日々の買い物などで多くの人が利用しているクレジットカード。

しかし、何気なく使っているクレジットカードですが、ポイントや特典が得られやすいカードの選び方や必要最低限持っていたいカードの枚数、あるいはカードの裏面に記すサインの書き方など、今さら人に聞けない素朴な疑問を感じたことはありませんか。

そこで今回は、私がよく耳にする疑問にお答えしたいと思います。

岩田昭男(いわた・あきお)

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消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。公式サイト

Q1. ポイントが貯めやすいクレカの選び方は?

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Image: Giovanni Cancemi/Shutterstock

さまざまなアンケート調査などで、クレジットカードを利用する目的の上位に挙がるのが「ポイントが貯まるから」という回答です。では、ポイントが貯めやすいクレジットカードとはどのようなカードなのでしょうか?

まず、おさえておきたいのが、ポイントでカードを選ぶ際の基準となる「還元率」です。還元率とは、獲得したポイント数を円換算し、利用した金額で割った率のことです。

たとえば、100円で1ポイント獲得でき、その1ポイントが1円として利用できる場合の還元率は1%となります。ポイントが貯めやすいカードとは、この還元率が高いカードと言えます。

ただ、現在発行されているクレジットカードの還元率は低く、特定の店で利用した場合のみ還元率が高くなるカードが多く見られます。還元率が高い店をよく利用する場合は別ですが、基本的にはどこで利用しても還元率が高いカードが本当の貯めやすいカードと覚えておきましょう。

しかし、ここで気をつけたいのが、ポイント交換のしやすさです。いくらポイントを貯めやすいクレジットカードだとしても、貯めたポイントを交換するために面倒な手続きが必要では意味がありません。ポイントを交換する場合に、どのような手続きが必要なのか事前に確認するようにしてください。

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Q2. 年会費が無料と有料のクレカ。選ぶならどっち?

もちろん、年会費無料がいいでしょう。

年会費が有料の一般的なクレジットカードの場合、年間で1250円(税抜)がかかることが多いようです。これがゴールドカードとなると、1万円以上になります。

たとえば、1250円を銀行預金の1年間の利息で得ようとすると、最近の普通預金の利息は0.001%(※)なので、単純計算で1億2500万円の預金が必要です。払わなく済むのではあれば、無駄な出費は控えましょう。

ただ、ゴールドカードやプラチナカードといった高額な年会費が必要なカードのなかには、年会費分あるいはそれ以上のサービスを提供しているケースがあります。たとえば、対象レストランを予約すると1名分の料金が無料になったり、特別なラウンジを無料で利用できたり、コンシェルジュサービスを活用できるなどです。

もし、年会費が有料のカードを選ぶなら、どのようなサービスがあるのかをよく確認し、年会費分以上のメリットがあるのかを精査してから決めるといいでしょう。

※出典:日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等について」2018年8月15日

Q3. クレカは何枚もっていれば十分なの?

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Image: Ilona Baha/Shutterstock

財布の中に複数枚のクレジットカードが入っていませんか?

たくさんのカードを持っていても、よく利用するカードは1枚であったりするものです。一方で「いや、私はお店によってカードを使い分けているので、5枚持っています」という人もいるでしょう。

ただ、多くのカードを持っていると獲得できるポイントが分散して、商品やギフトカードなどに交換できるまで貯められなかったり、1カ月間の利用額を把握したり管理するのが難しくなりがちです。

基本的には、VISA(ビザ)、MasterCard(マスターカード)、JCB(ジェーシービー)、American Express(アメリカン・エキスプレス)など、異なる国際ブランドを2枚持つだけで十分だと思っています。

というのも、複数枚のクレジットカードを持っていたとしても、気づくと同じ国際ブランドのカードばかりになっていることがあります。海外旅行の際に、何かの事情で1枚のカードが利用できないときでも、異なるもう1枚の国際ブランドのカードを持っていれば対応できるからです。

2枚のうちよく利用するカードをメインカードにして、買い物や公共料金の引き落としなど利用を集中。もう1枚は、貯めたポイントをマイルやほかのポイントに移行できるなど、ライフスタイルに合わせたメリットが得られるカードをサブカードとして持つようにすればいいでしょう。

Q4. クレカ裏面のサインはどのように書くのがベスト?

