利益は126億ドル、EUへの罰金は約50億ドルなので、昨年の利益の40%ほどを取られてしまうという計算。一方で、GoogleがEUの要求に90日以内に応じない場合、追加罰金として、Alphabetの1日の世界平均売上の最大5%が課せられる可能性もあります。
巨大テック企業にとって、反トラスト法に関する罰金、訴訟は無視できない問題なのです。市場シェアが大きすぎるのも悩みのタネです。
Image: Asif Islam/Shutterstock.com, Google
Source: StatCounter Global Stats, European Commission, Google, ロイター
Sam Rutherford - Gizmodo US[原文]
(そうこ)