ついに、医師が子どもに「遊び」をわざわざ処方しなければならない時代が到来したようです。アメリカ小児科学会が、方針声明でことの緊急性を詳しく説明しています。
アメリカでは、子どもの生活に遊びが足りないことは周知の事実です。育児に関する記事によれば、子どもたちは、寝る時間になるまで、あれこれ習い事に連れまわされて、これまでにないほど過保護に育てられているようです。
私は、近所の子どもたちと何時間も自転車を乗り回した自分の子ども時代を懐かしく思い出して、我が子にも同じ体験をさせられたらと願うばかりです。遊びが脳の構造を強化して、子どもの共感力、創造性、革新性を高めることは既に実証されています。
とは言え、いざとなると、子どもの生活に隙間時間を作るのは、なかなか大変です。
ミュージシャン、ダンサー、アスリートがインタビュー記事で「3歳からはじめました」と発言しているのを目にするとき(ああ、うちは手遅れだ!)、私は、我が子の日々の生活に大人がもっと介入しなければならないというプレッシャーを感じます。
これに抗うには、本物の意志の力と計画が必要です。
この過密スケジュール時代に、子どもに遊ぶ時間を作るコツをご紹介します。
現実的になる
家族の健康的な遊びの時間を増やそうとして、わざわざみんなで森に行って、子どもを一日中小川で遊ばせる必要はありません。
ただそうしたアクティビティの時間を持つことによって、子どもの自尊心が高まり、薬物やアルコールの使用率が低下し、社会との絆ができるという利点があります。中学生の保護者の中には、子どもに本人が好きな課外活動をさせると、仲間からのプレッシャーや感情の乱れがあるときも乗り越えられたといいます。
ここでの目標は、子どもの自由時間を確保することです。『Overloaded and Underprepared: Strategies for Stronger Schools and Healthy, Successful Kids』の著者の1人であるDenise Popeさんは、幼い子どもは毎日放課後の決まった時間に遊びの時間が1時間必要だとThe New York Timesに語っています(夕食、宿題、お風呂の時間はこれに含まれません)。
季節ごとにスポーツかアクティビティを1つ決めて、子どもやらせるのもいいでしょう(私は娘を歌のクラスに行かせることにしましたが、娘はそのクラスが大好きです)。
家族のために、適切なバランスを見つけなければなりません。
まず、楽しい遊びの時間を作る
AAPレポート『The Crucial Role of Recess』の筆頭著者であるRobert Murray博士は、遊び場、ビーチ、小川、森や公園、野原、動物園、地元の農場や子どもたちが仲間とごっこ遊びができる屋内のスペースを提案しています。
親は、子どもが興味が持っていろいろなことを試行できる安全な環境を見つける手助けをすることはできますが、大切なのは、子どもに自主的に行動させることです。
どこに行くことにしても、親は一歩引いて、子どもに「BE Time」を与えましょう。それが、親から指定されたアクティビティの解毒剤となります。
家では、ブロックで遊ばせるのもいいですが、紐、アルミホイル、マスキングテープ、卵の入っていた箱、トイレットペーパーのロール、空のシャンプーボトルなど、親にはガラクタに見えるもので子どもに自由に遊ばせましょう。
子どもにぐずつかれてもひるまない
ときには、子どもに自由時間を与えることが難しくなることもあります。我が家では、週末に娘が朝起きて最初に聞くことは、「今日はみんなでどこに行くの?」です。
私が「どこにも行かないよ」と言うと、娘は泣き声で「そんなのつまらない!」と言います。
また、子育て中の友人たちから、テキストメッセージが来て、「今日はどうするの? 子どもたちを図書館の読み聞かせの時間に連れて行く? それともバレエのクラス? でなければ映画を見に行く?」と誘われると、私はつい「YES!」と言ってしまいがちです。
子どもを車に乗せて、この誘いのどれかに連れていくのは簡単です。でも、時には「NO」と言うことも必要です。
ぐずぐず不満を言う娘も最後は静かになりますし、私も家事を片づけられます。そして、娘はイキイキとドールハウスで遊んだり、段ボール箱で何か作ったり、裏庭にチョークで絵を描いたりしています。
カレンダーに空白を作り、子どもからの抗議に備えましょう。そしてその空白の時間には、親も子どももそれぞれに、自分がすることを自分で見つけるようにしましょう。
同じ考えの親たちとコネクトする
子どもが自由に遊ぶ時間を増やしたいと思っても、それをするには問題があると感じている親もいます。
子どもが、一緒に遊ぶ相手がいないことが多いからです。午後3時半になると、ほとんどの子どもたちはチェスやテコンドーを習いに行ってしまい、遊び場には誰もいなくなります。
「Let Grow 」というプロジェクトは、なるべく子どもに親の手を掛けずに子どもの自立を促したいという考えの親たちを地域内で結びつけることで、この問題に取り組んでいます。
同じような考えのパパやママを見つけたら、みんなで協力して、週に1度か2度、親子で一緒に遊べるように居住地域の1ブロックを歩行者天国にしてみたり、学校のロビーをジムや遊び場にして夕食の時間まで子どもを自由に遊ばせる独自のプレイクラブを結成してみてはどうでしょうか。
子どもの自由時間を増やすと、間違いなく子どもに手がかかるようになります。でも、実際にやってみると、家族のストレスが減り、幸福感が増すことがわかります。
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Image: Yuliya Evstratenko/Shutterstock.com
Source: Gateway, Mirror, Motherly, Amazon, Child Trends, Let Grow(1, 2, 3)
Michelle Woo – Lifehacker US[原文]