ToDoリストの重圧に悩んでいるあなた。

生産性の達人たちの型破りなアドバイスも、科学的裏付けがあるとは限りません。ですから、そのどれかを試してみたところで、すぐに「他人に向いていることが自分にも向いているとは限らない」と悟ることになります。

一方で、生産性向上のコツの中には、科学的裏付けがあり、よく耳にするものもあります。たとえば、

ああ、数え上げると、きりがありません。

確かに、こういうアドバイスの中には有効なものもありますが、反応は人それぞれなので、文句なく誰にでも効果抜群というものはありません。ですから試してみて、自分に向いていないとわかったら、さっさと頭を切り替えて別の方法を試すのが一番です。

これまで何を試してみてもダメだったという人のために、今日は、科学的裏付けのあるちょっと型破りな生産性向上のコツをご紹介します。

1. 先延ばしを上手に使う

仕事をするときは、一番重要なものを真っ先に片づけるべきとだとよく言われます。でも、多くの人は、朝一番に手ごわい作業に着手すると思っただけで、やる気がなくなります。

そんなときは、「先延ばし」を有効活用しましょう。

この際、一番重要な作業は1,2時間先延ばしにして、先に簡単にできる作業をいくつかこなしてしまいます。片付いた作業をToDoリストから消していくと、達成感が得られて、その「ささやかな勝利感」がプラスに作用します。

ハーバードビジネスレビューのTeresa Amabileさんは、283人の社員の日記を検証した結果、こうしたささやかな勝利感をトラッキングすることでモチベーションが高まることを発見しました。

トラッキングの仕方はひとそれぞれで構いません。スプレッドシートに進捗状況を入力して可視化したり、済んだ作業をToDoリストの中で消していくなど、やり方は何でもアリです。

この方法が功を奏する理由は、小さな勝利が神経伝達物質ドーパミンを刺激するからです。それにより、モチベーションもエネルギーレベルも上がります。

そのため、最初は「生産性の先送り」に見えることが連鎖反応を引き起こして、最も重要な仕事にやる気満々で取り組めるようになります。この方が、朝一番にするよりも、はるかに生産性が高いと言えます。

2. 目標達成できないときは罰金を払うことにする

成功したらご褒美をもらえるとなると頑張れる人もいれば、失敗したら罰を受けると思うとモチベーションがあがる人もいます。

学術誌『Psychology』では、これは「ネガティビティ・バイアス」として知られ、多くの研究の題材になっています。

たとえば、ある研究では、Aグループは作業を完了したらお金をもらえると言われ(ポジティブに設定されたインセンティブ)、一方、Bグループは先にお金を受け取り、作業で失敗したらそのお金を取り上げると脅されました(ネガティブに設定されたインセンティブ)。

結果として、何かを失うというネガティビティ・バイアスの方が、何かを得られるというポジティビティ・バイアスより強いモチベーションを与えることがわかりました。

ですから、このネガティビティ・バイアスを活用して「有言実行」を目指しましょう。汗水たらして稼いだお金を失う危険性があると思えば、襟を正して真面目に約束を果たせるはずです。

友人の協力を得て、予定通りの進歩ができなかったときは1日分の給料を友人に差し出すことにするのも一案です。それでも足りないという人は、Stikkのようなサイトを活用して、目標達成できなかったときはあまり好感を持てないチャリティ団体に寄付することにしてみてはどうでしょう。

3. 日記をつける

医療従事者の多くは日記をつけています。プロの科学者のほとんどが「研究日誌」をつけています。目覚ましい活躍で世に知られた人たちも定期的に日記をつけています。どうやら、日記をつけると生産性向上につながるようです。

日記のつけかたはいろいろですが、とどのつまりは、「心のコミュニケーションを記録すること」です。

日々の出来事の記録やアイデアを集めておく場になったり、思考や進捗をトラッキングする方法になります。

ある研究では、日記をつけることは問題解決のスキルを向上させる効果があり、困難な課題に立ち向かっていくときの助けになることが実証されています。

また別の研究では、感情を書き出すことで「不安が軽減される」ことがわかっています。つまり、生産性にネガティブな影響を与えているプレッシャーを軽減する効果的な方法と言えます。

