南極で超大氷山「A-68」が生まれてから約1年。ちょっとずつ北に流れているみたい

  • 17,765

  • author 岩田リョウコ
  • X
  • Facebook
  • LINE
  • はてな
  • クリップボードにコピー
  • ×
南極で超大氷山「A-68」が生まれてから約1年。ちょっとずつ北に流れているみたい
Image: NASA

その大きさ、約「三重県」。

ちょうど1年前、南極大陸にある超巨大ラーセンC棚氷が割れて、これまた巨大な氷山が誕生しました。A-68と名付けられたこの氷山は、史上最大級の氷山のひとつといわれています。誕生から12ヶ月間、A-68を追い続けたタイムラプスが公開されました。

A-68は記録された氷山のなかでは6番目に大きい氷山で、その大きさはなんと5,800平方キロメートル、重さは1兆トン。想像つかないですよね…。日本でいうなら、茨城県や三重県と同じくらいの大きさです。ラーセンC棚氷から分離したA-68は北へ向かってゆっくり流れ出し、この先もゆーーーっくりと漂流していくだろうとのこと。

イギリスの南極調査プロジェクトProject MIDASで、ラーセンC棚氷が及ぼす気候変動の影響を調査しているAdrian LuckmanさんとMartin O’Learyさんによると、ウェッデル海は海氷が多くあるためA-68はそこまで動いてはいないのだそうです。

また、「A-68は海流や潮の満ち引き、風などに押されて移動しているのですが、ボウデン・アイスライズ近くの浅い海底に氷山の北の先端がぶつかり続けている状態」だと発表しています。2018年5月には、A-68がぶつかって割れたことでさらなる氷山が生まれています。

しかし、割れてできた氷山は名前をつけるほど大きくはありません。とはいっても、小さな街くらいの大きさはあるんですが。ぶつかって割れながら、A-68はこの先おそらく何十年もかけて北のほうへ漂流し続けていきます。これまでぶつかって失われた部分は全体の12%ほどですが、それでもいまだその巨大さを保っています。

ラーセンC棚氷が分離した経緯については、科学者の間でも論議となっていて、循環的プロセスで自然発生という科学者もいれば、NASAの科学者Eric Rignotさんのように、温暖化によるものだと主張する科学者もいます。南極は「炭坑のカナリア」と呼ばれ、気候変動の影響が一番顕著に現れる場所なんだそう。こうして棚氷が割れるというのも、何かしら変化があったからなんです。この先の調査が真相解明において重要になっていくでしょうね。


Image: NASA
Source: Project MIDAS

George Dvorsky - Gizmodo US[原文
(岩田リョウコ)