ついにレントゲンがカラーに!
レントゲンやMRIというと、白黒というイメージがありますよね。映画やテレビもカラーになって70年以上経つのに、より私達の健康に大切な映像は未だにモノクロなわけです。しかし、 欧州原子核研究機構(CERN)にて開発されたチップがそれを変えようとしています。
色付きになる仕組み
Medipixは粒子追跡を行なうチップ。電子シャッターが開いている間に画素に衝突する粒子を検知し、数えるものです。これによって、医療の分野においても高解像度、高コントラストで信頼性の高い画像を得ることができます。これはそもそもハドロン衝突型加速器で粒子を追跡するために開発されたもので、ニュージーランドのカンタベリー大学とオタゴ大学で教授を務める親子の科学者、Phil Butler教授とAnthony Butler教授が長年に渡って研究、改良を続けてきました。
「小さい画素と正確なエネルギー分解能は、今までのイメージング機器では撮影不可能だった画像を可能にしており、他の機種と一線を画しています」とButler教授はコメントしています。
チップの最新版であるMedipix3を採用し、実際の3Dスキャナーを開発しているのは同じくニュージーランドの企業であるMARS Bioimaging Ltd.です。チップを搭載した検知器が生み出す分光学的データと、強力なアルゴリズムを駆使して3D画像を作りだします。X線光子が脂肪、皮膚、骨など異なる組織を通過すると、それぞれ異なったエネルギーレベルで検知器に記録されます。それを利用して各組織に色をつけて判別を可能にします。つまり、実物の色まで記録して再現しているわけではないんですね。
より正確な診断と各人に合わせた治療の実現につながるかも
しかしそれでも、試験段階での結果は良好だそうです。現在はMARSスキャナーの小型版を使い、ガン、骨や関節、心臓発作を引き起こす道管病を研究していますが、「それらすべての研究において、分光イメージングをクリニックで定期的に利用することで、より正確な診断と治療のパーソナライゼーション(編注:個人個人に合わせた治療)が可能になると示唆される結果が出ました」とAnthony Butler教授は語りました。
今までの白黒映像だと、どこがどの臓器で、具体的にどこに問題があるのか、医師に指差ししてもらってなんとなく分かるということも頻繁にありますが、これなら医師にとっても患者にとっても、よりハッキリと問題の部分が見えやすくなるのでしょう。いち早く世界的に普及するといいですね!
Image: MARS Bioimaging Ltd, CERN
Source: CERN
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