まずは、シンプルに考えを紙に書き出すことから始めてみましょう。デジタルで日記を保存したいなら、EvernoteかMicrosoftの OneNoteが便利です。日記専用アプリとしては、DayOne (Journey(Chrome and Android)がおすすめです。

4. 働く時間を減らす

作業の進捗が大幅に遅れているとき一番してはいけないことは労働時間を増やすことです。これは研究ではっきり実証されています。

スタンフォード大学のJohn Pencavelさんが2014年に発表した論文も同じことを主張しています。

この論文により、誰でもどこかの時点でパフォーマンスが落ち始めることがわかりました。研究データとして使用されたのは第一次大戦中の軍需工場のものではありますが、現代でも同じような効果が観察されますし、知識労働では特に顕著です。

ほんの少し自分に注意を払うだけで、疲労が一定のレベルに達すると、エネルギーレベルやパフォーマンスが落ちていることに気づきます。

その状態になると、どんどんいろいろなことを先延ばししたくなります。

疲れた状態で午後中かけて仕事をするより、元気な状態で1時間集中して仕事をしたときのほうがこなせる仕事量が多いことがわかります。

自分はどこまでやると生産性が落ちてくるか把握できれば、翌日元気を回復して仕事に臨めますし、長期的には、燃え尽き症候群にならずにすみます。

自分の限界を知るには、生産性のレベルをExistやTracknShare (iOS)などのアプリでトラッキングすることがベストな方法です。

あるいは、この記事で紹介しているように、エクセルのスプレッドシートを使って自分にとって生産性が最も高くなる時間帯をトラッキングしてみましょう。

そうすれば、自分がどのぐらい働くと生産性が落ちるかわかるので、非効率な働き過ぎを防げます。

5. Emailアプリを削除する

ほとんどの人は、何も問題が起こっていないことを確認するためにメールをチェックしています。これでは、24時間360日電話に出ているのと同じです。

常に読んでは反応するの繰り返しで、ランチタイムだろうが夜11時に映画を見ている最中だろうが、メールを見る必要がないときでも、やらずにはいられません。

これは好ましくないことだと誰もがわかっています。2016年に発表されたある研究で、この「常にオンでいる」というカルチャーは鬱病の原因になり、平常心を損ない、ストレスが高まり、エネルギーレベルが下がることがわかっています。

こうした影響は、仕事以外の時間だけでなく、朝、仕事に戻ったときにも観察されました。

メールを受信するたびに読んで反応できる体制を維持していると、1日のハードな仕事から回復することが難しくなるからです。それどころか、生産性が下がり続けるというネガティブサイクル、ストレスレベルの上昇、燃え尽き症候群の原因になります。

解決策は、仕事中でないときは、完全に仕事から離れることのようです。仕事から完全に離れ、心身を効率よく回復させなければなりません。長い目で見ると、それにより高い生産性を維持することになります。

そのためには、メールアプリを削除しても困ったことにならない方法について、既に公開されている記事をお読みください。Slackなどの仕事関係のアプリにも応用できます。最初は不安でたまらないと思いますが、2、3週間試して様子をみましょう。

とにかく一度は試してみましょう!

最初に書いた通り、人それぞれなので、ここにご紹介した生産性に関するアドバイスが全部あなたに向いているわけではないでしょう。でも、どれも少なくとも科学的裏付けがあるので、大多数の人に効果があるはずです。

ですから、試しにやってみて、自分に向いているものを見つけてみてはいかがでしょうか。うまくいけば、生産性が向上するだけでなく、ストレスが軽減され、健康促進にもつながるかもしれません。


Image: GaudiLab/Shutterstock.com

Source: MakeUseOf(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, ), Harvard Business Review, APA, Stikk, Mic, Everyday Health, Evernote, Onenote, Dayone, Google(1, 2), IZA, Apple, Exist, NCBI, Slack

Original Article - How to Increase Productivity According to Science by MakeUseOf