日々、戦いのような毎日を過ごしているビジネスパーソンのみなさま。

苛立たしい上司、進まない会議、口やかましい顧客……戦いの矛先はさまざまで、しかしどれほど充実した仕事であっても、あなたの心と体は「疲れ」を感じることでしょう。

限られた休みを効果的かつ効率的に過ごすための方法を、ライフハッカーでは度々紹介してきました。たとえば、『「最高に生産的な休暇」を過ごすための秘訣』では、「新しいモノや経験に触れることで、私たちのモチベーションが高められることが数々の研究で示されている」とあります。

目新しいモノに触れることが引き金となって、脳内のドーパミン濃度は上昇し、これが「快感」と結びつきます。すると脳は、何か良いことが起きようとしていると認識し、循環効果を生み出します。

何もしない怠惰な状態も悪くはありませんが、「見たこともないもの」や「新鮮な驚き」によって、失われゆくモチベーションにガソリンが注がれることもある。そんな良きオフタイムを過ごすことによって、また仕事へ向かっていけるのですね。

とはいえ、オフタイムの過ごし方って、これが案外難しい。アクティブな自己投資に励みすぎれば疲労がとれませんし、リラクゼーションを設けることも必要です。ただ、あまりにも無為な時間を過ごすのは損な気もする。その淡いにあるような……インプットは多少なりともあれど、心を開放できる術はないものか。

そんな時間を過ごすのに、うってつけの動画番組があります。

くだらなさに潜むドキュメンタリーがタマラナイ!

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(C) 2018 YD Creation

Amazonが提供する動画サブスクリプションサービスのPrime Videoにて、配信中のオリジナル番組『今田×東野のカリギュラ』は、新鮮な驚きをくれつつも脱力して観られる、バランス感覚に優れたプログラム。

カリギュラ」あるいは「カリギュラ効果」とは、禁止されるほどやってみたくなる心理現象を指す言葉。某お笑いトリオの「絶対押すなよ!」とか、映像をモザイクで見えなくするといった、こちらの心理をくすぐる仕掛けもそうでしょう。

この言葉を冠した本番組は、地上波放送ではマニアックすぎて視聴率が見込めない、コンプライアンス的にNG、くだらな過ぎるといった理由で禁止された企画書を発掘して、蘇らせることがコンセプト。メインMCには今田耕司東野幸治を据え、合いの手で笑わせる準備も万全です。

2017年6月から配信開始されたシーズン1で人気を博し、現在はシーズン2も配信中。ザッと企画名を見るだけで「くだらないけど妙に気になる…!」とカリギュラを惹かれるものばかり。

・うちの親は大丈夫!母ちゃん、オレオレ詐欺選手権

・ホームレスインテリクイズ王決定戦

・訳あって地上波ではなかなか会えない、あの人は今!? ~後藤祐樹編~

「当番組は番組の性質上、ご覧になられる方によっては一部不適切と感じられる場合がございます。予めご了承の上、お楽しみください」と番組冒頭で打って出るだけのことはあって、深夜のテンションで思いつくもボツられた感のあるタイトルが並びます。

この並びだけ見ると本当にくだらない……かと思いきや、実は『カリギュラ』は、包み隠さず言うと、企画に当たり外れがあります!!!!(※私感です)

「アタリ!」の企画では、くだらなさに身を潜めたドキュメンタリーの要素が、ググッと顔を出してきて、まさに僕らが求めるオフタイムに華を添えてくれるのです。そこで今回は、シーズン2の中から「絶対観るべき『カリギュラ』」を厳選3本ご紹介いたしましょう。

1.爆発一筋47年。日本芸能史の熱い伝統を見よ!『特効野郎Aチーム』

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(C) 2018 YD Creation

カリギュラ』シーズン2第5回より。ロバート秋山の持ち込み企画である『特効野郎Aチーム』は、CGの波に押され、失われゆく映像の特殊効果「爆破」にこだわった一本。

「爆破に生涯を賭けた男と爆破に惚れ込んだ男の壮大なドキュメント」と銘打つ今回。ロバート秋山が扮する刑事を取り巻くドラマを通じて、爆破の舞台裏を見ることができます。MCの今田耕司も「(最近は)刑事ドラマでも部屋の中で謎解いてばっかやもんな」と、その企画に期待を寄せました。

今回の「爆破」を担当するのは、日本爆破界の最高峰『大平特殊効果』の面々。火薬のスペシャリストとして、撮影企画からオリジナル花火の企画など、数々の大規模爆破シーンを手がけてきました。爆破シーンの代名詞でもあるテレビドラマ『西部警察』シリーズも、大平特殊効果の仕事です。

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(C) 2018 YD Creation

見どころは、「特効一筋47年」という大平特殊効果代表の坂本佐幸さんが、実に20年ぶりの大規模爆破を仕掛けるバス炎上のシーン。近年のテレビでは見られなくなった「平成最後にして最大の爆破」なのですが、今回はこれまで取材撮影に訪れたカメラもほぼないという大平特殊効果の工房を取材しているのがポイント。この爆破がいかに仕掛けられたものかを、「火薬の製造現場」や「大炎上の仕組み」といった細部まで教えてくれます。

たとえば、「火薬とガソリンを併用することでナパーム弾を作る」というくだりは、地上波で放送しようものなら“炎上”を招くこと必至。テレビで見たことある、あの爆破のリアルが裏側までわかる上に、とにかくスカッとするほどの大爆発が待っています。

坂本佐幸さんは最後にこう言います。「爆発は最高でしたよ」と。あらゆる角度からのバス炎上大爆発11連発の映像に、小さなストレスも吹っ飛んでいってしまいます。

2.東野幸治よ、獣になれ!血抜き解体もノーモザイクの『東野狩りシリーズ』

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カリギュラ』の人気作でもある、東野幸治が狩猟の現場に繰り出す「東野狩りシリーズ」。

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(C) 2018 YD Creation

これまで鹿を狩り、猪を狩り、次なるは「熊だ!」と意気込む第3弾こそ『カリギュラ』シーズン2第1話です。

今回の標的は、カラス!