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Image: RedlineVector/Shutterstock

新規契約や有効期限の更新などで新しいクレジットカードが届いたとき、裏面に自分の名前を記入したと思います。漢字やローマ字で書いている人が多いようですが、その人の名前が書かれていれば問題ありません。

持っているクレジットカードの裏面を確認してみましょう。どのように自分の名前を書いていますか? クレジットカードを利用してサインをする場合、カードの裏面と同じサインをする必要があります。サインが漢字の場合だと、海外では照合するのに時間がかかることがあるそうです。旅行や出張で海外へ行く機会が多い人は、ローマ字でサインしておくといいでしょう。

ただ、従来の磁気ストライプのみのクレジットカードは、本人確認用のサインを盗難時に真似されて悪用される危険性がありました。しかし、最近のクレジットカードにはICチップが搭載され、4桁の暗証番号の入力で決済できるので、暗証番号さえ外部に漏れない限りセキュリティーとしては安心と言えます。

Q5. クレカ払いで領収書を発行してくれないことがある理由は?

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Image: Pro Symbols/Shutterstock

クレジットカードで買い物したときに、利用伝票とは別に領収書を発行してもらえるかは、お店によって異なります。単純に言えば、お店の判断に任されているからです。もし、発行してもらえた場合、そこには「クレジットカードで支払い」と書かれているはずです。

これは、クレジットカード販売が信用取引であるため、まだお金のやりとりがされていないからです。そのため「領収書」と明記されている用紙であっても、クレジットカード支払いと書かれていれば、法的には領収書として認められません。領収書ではないので、5万円以上の支払いでも、収入印紙を貼ることはありせん。

ただ、クレジットカード払いで領収書が必要なときは、店が発行したクレジットカードの利用伝票を領収書の代わりとして使用できます。その利用伝票に「書類の作成者の名称」「商品やサービスを購入した年月日」「購入した商品やサービスの内容」「購入金額」「書類を発行者の名称」が記載されていれば、帳簿に記帳して経費として計上できます。

つまり、店が発行する利用伝票は、税法上の領収書にあたりませんが、領収書の代わりとして使用できるということです。

ちなみに、クレジットカード会社の利用明細書は、商品やサービスを購入した店が発行したものではないので領収書とはなりませんが、利用伝票の記載内容を確認する資料になるので、保管しておきましょう。

Q6. 転職したら変更届を提出する必要はある?

転職したらクレジットカード会社に「勤務先の変更届」を提出してください。

カードをつくった時にもらった「会員規約」にも、勤務先が変更になった場合は遅滞なく届け出るように記載されています。

カード会社によっては、住所変更や勤務先変更などを公式サイトや電話でも手続きできます。カード会社のホームページを確認するか、電話で問い合わせてみましょう。

では、届け出をしなかったらどうなるのか。特に罰則などはありません。ただし、変更の届け出をしないまま、クレジットカードの利用可能枠の増額を申し込んだ場合、カード会社によっては再審査することも。前の勤務先へ問い合わせて、既に退職していることがわかると、職業が無職として取り扱われる可能性があります。

たとえ無職の取り扱いとなっても、支払いを延滞していなければ、カードを取り上げられたり、利用停止になることはないと思いますが、利用可能枠が減額される可能性はあります。

また、カード会社に無職と判断され個人信用情報に登録・共有されると、ほかの金融機関やカード会社にも「無職だから安定した収入がない」「申込内容と個人信用情報の登録内容に違いがあるので信用できない」と判断される恐れがあります。

このようなことにならないためにも、転職して勤務先が変わったら、速やかにクレジットカード会社に連絡をすることが大切です。


あると便利なクレジットカードですが、選び方や使い方、支払いや手続きの遅延などにより、無駄な出費や面倒なことになる可能性があります。無理なくお得に使うためにも、正しい知識を身につけるように心がけてください。

しっかり貯めて、賢く使う。クレカ・電子マネーの選び方、ポイントの稼ぎ方とは

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