なぜ人はオナラをしてしまうのか？

by CHILDREN OF DARKLIGHT [DKL]

オナラは生理現象であり、オナラがしたくなってしまうこと自体はおかしなことではありません。それでも、「なんでこのタイミングでオナラがしたくなるんだ」と恨みがましい気持ちになってしまう場面は少なくないものです。そんなオナラが発生する原因やオナラが作られる量などについて、The Conversationが解説しています。

Health Check: what happens when you hold in a fart?
https://theconversation.com/health-check-what-happens-when-you-hold-in-a-fart-98310

人前でオナラをするのが恥ずかしくて我慢した経験がある人は多いはずですが、オナラを我慢すると腹部に不快感を覚えます。腸内にガスがたまると腹部が膨張し、一部のガスは体に吸収されて肺から排出されたり、我慢不可能な強烈なオナラとなって無理矢理腸内から放出されるそうです。

オナラは主に胃腸が食物を分解する過程で発生するとされています。腸内細菌は食物を発酵させて分解することがあり、食物を腸内で発酵させる過程でガスが生成されます。そのため、人々が食物を食べて生きていく上でオナラが作られることは避けられず、ガスを口から出すか肛門からオナラとして出すかしてガスを逃がしてやらなければなりません。なお、飛行機の客室内では通常よりも気圧が低いため、オナラが出やすくなるとのこと。

腸内細菌によって作られるほかにも、空気を飲み込んだり胃酸が小腸内の重炭酸塩と混合して二酸化炭素が発生したり、さまざまな要因によってオナラは生成されます。オナラが過剰に作られると健康に悪影響を与えることも知られており、お腹が張ったり痛みを感じたりするほか、お腹が鳴ったりする可能性があるそうです。

by bradleypjohnson

被験者が嫌がるため、研究者にとってもオナラの研究はなかなか難しいとのことですが、かつて10人の健康なボランティアに協力してもらい、「1日に作られるオナラの量を測定する」という実験が行われました。被験者らは24時間の間、通常の食事に加えてオナラの生産を促すために200gのベイクドビーンズを食べたそうで、作ったオナラは直腸カテーテルを通して集められました。

その結果、10人が24時間で生成したオナラの中央値は705mlであり、10人はそれぞれ476mlから1490mlのオナラを生成したとのこと。オナラの成分内訳として最も多いのは水素ガスで、24時間あたりに作られる量の平均は361mlでした。次に多かったのが二酸化炭素ガスで、24時間あたり平均68ml作られたとのこと。また、オナラとしてメタンガスを生成したボランティアが10人中3人いて、それぞれ24時間あたり3mlから120mlのメタンガスを生成したそうです。

男性と女性の間で生成するオナラの量に違いはなく、24時間あたり平均で8回のオナラを出したとのこと。1回のオナラでは33mlから125mlのオナラが放出され、最も大きなオナラは食後1時間以内に出る傾向にありました。寝ている最中にもオナラは生成されていましたが、起きている時に作られるオナラの中央値が1時間あたり34mlだったのに対し、寝ている時は1時間当たり16mlでした。

また、「食物繊維の多い食事をするとオナラが作られる量に変化はあるのか？」という実験をした研究者もいます。実験では10人の被験者に対し、通常の食事を1週間取った場合と通常の食事に加えて高食物繊維のオオバコを1日あたり30g摂取した場合を比較し、オナラの生成量をチェックしました。その結果、高食物繊維の食事がオナラを長時間腸内にとどめておく作用を発揮したものの、作られるオナラの量に変化はなかったとのこと。

by Matti Mattila

誰もが「外でオナラはしたくない」と思っているはずですが、The Conversationは「オナラをしたくなったら無理に我慢しようとせず、オナラをしても大丈夫な場所への移動を試みましょう」と語っています。なお、防臭効果のある炭を使ったクッションにはオナラの臭いを軽減する効果が確認されているとのことで、そういった素材を利用してオナラの臭いを打ち消すことも可能だそうです。