これは朗報!
太陽光エネルギーを動力源としているNASAの探査機オポチュニティは現在休眠モードに入っていますが、火星を覆っていた砂嵐がようやく衰え始めたことで近いうちに復活できるかもしれません。もし、探査機が嵐のせいで修復不可能なほど破壊されていなければ、の話になりますが…。
5月30日に始まった大規模な火星の砂嵐は、15年目を迎えるオポチュニティが活動していたパーサヴィアランス谷の上空を薄暗くしました。嵐はすぐに惑星規模に発展し、火星全体に広がったのです。空中は塵だらけでオポチュニティはソーラーパネルでの充電に必要な太陽光を得られなくなったため、NASAは操作を一時停止してエネルギーを節約するべく探査機を休眠モードにしなくてはなりませんでした。
オポチュニティからの連絡が途絶えてから80日以上経ちましたが、ついに嵐が弱まってきたというニュースを受け、カリフォルニア州パサデナにあるジェット推進研究所(JPL)のエンジニアたちは窮地に立っていた6ホイールの探査機を復活させるプロセスをまもなく始める模様です。
「太陽がパーサヴィアランス谷上空の煙霧を打ち破り、まもなくオポチュニティはバッテリーを再充電するのに十分な太陽光に恵まれる」とJPLでオポチュニティのプロジェクトマネージャーを務めるJohn Callas氏はプレスリリースで語っています。さらに以下のように続けています。
tau値(火星の空中の粒子状物質の量を表す指標)が1.5以下に下がったら、NASAのディープスペースネットワークのアンテナを介して命令を送り、探査機と連絡を取ろうと積極的に試みる期間を始める。オポチュニティから返答があると想定して、それの状況を把握して復旧させるプロセスを始めるだろう。
NASAはオポチュニティ付近のtau値を推定するのに、マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)に搭載されている火星カラーイメージャ(MARCI)を使っています。最新のMARCIデータはオポチュニティの位置から3,000km以内で、活発な砂嵐はないと示しています。
万事順調にいけば、オポチュニティは返答して徐々に復旧されるでしょう。しかし、何の返答も得られないという可能性も十分にあり得ます。残念なことですが、必ずしもこの世の終わりというわけでありません。
「45日経っても返答がなければ、太陽を遮る塵と火星の寒冷さが重なって引き起こされたある種の障害により、探査機が復旧しない可能性が高いとチームは判断せざるを得ない」とCallas氏は言います。また以下のようにも語っています。
その時点で、積極的にオポチュニティに手を差し伸べる期間は終わる。しかしながら、太陽電池の上に乗っかっている大量の塵が太陽のエネルギーを妨げているという万が一の可能性があるので、数カ月は消極的に耳を傾ける試みを続けるだろう。
たとえば、火星のじん旋風が発生して、探査機の太陽電池の塵を吹き飛ばすということもあり得ます。2016年、オポチュニティは火星ではよく起きるつむじ風に遭遇していますしね。とは言え、オポチュニティが音信不通になった原因が塵の堆積である可能性はとても低く、あらゆる問題を引き起こしたのは嵐だろうとNASAは言います。
「今回の嵐がオポチュニティのシステムに及ぼした影響は不明ですが、エネルギー生産の減少、バッテリーパフォーマンスの衰弱、あるいは探査機の完全復活を困難にする他の予期せぬダメージをもたらしたかもしれません」とNASAはつづっています。
オポチュニティは元々1000ヤード(約915m)を走行するよう設計され、それが何年もの任務で45km以上も走行したのですから、これが最期になったとしてももう十分に活躍したことになります。もちろん目覚めてくれたら最高ですが、復旧を待つ間はこれまでのすばらしい成果に感謝するとしましょう。
Source: NASA