敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ子育て術「HOW I PARENT」シリーズ。今回は夫と4人の子どもたちとキャンピングカーで旅する生活を伝えるブログとYouTubeのクリエーター、ジル・クラウスさんの子育て術です。
ジル・クラウスさんって何をしている人?
ジル・クラウス(Jill Krause)さんと夫のスコットさんは、テキサスでトップクラスの学区にある広々とした敷地に建つ寝室が5つもある美しい家を手に入れました。典型的なアメリカンドリームを実現したのです。
でも、その夢のせいで生活がつまらなくなったことに気づきました。夫婦で暇さえあれば家や庭の手入れを、子どもたちは課外活動や標準テスト以外のことは何もできなくなっていたのです。
そんなクラウス家は、去年の始めに思い切った決断をしました。家を売り、キャンピングカーに乗り込んで旅に出ることにしたのです。今は、6人家族で旅をしながら子どもたちにホームスクーリングならぬ「ロードスクーリング」をしています。ブログ『Happy Loud Life』とYouTubeでキャンピングカーで暮らすときのコツや裏ワザを公開しながら。
そんなジルさんの子育てハックを聞いてみました。
居住地:現在はワシントン州
職業:コンテンツクリエイター兼インフルエンサー
家族構成:夫のスコット、子どもはケンダル(10歳)、レニヤ(7歳)、ローウェル(4歳)、ワラス(18カ月)の4人
──最初に、家族とキャリアについて。ここまでの人生は概ね計画通り?それとも予想外のことが多かった?
スコットと私は出会ったときから2人にとっての理想のファミリーライフを実現するために本当に頑張りました。2人とも大学に行き、バリバリ働いてキャリアを邁進し、子どもは4人持つことを計画していました。
それが、全く予想外の展開になりました。
すべてを売り払ってキャンピングカーで旅から旅の暮らしをするとは…。2016年にそんな生活をしてみたらどうだろうと思い立ち、意識的にした選択です。
──朝のルーティンは? 外出をスムーズにする裏ワザは?
今はキャンピングカー生活で、子どもたちには家庭学習させているため、午前10時より前に外出しなければならないことはめったにありません。その点がこの生活の良いところ。
とは言え、4人の子どもの手綱を握り物事を進めさせるのは、いつでも大変です。
だから靴は全部1か所に置くことにしています。これは以前大きい家に住んでいたときも実践していたコツです。それから、スナックは美味しくて携帯に便利なものを常にストックしておきます(Target brand社のフルーツレザーの大ファンです)。あと、おむつとおしりふきをドアのところに余分に置いておきます。これで、靴、スナック、おむつのありかが正確にわかります。どこに行くにもなくてはならない3大必需品ですから。
──家事と育児をパートナーとどのように分担している?
スコットと私はそれぞれ得意なことを受け持ちながらチームとして協力しあっています。
スコットは毎晩皿洗いと洗濯をして、子どもの世話もずいぶん受け持っています。一方、私は、キャンピングカーで旅する生活のコンテンツを作る仕事をフルタイムでしています。
家を売るまでは、彼の方がフルタイムの仕事を持っていたので、今彼がしていることは私がしていました。
──パートナー以外に、誰からどの程度育児を手伝ってもらっている?
今は旅をしているので、家族以外の人の助けはゼロです。
とても消耗しますが、これも一時的なことだと思っています。家に住んでいた頃、週に1度ハウスキーパーに来てもらっていたことがありました。今度家に住むことになったら、その費用も予算に入れることが私の目標です。ハウスキーパーがいると本当に助かりましたから。
── 「これがないと生きられない」というガジェット・アプリ・チャート・ツールは?
iPhoneがないとこの旅はできないと思います。
月並みな答えかもしれませんが、iPhoneがあって良かったです。州から州へと移動するたびに、私は子どもたちと家族の写真を山ほど撮りますし、A Color Storyを使ってiPhoneでエディットするのも大好きです
Instagramは、最近我が家のファミリーストーリーを伝える主流プラットフォームになっていますが、Recentlyで写真をプリントするのも好きです。カメラでフォトマガジンができてしまいますよ。
よちよち歩きの子どもがいるキャンピングカーでの生活には、Lotus Travel Crib、Summer Infant Pop N’ Play Portable Playard、Stokke Flexi Bathのような遊び場やお風呂場を確保するための革新的な製品が必要です。小さくたためて、キャビネットに入れています。
──夜のルーティンは何をしている?
