Instagram共同創業者2人が電撃辞任、別れの挨拶に謎のキーワード

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Instagram共同創業者2人が電撃辞任、別れの挨拶に謎のキーワード
Image: Instagram

激震走る…。

Facebookに6年前に10億ドルで身売りしたInstagram(インスタグラム)も今や評価額1000億ドル(12兆円超)。こんなに大きくなってうれしい反面、共同創業者2人は売らなきゃよかったと悔しくて眠れない夜もあるんだろうなあと思っていたら、2人揃って辞任の電撃ニュースが入り椅子から転げ落ちそうになりました。

辞め方がとにかく尋常ではなく、講演スケジュールがびっしりなのにもかかわらず、いきなりNew York Timesの独占スクープで報じられ、何時間もFacebookからはなんの発表もないまま時が流れてゆき憶測が憶測を呼ぶ異様な雰囲気となりました。

当の本人であるケヴィン・シストロムCEOもマイク・クリーガーCTOも辞める理由は明らかにしていませんが、Instagram公式ブログにシストロムCEOが発表した辞任の挨拶にはマーク・ザッカーバーグのマの字もなく、「確執の噂は本当だったのか…」との見方が強まっています。

以下が辞任挨拶の全文です。

13人でスタートした会社も今では世界中にオフィスを構え、1,000人以上が働く立派な企業です。そのプロダクトは10億人を超える方々に利用され、愛されています。もう心残りなく次の人生に進んでいけます。


しばらく休業し、もう一度、知的好奇心とクリエイティビティを取り戻したいと思っています。新しいものをつくるためには一歩立ち止まって、僕らをインスパイアするものが何なのかをよく考え、それが本当に世界に求められていることなのかどうかすり合わせる必要があります。そんなことをしていく予定です。


これからは経営を退きユーザー10億人の側になりますが、InstagramとFacebookはイノベーティブですばらしい会社です。発展を楽しみに見守っていきたいと思います。

Instagramに発表した写真入りの挨拶の方には@zuckのタグもついているので、単に忘れただけかもしれませんけどね…。気になるのはこの「もう一度」のくだりで、「えええーまさかまたインスタレベルのことで世界をひっくり返してくれちゃったりとかするの?え?」と騒がれています。


成長鈍化の親会社、募る圧力と反目

Instagramは今年6月にユーザー10億人の大台に乗り、今後5年で20億人という成長曲線まっしぐら。ユーザー滞留時間ではFacebookとほぼ互角に迫っています。

一方の親会社Facebookは国内利用が頭打ちで若者離れが起き、7月の決算発表で売上鈍化を明らかにした当日には株価が米史上最大の下落幅を記録。5年連続で右肩上がりの成長を続けてきた株価も今年は6%以上落ちています。

落ち目を隠すかのように、「決算報告ではInstagramの快進撃を自らの手柄のように自慢する場面も目だっており、最新の決算発表でも『当社の傘下に収めたおかげでInstagramは成長が2倍に加速した』とザッカーバーグCEOが述べ、Instagram社内で余計な説明であり事実とも違うと反発があった」とBloombergは報じていますよ。

Facebookが順調だったときは自由に泳がせてもらえていましたからね。シストロムCEOも「Facebookが何かしたのではなく、何もやらずに見守ってくれたことでInstagramはここまで成長してこれたのだ」とあちこちで言ってましたし…。

ただFacebookが停滞すると、そうも言ってられませんよね。ザッカーバーグCEOから「自由にやっていい。経営にはノータッチ」という言質をとって買収に応じたはずなのに、ふと気づけば、シストロムCEOたちはFacebookプロダクト最高責任者にあれこれ注文をつけられる日々になっていました。それでも必死に反発していたようなのですが、5月には、シストロムCEOの懐刀だったプロダクト部門VPのKevin Weil氏(爆発的人気のストーリー機能を開発した人)をFacebookのブロックチェーン新部門に取られてしまい、その後釜にマーク・ザッカーバーグの腹心のAdam Mosserri元ニュースフィード部門VPが送り込まれる展開となりました。親会社のプロダクト最高責任者と自社のプロダクト部門VPの両方にあれこれ注文つけられるのに嫌気がさしたんじゃないかと内部のソースはTechCrunchに語っています。

4月のWhatsApp共同創設者ジャン・コウム氏に次ぐメガ辞任で、ザッカーバーグ氏は独立自営を約束して買収しても結局は子会社からじわじわ生気を吸い取って圧力を強め、最後はトップが逃げ出すというパターンが繰り返されており、巷ではサッカーバーグとまで呼ばれてしまってます(サッカーは魂を吸い取る人、騙す人を指す俗語)。

コウム氏は暗号化に手を付けられることがどうしても許せなくて「もう空冷ポルシェ集めてアルティメットフリスビーやって暮らす」と言ってWhatsApp CEOとFacebook取締役を辞めました。Instagramの2人は何がだめだったんでしょうね…。そして辞職挨拶の「もう一度」の真意とは…?

このままで終わる気がしないと誰もが言っています…。

Sources: New York Times, Instagram, Bloomberg, TechCrunch