格安スマホが何を犠牲にしているのかよくわかる:Alcatel 1Xレビュー

  • 31,118

  • author Patrick Lucas Austin- Gizmodo US
  • [原文]
  • Kaori Myatt
  • X
  • Facebook
  • LINE
  • はてな
  • クリップボードにコピー
  • ×
格安スマホが何を犠牲にしているのかよくわかる:Alcatel 1Xレビュー
Image : Patrick Lucas Austin/Gizmodo US

スマホにはお金をかけたくないあなた。

お子さん用に、愛する妻用に、両親のために...チープなスマホの購入を考えているあなた。ちょっと待った。米GizmodoのPatrick Lucas Austinがその使い勝手の悪さを懇切丁寧に綴ってくれています。レビューで酷評の対象になっているのは、「Alcatel 1X」という1万円くらいのスマートフォンです。


「低スペック体験がしたい!」とか、「動きの遅いアプリが好み!」なんて人はいませんね。

安いスマホを購入する理由はただひとつ。安いからに他なりません。ユーザーは安かろう悪かろうを心得ているので動きもそれなりなのは承知の上。ですが斬新さも面白みも皆無です。奇をてらう存在ではなく、あまりパワーのない端末用にデザインされた単純なオペレーティングシステムを走らせています。だけど値段は100ドル(約1万1000円)ぽっきり。「Alcatel 1X」もそんなチープなスマホのひとつ。 でもコストを優先させて機能に妥協することと、使い勝手や操作性を実際どう感じるかは別問題ですね。

Alcatel 1X

seffapn96wihzfdvyymw
Image: Patrick Lucas Austin/Gizmodo US

これは何?:Alcatelの廉価スマホ

価格:100ドル(約1万1000円)

好きなところ:とにかく安い!

好きじゃないところ:スクリーンの反応性悪し、指紋認証が動かない、カメラの性能は最悪

利用感は劣悪

Alcatel 1Xは世界でもっとも「ぱっとしない」スマホではないでしょうか。画面は5.3インチ、解像度は480p(960×480)でアスペクト比は18:9。 画面の素材は、まるでスクロールが大変難しくなるようにわざわざ作りこんであるかのごとくタッチ性が悪いです。でも背面部はスエード風の感触がちょっとした魅力を放って、悪くないじゃんという感じ。夏の暑いときに、指紋の跡が残るのが気持ち悪いのは残念ですが。画面のロック解除も性能が劣悪で、指紋認証はアイスのあたりくじくらいのヒット率なため、仕方なく毎回暗証番号の入力を強いられます。

3.5mmのヘッドホンジャックとMicro-USBポートしか備えていませんが、コストにとことんこだわるAlcatel 1Xユーザーはもちろんそんなのお構いなしです。

リアカメラは8メガピクセル。フロントカメラの解像度は驚愕の5メガピクセルで(便利なLEDフラッシュつき)、言うまでもなく画像は最高に粗くなります。タッチスクリーンの反応性が悪すぎて、画面上のボタンシャッターは押せないことが多いので、強制的にボリュームボタンでの写真撮影となります。あまり重要な撮影は任せられませんね。

Alcatel 1Xが採用しているCPU・MTK6739(Quad-Core、4 x 1.3GHz)は、廉価なスマホを念頭において設計されています。処理能力に期待してはいけません。スクロールはスムーズどころかつっかえる感が半端なく、アプリやゲームでフレーム落ちするのは日常茶飯事。

Alcatelの超シンプル設計のユーザーインターフェースもその使いづらさに拍車をかけています。グラフィックという観念が抜け落ちているので、直感的には使えません。

『Riptide GP2』などの古いゲームは(そこそこ)遊べます。『プレイヤーアンノウンズ バトルグラウンズ』(PUBG)のような新しいゲームは、胸を躍らせながら長い時間をかけやっとダウンロード完了しても、せっかくのゲームを起動できません。そのがっかり感は半端ないです。

ロースペックスマホ向けアプリだと便利な機能が使えない

ハードウェアに関してはあきらめるしかありません。でも、Alcatel 1Xが採用している軽量設計のオペレーティングシステム「Android Oreo (Go Edition)」(Android Go)は最新です。このOS、そもそも人気メーカーの高額な機種になかなか手の届かない、チープなスマホしか買えない、発展途上国などの地域に展開するために作られています。Android Goはメモリ使用量が少なく、スマホのキャパをめいっぱい使うように最適化されているのです。そして、アプリも専用の軽量なものを使います。Android Go用のアプリはロースペックなデバイスから最大の性能を引き出せるよう設計されているのですね。

me4hejwd4o196ksw0nrs
画面は一見美しいが…
Image: Patrick Lucas Austin/Gizmodo US

それでも、Android Go用のアプリは、いってみれば HTML5ベースのウェブアプリみたいなもの。そして、「Google Maps」のAndroid Go用アプリでは、道順を逐次知らせるターンバイターン表示のような便利な機能が使えなくなっているのです。チープなスマホを使うことで何を失っているかよくわかるんじゃないでしょうか。そのうえ、多くのアプリはAndroid Goで走るようには最適化されていないのでAlcatel 1Xで開くと、どうしてもうまく機能しないようになっているのです。せめて、アプリが走らないことをダウンロードしてからでなく、する前に教えてくれるのが親切ってもんですよね。

Alcatel 1Xはチープでシンプルなスマホ。飾り気のないスマホなんです。海外にいるときだけの使い捨て感覚で使えるというビジネスチャンスがあるというのに、eSIMサポートすらありません。動かない指紋認識、超低解像度のディプレイ、写るか写らないかわからないカメラ...Alcatel 1Xは100ドルぶんの価値しかありません。期待してはいけないのです。チープなスマホではできないことが多すぎるご時世です。もう少し奮発して150ドルも出せば、もっとよいMoto G6が手に入ります。50ドルの投資は性能には代えられません。

ですが、そもそも100ドルスマホを探しているくらい差し迫っていれば、50ドルだって惜しいかもしれません。それならAlcatel 1Xに甘んじるしかないでしょう。それでもアプリもインターネットも使えるし、なにより電話をかけられます。すべて割り切ってもっとも基本的な機能だけを使うことを念頭に置くなら、悪くないかも。

まとめ

・ 背面部は美しい

・ 指紋認証はあてにならない

・ アプリはよく落ちる

・ 遅い

・ カメラの写りが悪いのは自己責任