私たちは皆タンパク質を必要としていますが、タンパク質を摂取できる食べ物は肉だけではありません。
動物性タンパク質から植物性タンパク質に切り替えた人は、より健康な食生活に行き着くケースが多いですが、植物性タンパク質が常にすぐれていると思い込む前に、いくつか知っておくべきことがあります。
「タンパク質」という用語には2つ意味がある
タンパク質は主要栄養素の1つで、アミノ酸で構成される分子の1グループです。その意味では、タンパク質は多種多様な食料品に含まれています。
肉には大量に含まれています。インゲンマメや大豆など、豆類(マメ科植物の種子)にも、ある程度含まれています。一方、穀類や葉物野菜には僅かしか含まれていません。
ですが、日常会話におけるタンパク質という用語は、「肉に類するもの」として知られる食べ物も指します。
たとえば、私がひいきにしているレストランでタコスを注文すると、どのタンパク質が好みかと聞かれますが、選択肢はステーキ、魚、豆腐などです。アミノ酸の由来は別として、上述の各種のタコスは、それぞれかなり違った食べ物といえます。
100gのステーキには、21gのタンパク質と19gの脂肪(ほとんどが飽和脂肪)が含まれ、炭水化物は含まれていません。
豆腐の場合は、8gのタンパク質と5gの脂肪、そして(若干の繊維質が混じった)2gの炭水化物が含まれています。
そして、ビタミンやミネラルの含有量もそれぞれ異なります。
植物性タンパク質が含まれた食べ物としては、豆腐のほか、野菜バーガーや大豆でできたベジタリアンホットドッグといったセイタン(基本的に小麦グルテンだけで作られたグルテンミート)の加工食品があります。
また、高タンパクな豆類や穀類等もあります。ひよこ豆やレンティル(レンズ豆)や木の実といったものです。
植物性タンパク質にせよ動物性タンパク質にせよ(またはその両方でも)、健康的な食事にかかせないものですが、等価交換されるものではないことについては理解していましょう。
豆腐を選んだ場合は、別の食事で十分なタンパク質を摂取する必要があります。ステーキを選んだなら、脂肪の摂取量に注意したほうが良いでしょう。
こうした食べ物の違いは、そこに含まれているタンパク質の由来の違いよりも大きくなります。
「動物性タンパク質」に関するいくつかの事実
動物由来の多くの高タンパク食品に関するいくつかの事実を挙げておきます。
- より多くの飽和脂肪酸を含んでいる可能性があります(特に牛肉と乳製品。これは体に悪いとも言われています)。
- より多くのOmega-3脂肪酸を含んでいる可能性があります(体に良いとされており、特に魚に多く含まれています)。
- 繊維質や炭水化物はまったく含んでいません。
- タンパク質の含有量が非常に高い傾向にあります。
タンパク質の多い食事をする必要があるなら、肉を食べることで、簡単に大量のタンパク質を摂取できます。ただ、肉やいくつかの乳製品には、脂肪分が含まれているなどのマイナス面もあります。
魚には、より健康的な脂肪が含まれていますが、水産資源の持続可能性や、水銀濃度の高さといった独自の問題があります。
赤身の肉と加工肉も、ある種のがんとの関連性が指摘されていますが、その関連性を理解するのは少々厄介です。ただ、あなたが例えばベーコン中毒であるなら、食べる量を減らすことが理にかなっていると言えます。
「植物性タンパク質」の長所・短所
植物由来のタンパク質を使った料理にも、それぞれに長所と短所があります。中でも大きな点は、それほどタンパク質が含まれていないということです。
ベジタリアンやビーガン向けの料理でも、バランスの取れた食事である限り、十分なタンパク質を摂取することはできます。
ただし、運動トレーニングなり、ある種の減量プログラムなりの一環として高タンパク食を求めているなら、粉末状タンパク質などのサプリメントも使う必要があるでしょう。
植物由来のタンパク質源に関するいくつかの事実を挙げておきます。
- 多くの場合、繊維質を含んでいます(特に豆類や全粒粉の食品は顕著です)。
- 脂肪を含んでいる場合、大抵は「体に良い」脂肪です(例えば、木の実に含まれるOmega-3脂肪酸など)。
- でんぷんも大量に含んでいるため、炭水化物を減らす食事療法には基本的に向きません。
どのタイプのタンパク質を中心に食事を組み立てても、十分にバランスの取れた食事をしている限り、すべてのビタミンやミネラルを摂取することは難しくありません。唯一の例外はビタミンB12です。厳格なビーガン料理を食べている場合は、サプリメントで補う必要があります。
大事なことは食事全体のバランス
好物の肉料理がチーズバーガーで、いつもポテトフライとコーラと一緒に食べているなら、その食生活がひどいことは本人もよくわかっているでしょう。
肉のパテを100%植物由来の人工肉バーガー「Impossible Burger(インポッシブル・バーガー)」のパテに取り換えたところで、「植物性タンパク質」を摂っているとは言っても、ひどい食事をしていることには変わりありません。
その代わりに、あなたが摂る食事全体を見直して、それがあなたが食べるほかのものにどう影響するかを考えてみましょう。
筆者自身は、肉でも野菜でもなんでも食べますが、レストランメニューのベジタリアンセクションや、ベジタリアンの料理本によく目を通します。
なぜなら、そうした料理を通じて、野菜など、よりバラエティに富んだ食品を食べられるからです。
結論――
タンパク質の由来よりも、何を体に摂りこんでいるのか、その全体的なあり方のほうが重要なのです。
Image: Alex Edelman/GettyImages
Source: The Vegan Society
Beth Skwarecki - Lifehacker US[原文]