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睡眠時間と幸福度を2年以上も自力でトラッキングした結果を分析してわかったこととは?

by Stine Moe Engelsrud

「幸福を追跡することが自分の使命である」と考えるエンジニアの男性が、睡眠計測アプリを使って自分の睡眠を2年にわたり追跡し、毎日記録した「その日の幸福度」とあわせて分析することで、「たくさん眠るほど人は幸福になれるのか?」ということを調査しました。

The Effect Of Sleep On Happiness [Complete Analysis] - Happiness Through Sleep: Part 1
https://www.trackinghappiness.com/effect-sleep-happiness/

自分の幸福を追跡しているのはオランダ在住の25歳男性だというTracking Happinessの管理人。男性は「睡眠と幸福の間に相関関係はあるのか?睡眠時間を長くするほど幸福度は増すのか?」という点と「幸福を維持するための睡眠時間はどのくらいなのか?」という点を調べるため、睡眠計測アプリを使って自分の睡眠時間をトラッキングしました。

トラッキングに男性が利用したのは「Sleep as Android」というアプリ。Sleep as Androidは入眠から起床までの記録に加え、ユーザーの睡眠時の動きを検知するため、睡眠の深さも測定してくれるようになっています。

「自分の幸福の追跡」を使命として掲げる男性は常日頃から自分の幸福度を10段階で評価しています。男性は2015年のうちの5週間を仕事上の都合でクウェートで過ごしたのですが、クウェートでのプロジェクトは過酷で、幸福度が低くなる日が続き、過去最低記録である「3」という評価を下すことにもなったとのこと。週に80時間働き、1日12時間をプロジェクトに費やした後でも男性は自分の好きなことをしたいと考え、深夜になるまで映画を見たり運動したり、恋人とSkypeで会話したりを繰り返したそうです。その結果、当然、睡眠時間は短くなり、1日5時間という睡眠が続きました。この経験をきっかけに、男性は自分の睡眠を追跡するようになったといいます。

睡眠のトラッキングは以下のような感じ。男性は寝る前に幸福を10段階評価してからアプリを起動し就寝、起床後アプリを停止するとともにその時の気分を評価する、ということを繰り返しました。左側がそれぞれの日の睡眠時間で、右側が気分の評価などを記録した起床後のアプリ画面。


アプリにはさまざまなデータが記録されていますが、今回男性が使ったのは「入眠から起床まで」の時間のみ。また例えば1月1日(金)から1月2日(土)まで6時間の睡眠が計測された場合、睡眠時間は全て「土曜の睡眠」としてカウントされました。

これが男性の普段の睡眠時間を2016年11月から12月までの期間で切り取ったもの。青いグラフが実際の睡眠時間で、赤いラインが平均睡眠時間です。この期間の平均睡眠時間は7時間31分ですが、平日は実際の睡眠時間が赤いラインを下回り、週末は上回るというサイクルが繰り返されていることがわかります。


男性はこれまで幸福な人生を送ってきたことから、平均睡眠時間である7時間31分が「自分に必要な最低睡眠時間」であると仮定しています。そして必要な睡眠時間をどれくらい取れていないか?ということを可視化するとこんな感じ。「0」となっている横軸が必要睡眠時間で、青いグラフが平均睡眠時間をどれくらい上回っている・下回っているかを示したものです。赤く示された平日の「累積的な睡眠不足」が週末になって解決される、というサイクルを繰り返しています。


データは2015年3月から2017年11月まで記録されており、うち2016年2月までのデータはこんな感じ。データが抜けている部分はアプリの設定を忘れていた時であり、この部分は分析から抜かれているとのことです。


データを「睡眠不足量」に焦点を当てて図示するとこう。赤いグラフが真ん中のライン部分から突出している期間は睡眠がしっかり取れていますが……


2017年の5月から9月ごろまでは累積的な睡眠不足がすごいことに。その後、ノルウェーで休暇を取ることで回復しているのがわかります。


また、1日当たりの平均睡眠時間をグラフにするとこう。


ただし、国境を越えることが多い男性は、タイムゾーンが異なる地域に移動することもあり、データは完全なものとは言えないとのこと。また、アプリを起動してもしばらくは起きていることもありますが、大抵はアプリ起動後30分内には眠りにつくそうです。一方で、睡眠トラッキングを開始した男性は「夕食が食べ放題だった日は眠れない時間が長い」ということに気づいたといいます。

そして、上記の睡眠不足を表すグラフに幸福度の情報を加えたものがコレ。一番上の黒いグラフが幸福度で、青いグラフが各日の睡眠不足量、赤いグラフが累積的な睡眠不足量でとなっています。


グラフを見た男性は「赤ん坊のように眠れた日は幸福度が高くなる、というようには見えない」とコメント。幸福度の低さが睡眠不足によってもたらされるようにも、幸福が十分な睡眠を原因にしているようにも見えないと男性は述べています。

男性は幸福度と共に、幸福をもたらした要因についても日常的に記録しています。記録を分析した結果、男性の幸福度を頻繁に減らしている1つの要因は「疲れ」にあることがわかっており、クウェート暮らしにおける幸福度(黒)、疲れが記録された1週間あたりの数(紫)、累積的睡眠不足(赤)という3つのグラフを表すとこんな感じに。睡眠よりは疲れの要素の方が幸福度にマッチしているようにも見えますが、男性は「グラフからはっきりとしたことは言えない」としています。


さらに、1日の睡眠時間に対して幸福度をプロットした図がコレ。縦軸が幸福度、横軸が1日の睡眠時間を示します。男性によると相関は0.02で、ほとんどゼロに近いとのこと。幸福度を「3」と評価した日でも、睡眠時間が8時間を超えている日があることからわかるように、その日の幸福度はその日の睡眠時間と相関関係を持たないようです。


続いて累積的睡眠不足に対する幸福度をプロットしたものがコレ。睡眠不足の影響が遅れて現れることを考えて作られたグラフですが、それでも相関は0.06ほどでまだ少ないとされています。ただし、幸福度の評価を「3」とした日は、累積的睡眠不足という観点から見ると、睡眠不足の状態にあることがわかります。そして、睡眠不足ではない日は幸福度が5を下回らないことも示されています。


累積的な睡眠不足を「28日間」という期間に限定してプロットするとこう。これはつまり、期間外の睡眠不足はグラフに影響しないことを意味します。過去に行われた研究で「睡眠不足は失効しない」と示されたこともありますが、男性は「2年前の睡眠不足が今日の睡眠不足に影響しているとは思えない」ということで、期間を限定したそうです。この場合の幸福度・累積的睡眠不足の相関は0.09になっています。


そして、上記のグラフに上限と下限を表すラインを加えたものがコレ。このグラフからわかることとして、男性は「本当に不幸な気持ちだったのは睡眠不足の時だけ」「余分な累積的睡眠を10時間以上持っている時は、幸福度評価が6以下にならない」ということを述べています。このことから「より多くの睡眠は多くの幸福をもたらすのか?」という疑問に対しては「もたらなさい」という答えを示すとともに、相関は小さいものの、「睡眠不足は幸福度の下限に影響する」という結論を男性は出しています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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