幸福度を高める5つの食べ物とは？

健康な食事は糖尿病やがん、肥満になりにくくなるだけでなく、うつ病などのリスクを減らすなど、精神的な健康を保つ意味でも大きな効果があるとされています。サザンクロス大学で心理学の講師を務めるメーガン・リー氏と、同大学でヘルスケアの講師を務めるジョアンナ・ブラッドバリー氏が、精神的な幸福度を高める5つの食材を紹介しています。

Five types of food to increase your psychological well-being
https://theconversation.com/five-types-of-food-to-increase-your-psychological-well-being-101818

◆1：複合糖質
複合糖質は繊維やでんぷんに含まれる大きな分子からなる糖のことで、主に果物や野菜、全粒粉などに含まれています。複合糖質に含まれるブドウ糖は体内にゆっくりと取り込まれるので、血糖値の上昇スピードを緩やかにすることができ、これが精神的にも気分を安定させることにつながるとのこと。

一方で、お菓子やジュースなどに含まれる単純糖質は体内に即座に取り込まれるため、血糖値を大きく上下させることになり、幸福感を急激に増減させてしまいます。このため、単純糖質を摂取すると精神が不安定になりやすいそうです。このため、リー氏らは「複合糖質をとる量を増やし、甘いジュースやお菓子を減らすことが、精神的な幸福度を高める第一歩です」と説明しています。

◆2：抗酸化物質
細胞が酸化すると、人の脳と体が活動するためのエネルギーが作り出されます。一方でこの過程は体にストレスを生じさせることがわかっており、特に脳への影響が大きいとのこと。そこで、リー氏らは「果物や野菜などに含まれる抗酸化物質をとることで、脳にかかるストレスを軽減し、気分がよくなる可能性がある」と語っています。

◆3：オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は食べたものをエネルギーに変換する過程で使用されるだけでなく、脳の健康に関与するドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンといったホルモンの分泌量を増やすことでも知られています。それに加えて、オメガ3脂肪酸をとることは脳機能の向上につながり、認知症の進行を遅らせたり、うつ病の症状を改善したりする可能性があることがアメリカの非営利団体「遺伝学と社会センター(Center for Genetics and Society)」の研究で明らかになりました。

しかし、オメガ3脂肪酸は体内で生成するのは困難で、食品から取り入れる以外に体内に摂取量を増やす方法はないとされています。そこでリー氏らは、「毎日の食事に魚・ナッツ類・植物の種子・緑色の葉野菜・卵・放牧肉などのオメガ3脂肪酸を含んだ食材を加えることが、脳の健康を維持するのに不可欠です」と述べています。

◆4：ビタミンB群
ビタミンB群はセロトニンとドーパミンの生成に大きな役割を果たし、青野菜、豆類、バナナ、ビートの根などからとることができます。また、ビタミンB6やビタミンB12、葉酸をたくさんとることは、うつ病を改善する効果があることが知られています。逆にビタミンBが不足してしまうと、ドーパミンやセロトニンの生成を抑制してしまい、長期的に見ると精神的な問題を生じさせてしまう可能性があります。リー氏らは「ビタミンBをたくさんとることで、脳を健康な状態に保つことができる」と語っています。

◆5：プロバイオティクスとプレバイオティス
腸内に住む善玉菌や悪玉菌も気分や脳の健康に影響を与えることがあります。このため、ヨーグルト・チーズ・紅茶キノコ・ザワークラウト・キムチなどの発酵食品に含まれるオリゴ糖・食物繊維類などが該当する難消化性食品成分のプレバイオティクスや乳酸菌・ビフィズス菌など発酵乳から得られるプロバイオティクスは、抗うつ薬と同様の効果があることがナバーラ大学らの研究チームによって報告されています。リー氏らは「これらの発酵食品を食事に取り入れることも、体の健康だけでなく、うつや不安などの精神的な問題も改善することにつながります」と述べています。