ネットとリアルの片隅で起きた小さな革命。初めてだらけのVRライブ「輝夜 月@Zepp VR」を見終えて

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  • author ヤマダユウス型
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ネットとリアルの片隅で起きた小さな革命。初めてだらけのVRライブ「輝夜 月@Zepp VR」を見終えて
Photo: ささきたかし

放心と興奮、それから未来への期待。

夏の終わりを告げる2018年8月31日(金)、バーチャルYouTuber輝夜 月(かぐや るな)による世界初のVR音楽ライブ「輝夜 月@Zepp VR」が開催され、大盛況のうちに終了しました。実際にHTC Viveでライブを見たばかりの現在、まだ興奮が収まりません。

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Image: (c)Kaguya Luna/SACRA MUSIC 2018

以前、このライブのために「Zepp VR」なるバーチャルライブ会場が建設(?)されるという話をお伝えしましたが、バーチャルでライブを体験する場合においても、場所というのはとぉっても大事なんだと改めて実感しました。そのあたり、じゃじゃっとレポート形式でお伝えします。

Viveを着けてアプリを起動した途端、見えたのは開場前のZepp VR。あぁ、この開場を待ちながらそのへんでうろうろする感じ、リアルのライブ前と一緒だわぁ……。気持ちを作ってくれますね、こういう演出。

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Photo: ささきたかし

19時40分、開場。輝夜 月の落書きから生まれたマスコット(?)、ジャスティンエビーバーにのっとり、エビフライ姿のアバターをまとったお客さんが、続々と会場入りしていきます。ちゃんと通路もあって、本当に「ライブ会場で得られる体験」を、バーチャルで構築してるなぁとしみじみ感じました。だってこういう通路、バーチャルだと必要ないじゃないですか。

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Photo: ささきたかし

アバターもよくできていて、サイリウムを表示したり、「エモーション」でハートや拍手やエビフライなどを表示することも。しかもカメラ撮影も可能で、自撮りモードにすればステージ上の輝夜 月と自分のセルフィーなんてのもできちゃう。キャラクターを操作してるというよりも、まさに自分がライブ会場にいる感覚です。

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Image: (c)Kaguya Luna/SACRA MUSIC 2018

そして20時、歴史上初となるVRライブがスタート。ユルっとした「VRラジオ体操」を終えると、バーチャルらしい浮いたり消えたりな演出を取り入れながら、この日のために作られたオリジナルソング『Beyond the Moon』を披露。

いつもYouTubeで見ていたキャラクターが、ステージ上で歌って踊っている。その事実がなんかもうすごいんですよ、ワクワクが過ぎるんですよ。「目の前に月ちゃんがいる!」なんて、そもそもバーチャルの世界を見てるのに変な話でしょ? でもね、そう思うんです。しかも周りには、自分と同じようにエモーションやサイリウムで盛り上がってる誰かのアバターがいる。このバーチャルの世界に、同じように輝夜 月が好きな人たちが集まってるんだと、そう実感すると、胸がジンワリするのです。

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Image: (c)Kaguya Luna/SACRA MUSIC 2018

続けて椎名林檎の『幸福論』をパンクにカバーし、そこからはフリートークへ。このフリートークも輝夜 月の魅力なのは皆さんご承知のところだと思いますが、トークのやりとりが限りなくリアルなのが、これまたゾクゾクでした。

例えばみんなで同じ場所に集まったり、エモーションを使ってリアクションしたり。リアルタイムのやりとりといえば生配信と同じですけど、決してテキストだけのやりとりでは味わえないライブ感や、そこにいる感がありました。輝夜 月がこっち来てといえば、そっちに行ける。それだけのコミュニケーションが、すごく心に響くんです。

最後にもう一度『Beyond the Moon』を披露し、ライブは無事閉幕。初めてだらけの試みとのことでしたが、回線の込み具合や音ズレ、アバターの挙動なと、気になるところはいくつかありました。でも、そんなのを余裕で上書きするくらいセンセーショナルな体験で、今すぐこの気持ちを誰かに伝えたい気分になれました。そしてこの気持ちって、まさにライブ会場で味わえる高揚感と同じなんですよね。そう気付いたとき、またもゾクッですよ。

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Image: (c)Kaguya Luna/SACRA MUSIC 2018

これなんてのは、ライブ中に輝夜 月が「写真撮りたいから集まって!」と言って撮影した写真。ステージ(空中)から客席を撮影するなんて、いかにもライブでよくあるヤツじゃないですか。もうリアルとバーチャルがわからなくなってくるというか、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着してるだけで心はバーチャルにあるというか。

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Image: (c)Kaguya Luna/SACRA MUSIC 2018

会場の演出もエモくて、ライブが終わった後は開場の中も外も夜になっていたり。現実のライブハウスではできなさそうな、バーチャルの世界だからこそできる空間作りって、色んなアイデアがありそうです。

今回の「輝夜 月@Zepp VR」は、全国の映画館でライブビューイングが実施されました。新宿バルト9のこの盛り上がりようといったら。

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Image: Hiroaki Aizawa


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Image: Hiroaki Aizawa

等身大フィギュアもどどーんと。VR内でも自分が動けば色んな角度から月ちゃんを眺められますけど(至福)、マテリアルなのも良し。物販もほとんど完売だったみたいですよ。

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Image: Hiroaki Aizawa

コト消費がトレンドな昨今、フィジカルに訴えるライブの感動は代替のきかない素敵体験として再注目されています。では、バーチャルのライブってどうなんでしょ? ストリーミングされたライブ映像を見るだけだと違うってのはわかります。だってそれは映像ですもん。じゃあ、このZepp VRで行なわれたライブは、VRだからすごかった? それともVRでかつリアルタイムだったから?

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Photo: ささきたかし

色々と考えてはみたんですけど、やっぱり「同じ場所にいる」というのが大きいような気がしてて。場所があって、歌う人がいて、それを見てる僕たちがいて。それら全てが同じ場所に在る。バーチャルなのに場所っていうのも変な話ですけどね。でも、自分と同じ気持ちの人がすぐ側にいるのが、リアルなのかアバターなのかなんて、実は大きな違いはないのかもしれません。だって、そこに人がいるというのがわかっているから。そしてもちろん、輝夜 月だってそこにいる。

今回の「輝夜 月@Zepp VR」は、何がライブをライブたらしめているのかをとても考えさせてくれました。未来のライブはどうなるのか、僕らの感動はどこにあるのか……。

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Photo: ささきたかし

まぁそんな難しいことはさておき、とにかくめっちゃ楽しかったし、月ちゃんはとても可愛かったし、エビーバーの笑顔は最高にキモかったです! 次のバーチャルライブが、とーっても楽しみ!

Source: 輝夜 月 LIVE@Zepp VR