サイエンス

ロボットハンドを意識だけで動かす実験により「意識とは何なのか?」の解明を目指す


「意識」とは、私たちを私たちたらしめているほど重要で身近な存在でありながら、まだまだ未解明の部分が多く謎に包まれた存在です。そんな意識について、ロボットの手足を脳で考えることで動かす実験を通して「意識とは何か」という問いに挑戦したムービーを、MotherboardのYouTubeチャンネルが公開しています。

What is Consciousness? Decoding the Mind With Robotic Limbs - YouTube


意識とは脳細胞による生物学的な作用ですが、その仕組みはとてつもなく複雑。880憶のニューロンがそれぞれ1万の他のニューロンとつながって、主観的な経験を作り出しています。ブリュッセル自由大学の認知心理学者Axel Cleeremans氏は、そのような脳の生物学的な反応を分析することで、人々の精神を構成する「意識」という難問を紐解くことに挑戦しています。


Cleeremans氏のところに招かれたDavide D'Angelo氏は天文学上の仮説物質「暗黒物質(ダークマター)」の研究者です。彼はCleeremans氏のもとで、「人の意識でどのようにして人工の手足を動かすか」という実験を体験します。


頭に奇妙な帽子をかぶされて……


コードで埋め尽くされたD'Angelo氏。


画面に右向きの赤い矢印が表示されたとき、ロボットの右手を動かすイメージをするようにD'Angelo氏は言われます。


ロボットハンドは、D'Angelo氏の意識に合わせて駆動。


その際の脳波を測定していきます。


次に、D'Angelo氏はロボットハンドと同じ手袋をして、手を動かしていきます。当然ながら自らの手はうねうね動きますが……


D'Angelo氏の意識に連動するロボットハンドは、わずかに親指が曲がる程度です。


そこで実験では、ロボットハンドをD'Angelo氏の正面に設置し、本物の手は机の下に隠します。これにより、D'Angelo氏から見るとまるでロボットハンドが自分の手であるかのような配置になっています。


初めはぎこちなく動かしていましたが、次第に本物の腕と同じようにロボットハンドを動かすことができるようになりました。


身体の外のハードウェアであるロボットハンドを自身の身体図式に含まれるものだと考えることで、偽物の手をまるで本物の手を動かすように意識していくことが可能だとのこと。D'Angelo氏は手を動かそうと意識して、実際に机の下で動かしているのに、目の前の偽物の腕は自由に動いてくれません。これを繰り返し強く考えたことで、ロボットハンドを動かす意識に集中できたというわけ。


「どのように行動をし始めどのような結果になる、という意識の仕組みを理解すれば、人類が機械を複合したサイボーグになることを導いてくれる」とCleeremans氏は語ります。また、「誰も経験したことのないような意識的経験を誘発することも可能になる」として、意識を解明することによる展望を明らかにしています。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1e_dh

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