無料で離婚した父と母の家を行き来する少年の揺れる心情を幻想的に描いた短編アニメ映画「Weekends」の全編が公開中

ピクサー・アニメーション・スタジオやウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオといったスタジオで、10年以上にわたってアニメーションを作ってきたトレヴァー・ヒメネス氏が監督を務めた短編アニメ映画が「Weekends」です。手描きアニメーションの温かみと不安定な少年の心情を幻想的に描き出した本作品は、ロサンゼルスで開催されている「ShortList Film Festival」で上映されており、約15分の全編が2018年8月22日までの期間限定で無料公開されています。

約1分の予告編ムービーも公開されており、以下を見れば「Weekends」がどんな作品なのかがつかめます。

Weekends (Trailer)


「Weekends」の予告編は、雲がちぎれたように浮かぶ空を1枚のTシャツが泳ぐように飛んでいく、幻想的なシーンで始まります。

主人公の少年が眠る寝室からは、一面の窓ガラスを通して夜の都会を眺めることができ、1頭の馬の模型が窓ガラスに面して置かれています。

少年は寝付きが悪いのか、ムクリとベッドから起き上がりました。

甲胄や首が長い鳥の模型、日本刀などが飾られた奇妙な洋室で、主人公は父親と2人で過ごしています。父親はガウンを着てTVゲームをプレイしており、主人公が3DメガネをかけてTV画面を見ています。

どうやら父親は非常に裕福な様子。少年は画面から視線をそらし、カメラのほうをじっと見つめました。

「Weekends」は1980年代のトロントが舞台になっています。父親の家は中華街の近くにあり……

少年と父親はどこかから黒い乗用車にのってこの町まで来ている模様。

2人は一緒に中華街で食事をします。

少年はかぶとを身につけて日本刀を持ち、1人でチャンバラごっこ。少年は楽しそうですが、母親の気配が感じられません。

日本刀は重すぎて、少年の手には余るようです。

父親と少年が車にのって向かったのは……

母親と少年が住む郊外の一軒家。少年の父親と母親は離婚しており、少年は平日の間、母親と共に暮らしています。金曜日になると父親が少年を迎えに来て父親が住む都会のビルへと向かい、日曜日になるとこうして父親が少年を母親のもとへ送り届けるという生活を送っているのです。

父親と母親は離婚してからほとんど没交渉のようで、少年を送り迎えする時も、お互いに近づいて言葉を交わすことはありません。

「Weekends」の中では、少年の心象風景を描写するかのように、夢の中の幻想的な光景が頻繁に描かれます。

母親と少年の仲も良好で……

母親が丸めた新聞で少年にじゃれつくなど、ほほえましいシーンもあります。

母親と住む家の庭先に現れるアライグマは……

少年のお気に入りです。

ところが、母親には新しい恋人がおり、頻繁に主人公と母親が住む家にもやってきます。

新しい恋人の顔は口から上がほとんど描かれません。母親は恋人に気を許しているようで、主人公の前でも遠慮なく恋人の肩にもたれかかりました。

一人遊びをする主人公が、そんな2人の様子を見つめます。

母親の恋人は奇妙で怖いものと主人公は捉えているらしく……

主人公の夢の中に、不気味で脅威的な存在として登場してきます。

週末になれば主人公は父親と共に過ごし……

日曜日になると母親が待つ郊外の家へ戻る日々が続きます。少年の中では父親と母親の非連続的な暮らしが、どのように処理されているのでしょうか。

夢の中で少年は、馬にのって夜明け前の町を見下ろします。

「Weekends」は両親の都合で分解した家族と、ゆっくりと変化していく環境の中で少年が戸惑いつつも生きていく様子を、手描きアニメーションと穏やかなBGMでつづる短編映画となっていました。

「Weekends」は2018年8月8日～22日にロサンゼルスで開催される「ShortList Film Festival」で上映されており、公式ホームページ上では約15分の全編が2018年8月22日までの期間限定で公開されているので、気になる人はそちらもチェックしてみてください。

Weekends - The ShortList TheWrap's Short Film Festival