「死ぬ前にお前ともう一度『バキ』の話がしたい」 死期を悟った男が親友と語り合う漫画が深い
人生の終末に好きな漫画の話を交わせる――そんな友人がいることのすばらしさよ。
もしも己の死期を悟ったとき、残された時間で何をするべきか? なかなか想像できない難問です。そんな状況で、親友と大好きな漫画『バキ』シリーズについて語り合うことを選んだ男を描く漫画が、Twitterで「深い」と話題です。
入院中の男性から連絡を受けて、病院へ駆けつけるその親友。それは40年ぶりの再会でしたが、男性がもう長くないと知っていて、口を重く開きます。「聞いたよ お前…もう長くないんだってな…」。そんな親友に、男性は「ああ… だからバキの話をしようと思ってな」と、意外な言葉を投げかけるのでした。
2人は中学時代、バキについてとことん語り合ってきた仲。会話がバキの話題で占められるあまり、「本来すべき話をできていないからバキの話はやめる」と決めたほどでした。それもあって「そんな場合ではないだろう」と反対する親友に対し、主人公は「“だからこそ”なんだ」と、話を続けます。
主人公は「するべきことは増え、残された時間は減った… そのなかで多くのものを捨て たどり着いた今だ」と、人生を回顧。今になってようやく、バキの話を語り合った時間のかけがえなさに気付いたといいます。そして“だからこそ”「死ぬ前にお前ともう一度バキの話がしたいと思った」と、淡々と語ります。
親友は涙をこらえながら、男性の頼みを受け入れることに。「安藤(玲一)さんってほとんど他のキャラとからまないけど、実際戦ったらけっこう勝てそうじゃない?」「……いや、あくまで山岳監視員で格闘者ではないし」、「(愚地)独歩って、ピークを維持できるのは今年が最後だろうって言ってからかなり強くなってるよね」「勇気出るよね」など、若かりしころのように真剣に語り合うのでした。
友情や童心の大切さ、最後に趣味の話を交わせるほどの親友がいることのすばらしさを考えさせられるこの漫画。「20年ぶりに再会した友人と、延々と『伊賀の影丸』の話をしたとき、むちゃくちゃ楽しかった」「学生時代の友人と大人になってから会うと、ふと若くなったような気がする」など、共感の声が寄せられています。
作者のけん(@nomorehole2)さんは、「中憲人」および「紙切りくん」名義で活動中の漫画家。『別冊ヤングチャンピオン』で『みんなで辞めれば怖くない』を連載しているほか、Webメディアのオモコロにも多くの作品を寄稿しています。
(沓澤真二)
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