ハッブル宇宙望遠鏡、「衝」となった火星と土星をパシャリ

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  • author たもり
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ハッブル宇宙望遠鏡、「衝」となった火星と土星をパシャリ
7月18日にハッブル宇宙望遠鏡が捉えた火星。右には衛星のフォボス

大接近ではどんな光景を観測できるのか、期待が膨らみます。

明日に火星大接近を控え、今月28日に火星は「衝」となりました。ハッブル宇宙望遠鏡の公式サイトではこれを記念し、宇宙望遠鏡がとらえた埃っぽく赤い火星と先月「衝」となったばかりの土星の新画像を公開しました。

「衝」とは、太陽と地球そして火星が一直線に並ぶこと(そして地球が火星に近づくということ)。このとき、火星はいつもよりも明るく見えます。火星がこんなに近づくのは15年ぶりのこと。距離は5,760万kmになり、望遠鏡越しに観測するには絶好のチャンスです。今回の注目すべきポイントは、現在火星探査機オポチュニティを脅かし、惑星全体を覆っている砂嵐を観測できるところ。

NASAの科学者Geronimo Villanuevaさんは米Gizmodoに対し、このように語っています。

双眼鏡や望遠鏡を持っているなら、構造のいくらかを見ることができるでしょう

ただし、砂嵐のせいで、不明瞭かもしれません

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現在の砂嵐がどれほど惑星を覆ってしまったかが分かる、火星の画像ふたつ
Image: NASA, ESA, and STScI

惑星がぼやけてしまうというと残念に聞こえますが、実際はとてもすごいこと。他の惑星で起きている激しい気象を、地上の天文ファンが観測できるわけですからね。

「衝」は、地球を周回するハッブル宇宙望遠鏡でもって惑星を学ぶよい機会かもしれません。ハッブルなら、火星の地表や軌道での実験からでは得られない、惑星全体の鮮明な画像を提供できます。たった1枚の画像から、科学者らは惑星を覆う砂嵐の発達を観察することができるのです。さらに「衝」はちょっぴり良い画がみられる機会でもあります。Villanuevaさんいわく「天文学に興味があれば、より大きな口径のボディのほうが解像度の高い画像を捉えてくれます」とのこと。

この最新画像は、2カ月にわたる火星関連の特大ニュースの後に届きました。探査機キュリオシティは最近、火星のゲール・クレーターで35億年前の岩石から有機分子を発見したばかり。先週、マーズ・エクスプレス探査機は火星の地表から1マイルほど地下に塩を含んだ液体の水が存在すると発表。その間、火星の地表で起こっていた砂嵐は惑星を覆うほどに発達して、人類はオポチュニティ探査機との連絡を絶ち切られてしまう憂き目に遭うなど、何かと火星に関する話題が続きますね。

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ハッブルが捉えた、6月27日に「衝」となった土星
Image: NASA, ESA, A. Simon (GSFC) and the OPAL Team, and J. DePasquale (STScI)

明日はいよいよ、火星の大接近。日本では夜9時頃が見頃だそうですよ。

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Image: NASA, ESA, A. Simon (GSFC) and the OPAL Team, and STScI(HubbleSite.org)
Source: HubbleSite.org(1, 2

Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文
(たもり)