我が家はキャンピングカーにしては広いので、居間兼ダイニング兼キッチンにしているエリアには気持ちの良いソファ2つと大型テレビがあります。
夕食を作るときは、『プラネットアース』やKen Burnsの『The National Parks』のようなドキュメンタリーを流すことが多いです。
家に住んでいたときと同じように、ほとんど毎晩子どもたちにはお話を読んでやってからベッドに入れます。
──今のリラックス方法は?
スコットと私は意識的にセルフケアと2人の時間を作るようにしています。
2人とも、子どもたちが寝た後で、『Westworld』や『The Walking Dead』などのテレビドラマを観るのが好きです。いつも旅先の地ビールやワインをみつけて、飲みながら楽しんでいます。
──キャンピングカーで旅をする生活のコツは?
運転中は、子どもたちとポッドキャストを聞くのが好き。我が家のお気に入りは『Circle Round』。
スコットと私は『How I Built This』を聞くのが好きです。これは子ども用のポッドキャストではありませんが、サクセスストーリーを語るとき、常に失敗についても事細かく語られるので、子どもたちの耳になんとなく入っていたらいいなと思っています。
失敗は成長と成功の重要な一部だということを子どもたちに教えるのはとても大事だと思っています。
──親として一番誇らしく思う瞬間はどんなとき?
子どもたちが親と一緒に思い切ってこの生活に飛び込んでくれたことを心から誇りに思います。とはいえ子どもたちには選択肢が多くはありませんでしたし、文句を言ったり前の生活に戻りたがったりした日もたくさんありましたが、今はこの暮らしを受け入れています。みんなで一緒に新しい体験をしては喜びを見出しています。そして、気づかないうちに兄弟の絆が強くなっているように感じます。
──1番情けないと思う瞬間はどんなとき?
毎日、親として自慢できないようなことを何かしてしまっているとき。子どもたちに対する忍耐と意志は常に課題です。カッとしてしまったり、子どもたちにもっと注意を向けられるように仕事の時間管理がうまくならなきゃと感じるときは、情けない気分になります。
ですから、毎朝目覚めると、こういうことがうまくできるように心がけています。
──子どもたちにはあなたのどんなところを見習って欲しい?
2017年2月のある晩、夕食のテーブルで、私は、家を売ってキャンピングカーを買い、旅に出るというアイデアを家族に持ちかけました。
家族でずいぶん話し合ったので、子どもたちが、あの晩、ママがこの破天荒なアイデアを思いついて、それを家族で実現したことをいつも思い出して欲しいと思っています。
私がしたことを見習って、どんなに破天荒なアイデアでも自分のアイデアは口に出すこととリスクを取ることを学んでくれたらいいなと思います。
──お気に入りの変わった儀式はありますか?
家族の誰かの誕生日には、ハッピーバースデーの代わりにシンガーソングライターのParry Grippの曲で『There’s A Cat Licking Your Birthday Cake』を歌います。このほうがずっと面白いですよ。
──キャンピングカーで暮らすことを考えている親御さんたちに一言
時期をみてなどと思わずに、今すぐ実行に移しましょう。
完璧なタイミングなど決してありません。確かに、騒々しくて窮屈でストレスフルで雑然の極みになります。でも、それと同時に、さまざまな期待を捨てて、ひとりでに魔法が起こるようにすると、とても充実感がありますよ。
Michelle Woo – Lifehacker US[原文]
Photo: Tyler Schmitt/The Mill Photography