……これには「急にどうしたんすか」と番組中でも言われるくらいの拍子抜けでしたが、熊は死の危険が目前にあるため交渉中。では、その前に……ということで、鳥獣被害が最も多いという愛知県で、ハンター兼カフェオーナーの清水潤子さんとカラス狩りへ。

狩猟と有害駆除をする清水潤子さんは、「駆除と言えども命を無駄にしないように」と、獲物を猟師飯にして提供するカフェも営んでいます。その姿勢に心無い言葉も寄せられるといいますが、「自分がお金という対価を払うことによって手を汚さないことを選んでいるだけだったら、それは愛護じゃない」と、清水潤子さんは毅然と返していきます。

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(C) 2018 YD Creation

番組中では、散弾銃で撃ち落としたカラスを東野幸治が確保。その後、血抜きや内臓処理といった手順を、モザイク無しで映し出していきます。これまた地上波では確かに映せない、しかし僕らが観るべき映像だという思いにあふれます。

二度の狩りで強くなり、「食べるために粛々とやる」と手を動かす東野幸治の成長ぶりもすごい。身だけでなく、ハツ(心臓)や砂肝などの内臓も味わいます。

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(C) 2018 YD Creation

ちなみにカラスは味が美味しく、鉄分とタウリンが豊富で低コレステロールという、栄養面でも優れた鳥。東野幸治のリアクションから、将来僕らが口にする日が来るかもしれない想像をしておきましょう。

また、これまでの「東野狩りシリーズ」を観てきた筆者としては、今回の「カラス編」は映像的にも初心者向け。血や呻きが大丈夫ならば、「鹿編」や「猪編」も、手に汗握ります。

3.くだらなく咲く一瞬の華! 炎上経験者のリアル炎上『人間火の鳥コンテスト』

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(C) 2018 YD Creation

正直言うと……大平特殊効果の爆発に比べると、ずっと小規模かつくだらないのですが……『カリギュラ』シーズン2第2話の『人間火の鳥コンテスト』は、一瞬のキラメキが胸に残る(気がする)映像が楽しめます。

炎上を経験した芸能人や、熱かった頃のバラエティーを蘇らせたい芸人たちが「火の鳥」となって空を舞う! 矢口真里平成ノブシコブシ吉村ドランクドラゴン鈴木拓が、それぞれリアルに火を放たれ、湖へダイブしていきます。

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(C) 2018 YD Creation

いや、ほんとうに、それ以上に言うことは特にないくらいの企画なのですが……うっかり両手を叩いてしまったのが、平成ノブシコブシ吉村のチャレンジ。カースタントとの組み合わせで奇跡の跳躍を見せるのですが、思わず東野幸治も「ガッチャマンやん!」とツッコむ一瞬の芸術は、不思議と「ちょっとやってみたくなる」ようなワクワクがあります。

この番組は、きっとAIにはつくれない。ある意味、実に人間らしい?

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(C) 2018 YD Creation

数々の規制や配慮で自粛を続けた番組制作陣たちが、活路を見出したのがAmazon Prime Videoであるならば、ここには何か歴史の転換点があるのかもしれません。

生産性アップが叫ばれ、人間とAIが新たな関係性を見せつつある現代。その時代において、タイトルだけで「くだらな過ぎる!」と思える映像を“作り上げてしまう”ことさえ、今の世の中では難しいことでしょう。

そこに宿るのは、効率や勝算を人間だけの直感に頼る、時代錯誤の風景かもしれません。しかし一方で、昨今では雑談の価値が見直されるように、僕たちから効率化のもとに排除された「無駄」や「遠回り」から、まだ知らぬ発見をする可能性もあるのです。

この番組はけっしてAIでつくられることはないでしょう(つくるとしたら、そんなAIがかわいそうです)。しかし、だからこそ、嫌悪やスリルも合わさった「人間臭さ」を、このプログラムの端々から嗅ぎ取れるのです。

僕が特効の爆破に詳しくなったように「インプットは多少なりともあれど、心を開放できる術」として、脳を刺激してくれる『カリギュラ』は、うってつけのオフタイムでした。

他にも、Prime Videoは、観たい作品を観たい方法で楽しめる用意ができています。『バチェラー・ジャパン』や『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』といったオリジナル作品を含め、数千本もの人気映画やテレビ番組をラインナップ。アプリを利用すれば、対応するテレビ、PlayStation、Wii、モバイルデバイス、Amazon Fire TV、Fire TV Stick、Fireタブレット、オンラインなどから、どこでも視聴できます。

Amazonプライム会員は商品も早く届きますし、やっぱり便利。『カリギュラ』見たさに登録……というのは大げさかもしれませんが、『カリギュラ』“も”見られるのであれば、これぞお得な心意気、と僕なんかは思うわけです。


Image: (C) 2018 YD Creation

Source: 今田×東野のカリギュラ