暗いところの撮影能力は確かに高くなりました。しかし痛し痒しなところも、ちょいと。
カメラ性能重視でニューカマーなiPhoneを選ぶ人も多いこのごろ。アンボックスに続き、「iPhone XS」の夜景撮影力がどんなものか、見てみましょうか。
今年はiPhone XSとiPhone XS Maxの2機種がありますが、どちらも同じデュアルカメラを搭載。記事の作例はすべてiPhone XSで撮影していますが、性能は同じですのでiPhone XS Maxでも同じと捉えていただければと思います。
iPhone XS 自動(f/1.8 1/25sec ISO500)
iPhone X 自動(f/1.8 1/5sec ISO100)
標準のカメラアプリで、綺麗にデコレーションされた渋谷川をパチっとな。夜であることをなんら意識せず、足を開いたり脇をしめたり息を止めたりせずに手持ちでこれだけ撮れるってのは、正直グッときます。もちろん、純正アプリでシャッターを切っただけです。
一方iPhone X、ホワイトバランスは正確。自分の目で見たときの印象に近くて安心できます。ただ、iPhone Xの夜景力も十分高いと感じていたのですが、iPhone XSと比べると世代遅れ感あるなあ。いや、ハイコントラストな写真がお好きならiPhone Xも十二分に現役一軍先発級ですよ? でも色のグラデーションの深さが違います。白飛び、こんなにもしやすかったっけ。
渋谷川の欄干につけられた点光源祭りをズームアップ。橙色の照明のグラデーションを見ると、違いがよくわかるでしょう。iPhone XSで撮った写真は光の明暗グラデーションが豊かで、光がなだらかに拡散しているのが伝わってきます。一方、iPhone Xで撮った写真は一気にアクセルを踏み込んだかのようにフル輝き。ダイナミックレンジにこれだけの差があるとは。
またプロジェクションライトに照らされた水面のディティールにも差がありますね。
もちろん、センサーサイズの大きなカメラと比較できるものではありません。川の両サイドの壁面をみると、iPhone XSの情報量が多いのは確かですがどちらにしてもJPEGらしい塗り絵的ですもんね。
さて2枚の写真のデータを見ると、iPhone XSはISOを500にまで高めています。対してiPhone XはISO100。iPhone XSは高ISOであっても低ノイズでディティールが残しやすいカメラだということがわかります。
iPhone XS 自動(f/1.8 1/50sec ISO100)
iPhone X 自動(f/1.8 1/60sec ISO125)
しかしながら黒い空が多く入るシーンを撮影すると、“明るく撮ろう”とがんばっちゃうAEの弱点が見えてきます。空の部分も明るめに描こうとするために、輝度ノイズが乗った黒浮きっぽさが見えてくるんですね。
その点、iPhone Xはダイナミックレンジこそ狭いものの、空の色には落ち着きがあります。
もちろん撮影時に輝度を調整したり、Lightroom mobileやProCameraなど、多種多様なアプリを使ってカバーできる範囲ですけど、夜景を撮影しまくりたい方はiPhone XSの、AEの個性を認識しておいたほうがいいでしょうね。