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本革×ウッドハウジング、オーテク“至高のヘッドフォン”。46万円

オーディオテクニカは、ウッドハウジングと革を組み合わせたヘッドフォン「ATH-L5000」を12月14日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は460,000円前後。

ヘッドフォン「ATH-L5000」

同社は2013年に「ATH-L3000」という、ウッドハウジングと革を使ったヘッドフォンを発売したが、革を使った外観の珍しさや、サウンドも好評だったという。そこで、コンセプトを踏襲しながら、最新の技術を取り入れ、進化させたのが「ATH-L5000」となる。

ヘッドフォン「ATH-L5000」
左が2013年発売「ATH-L3000」、右が「ATH-L5000」

筐体は、楽器にも使われるシカモア材ウッドハウジング(L3000はアサダ桜)。ウッドハウジングのヘッドフォンでは通常、耐久性を高めるために光沢のあるトップコートを施す。しかし、水分を含んだ空気を通す性質のある木をコーティングすると、空気が通らなくなり、木の性質を活かしきれないという。

そこでL5000では、ウッドハウジングにトップコートはせず、その代りに、同じく空気を通す素材である革で覆っている。これが、サウンドの響きや音質にいい影響を与えるという。

木をコーティングせず、革で保護する事で、空気が通る
断面図

ハウジングカバーには、伝統の英国コノリー製アニリンレザーを使用。ナチュラルな響きに寄与するという。

ハウジングを革が覆っている
ハウジングカバーには、伝統の英国コノリー製アニリンレザーを使用

ドライバ部には、L5000専用設計の大口径58mm径ドライバを採用。振動板にはDLC(Diamond Like Carbon)コーティングを施し、高域特性を向上させた。さらに、D.A.D.S(Double Air Damping System)構造により、伸びやかな低域を表現した。

専用設計の大口径58mm径ドライバを採用
発表会では開発陣による解説が行なわれた。L5000を手掛けたのは、左端の商品開発部 ポータブルリスニング開発課 安藤幸三マネージャー

また、ドライバのフランジには薄型・高強度のCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)を採用。素材の強度が高いため、フランジを薄くでき、フランジの空気孔も薄くなる。これにより、空気がよりスムーズに動くようになり、振動板も動きやすくなったという。

再生周波数帯域は5Hz~50kHz、出力音圧レベルは100dB/mW。最大入力は1,000mW。インピーダンスは45Ω。

優れたヘッドバランスと、ほどよい密閉感で快適な装着感をキープするという、独自の3D方式ウイングサポートを採用。

ケーブルは着脱可能で、A2DCコネクタを採用。左右の音の分離感を高める両出し3.0mバランスケーブル(XLRMコネクタ)と、3.0mで標準プラグ入力のアンバランスケーブルを同梱する。重量は約480g。

A2DCコネクタを採用
バランス、アンバランスケーブルを両方同梱する

音を聴いてみる

音が出た瞬間に驚くのは、まるでオープンエアヘッドフォンのように、ハウジングの存在をまったく感じさせないほど音が広がるところだ。ボーカルや楽器の余韻が、どこまでも空間に広がっていくが、壁にぶつかって音が戻ってくる感触がない。

コーティングを施さず、革でカバーし、空気が抜ける利点と共に、専用設計の大口径58mm径ドライバを採用している事も、この開放的なサウンドに寄与しているようだ。

また、音のトランジェントが非常によく、すべての音がクリアで、キレがよく、分離感も明瞭に耳に届く。ハイスピードで切れ込むようなサウンドだ。しかし、音が軽すぎたり、キツ過ぎたりはしない。弦楽器のしなやかさのようなものも感じる。

ウッドハウジングのヘッドフォンを前にすると「木のぬくもり」とか「あたたかい音」をイメージしがちだが、L5000はそのイメージを大きく覆す。クリア、シャープ、ハイスピードサウンドだ。それでありながら、随所に“木の響きのホッとする優しさ”が顔をのぞかせる。新世代のウッドハウジングヘッドフォンと言えるだろう。